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本流の尺上ヤマメをねらうために

「特集ラインシステム」補足編

富田晃弘=写真と文


※※各ラインシステムのイラストは『FlyFishier MAGAZINE 2021 Mid Summer号』(2021年7月発売)をご覧ください。

キャスティングのバランスを維持する工夫


以前は、4X12フィート+4X2フィート+5X3フィートの17フィートで、本流のドライフライの釣り上がり(以下叩き釣り)はやっていた。また、ライズを発見した際は、流れによってその都度ティペット部を長くして対応していた。しかし、本流の水深から考えると、どうしても長い距離をナチュラルドリフトすることが有利と思われ、4X12フィート+4X3フィート+5X3~6フィート(18~21フィート)と長くなってきた。これは叩き釣りでは18フィート、ライズに対応するために流れによっては、21フィートまでティペットを伸ばしたということだ。

これらの仕様は、せこい話だが、4X12フィートのリーダーを長持ちさせるためのもので、ティペット交換時に途中の4X2~3フィート部分がちょっとずつ短くなることが多く、リーダー部にできるだけ影響が出ないようにする作戦だった。しかし、これだとリーダーが長持ちする代わりに、いつの間にか最初のデザインを崩してしまっていることに気づかず使っていることが起こる。バランスを崩したシステムで釣っていると、今度は自分のキャスティングの微妙な力加減までバランスを崩してしまう。それに気づいてからは、リーダー先端に結ぶティペットをやめ、4X14ft+5X~6Xを5~7フィートのトータル19~21フィートのシステムに落ち着いている。


確実に取り込むために細いティペットは使わない


叩き釣りの時は、19フィートでティペットは5Xをメインにしている。本流、里川を問わず、ティペットの細さは6Xまで、常にねらいは尺上ヤマメなので、細いティペットで釣りあげる自信が、私にはない。逆に6X以上で食わせる方法を考えている。それは、フライサイズを#18までとして、ドラッグが掛かりそうな流れでは、ティペットを長くすることで対応できると思っている。私の今までの釣り経験の中では、#20以下のフライまたは、7X以下のティペットじゃないと絶対に食わないという魚を見たことがないように思うからだ。もちろん異論もあると思われるが、私の経験では見たことがない。

以前は#20以下のフライも、6.5X以下のティペットも使っていたが、6.5Xや7Xで掛けて、大きなヤマメにファイト中に切られて、悔しい思いや、ヤマメに申し訳ないという思いをしたことが多々あった。それらのヤマメは、尺くらいではなく、尺をゆうに超えるヤマメたちだったが、今思えば、6.5X以下にする必要はなかったと思うことばかり。死ぬときの走馬灯に出てくるような、思い出に残る魚をバラしたくないために、私は6.5X 以下のティペットをベストから外した。

ティペットサイズ選択には、昔から÷3の法則があり、#18÷3=6X、#15÷3=5X、#12÷3=4Xという目安だ。私はそれを基準に、流れや魚のサイズなどの要因を総合的に判断して、ティペットサイズを選択している。これはライズの釣りも含めた話で、本流叩きの釣りのみとなると、ほぼ5X以上で通している。

ロング・ナチュラルドリフト


本流の尺上ヤマメを叩き出すのは簡単ではないが、可能性はある。川幅は30mくらいあるような本流域の瀬やプールがポイントの中心となる。水深は0.5〜5mくらいだろうか、(川幅も水深も、正確に測ったことはない)その川底からヤマメを浮上させるためには、もちろんそのヤマメの労力に見合うボリュームのフライが必要であると考えている。したがってフライは、#12以上でシルエットの大きいスペントパターンが多くなる。それをパラシュートにすることで、激流の瀬の中でも浮力が保たれ、それでいて水面下にボディーを見せてアピールすると考えている。

ヤマメは表層に浮いて、パクパク何かを食べている状態は少なく、水底からフライを見つけて、食べようと考えて、浮上してフライを食う。あるとき、インスタグラムの水中動画を見て驚いたのは、ニジマスが水底から水面に向かって浮上する途中、水の流れで下流に流されながら、水面のモノを食べたのだ。したがって水面での捕食点は、そのニジマスが定位していた位置より下流だったのだ。


すべての状況がそうであるとは思わないが、そういうことはよくあることだと認識しているので、たとえライズを見つけても、魚の定位置はその場の流れ方にもよるが、ライズより上流であると考えてフライを流さなければいけなくなり、その水深によっては、捕食ポイントまでかなりの距離をナチュラルドリフトさせないといけないと思っている。

こう考えると、水深の浅いところではドリフト距離が短くてよいかというと、そうでもない。浅いところでライズを見つけて、ポイントが絞られる場合は別にして、叩きの釣りでは、どこから出るか分からないことが多く、どこから出てもおかしくないようなポイントは、できるだけ長いナチュラルドリフトが効果的だと思っている。しかし、ティペットが長ければ長いほどトラブルも多くなるし、フッキングの問題も出てくる。ロッドの長さに対して、あまりにもティペットを長くしすぎると、ロッドをあおってもフッキングが浅く、身体ごとバックステップしながら合わせるとか、下手するとたるんだラインを手で持って合わせるようなことになりかねない。

本流は渓流のポイントの集合体



このようなことから、現在、私のシステムは、7’6”~7’11”のロッドに、叩きの場合4X14ft+8X5フィート、ライズをねらう場合ティペット部分を5~6Xを5~7フィートというところに落ち着いている。

川幅が約30mくらいといっても、ねらう距離は5~10m。そうでなければ立ち位置からポイントまでの間の複雑な流れにラインを引っ張られ、ロング・ナチュラルドリフトは難しく、もし魚が出てもフッキングは難しいと思っている。本流でも川を分割して考えると、渓流の1ポイントの集合体だと思っている。それでは渓流でもこのシステムで行くかといわれると、渓流の場合は障害物が近いという、別の要因が付きまとってトラブルが多発してしまうため、リーダーを短くする必要が出てくる。

本流は障害物が少ないとはいっても、使用中に気を使うのはウインドノットとフライにティペットが絡んでいないかだ。ウインドノットやフライのチェックは、何投に1回とかは決めていないが、立ち位置を変えるタイミングなどで、しょっちゅうチェックしている。また、車でのポイント移動時や、その日の釣りの終了時には、ラインにシリコンスプレーをするようにしている。やっているのとそうでないのとでは、ラインの滑りが違うし、キャスティングの精度も違う気がする。


フライラインは、リッジラインのジャパンスペシャルが柔らかく巻きグセが付きにくいので気に入っている。DTのみしかなく、WFを使いたいのだが、そこが残念な点だ。DTだとどうしてもリールのキャパシティを奪ってしまい、バッキングが少ししか巻けなかったり、適当に巻き込むとスプールいっぱいになってしまう。

それに私にはキャスティング距離も、80フィートも必要ない。WFだとちょっと遠くをねらう時も楽な気がするし、何といってもリールのキャパシティを奪わない、後ろのランニングラインを切ってしまえば、バッキングラインを多くとることができ、巻きグセも付きにくいと思うのだが。私の場合は、本流でも5~10m、投げても15m+ロッドの長さ程度だから、20mもあれば足りる。一般的には、80フィートがベストと思ってメーカーも作っているのだろうから、WFがあったらなぁと思っている。


リーダー&ティペットの話に戻るが、私がいつでも快適にプレゼンテーションできるバランスというのが、今のシステムで、そよ風程度の向かい風でも(強風では仕方がない)ターンできる長さである。この長さならどこのメーカーのリーダーでも扱えるわけではなく、メーカーが違えばデザインも違うため、今のところはKTYのSSリーダーが私のロッドと、キャスティングには合っていると思っている。

2021/10/22

つり人社の刊行物
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初歩からのフライタイイング 2,750円(税込) A4変型判148ページ
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最新号 2021年12月号 Mid Autumn

【特集1】水中を釣る、15の視点
【特集2】シンキングラインカタログ

今号は「水中の釣り」の特集です。ウエットフライ、ニンフ、湖のストリーマーと14人の考え方と釣り方、そしてシンキングラインのカタログを掲載しています。
現在、単純に「ウエットフライの釣り」と使うフライの種類で釣り方をカテゴライズすることができなくなってきました。そこで、名手たちに実際に行っている釣り方とそれぞれの考え方をお聞きしたところ、「スイングの釣り」に対して「縦の釣り」と大きく2つに分けたほうがイメージしやすいことが見えてきました。さらには「縦の釣り」も「送り込みの釣り」「ナチュラルの釣り」「トレースの釣り」など微妙に違うメソッドが確立されているようです。
ニンフはルースニングとヨーロピアンニンフィングの考え方、そしてルースニングとアウトリガーのハイブリッドとも呼べるような「ヤッチーニンフ」、湖では、底ベタを釣るレイクトラウトフィッシングを取り上げました。
また、前号で反響が大きかっったゲーリー・ラフォンテーンの「The Dry Fly」についての各エキスパートの感想記事にもページを割いています。


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