LOGIN
TACKLE SHOP DUSK

柔よく剛を制すロッド

『Asquith』片手に、貸し切りの渓へ。

里見栄正=解説
ヒットした瞬間、ロッドがしなやかなに曲がって魚のパワーを吸収してくれる

シマノとG.Loomisのコラボによって生まれた『Asquith(アスキス)』を携え、群馬県の神流川を訪れた里見栄正さん。午前の部は貸し切りで楽しめる中ノ沢は、キャッチ&リリース区間でもあり、魚は豊富。そっとドライフライを落とすと、もこっと水面が盛り上がった――。
この記事は2016年6月号に掲載されたものを再編集しています。

小渓流にマッチする#1~2モデル

関東では最初にキャッチ&リリースエリアができた、群馬県上野村の神流川。都心から近く魚が多いというのは、釣り人にとってありがたい。

この日、そんな神流川の予約制区間『中ノ沢毛ばり釣場』を訪れたのは里見栄正さん。700mほどの標高なので、まだ春も間もない4月のこの時期、水面のエサを食べるよりは底に沈んでいる魚のほうが多いが、それでもごく普通のパラシュートを流すと、よく反応してくれた。
清冽な水ゆえに魚はよく見える。それだけにゲームは楽しく、スリリングだ

使っているのは#1~2の『Asquith(アスキス)』。しなやかでありながら強靭なブランクが魅力だ。まさに満月のようにぐいっと曲げても問題ないほど(もちろん無理に曲げる必要はないが……)。そして#1~2のライトライン用というJ731でも、振ってみると軟らかいだけではない。#3ラインでも乗せられるという強さがあればこそ、良型が来た時にも慌てずにすむのである。
『Asquith』の渓流用低番手モデルは3タイプ。7フィート3インチの#1-2、7フィート6インチの#2-3、そして8フィートの#3が揃う
● 問合先/シマノ(☎0120-861130) fishing.shimano.co.jp


「#1~2指定のロッドのわりには、極端に弱いという設計ではありません。もちろん繊細ではありますが、比較的キレのあるキャストに向いたアクションなので、自分としては、ほぼドライフライ専用という使い方をしていますね。とはいえ、空気抵抗の大きい#8~10の渓流では大型といえるフライを投げるのも問題ないですよ」

中ノ沢のように、頭上に木が張り出した小さめの渓流では、たしかに使いやすいロッドだ。その一方で、大型の魚を対象としたより広い釣り場で使っても、実は面白いのだと里見さんは言う。
底に沈んでいたイワナは尺を超えていたが、この日はヤマメがメインだった

低番手ながら驚きのパワー

『Asquith』の渓流用低番手モデルは、ほかにもJ762、J803の2モデルがラインナップされている。

「J762は、手もと近くからティップにかけて全体的によく曲がります。従来の『フリーストーン』シリーズに最も近い印象を持ってもらえるのではないでしょうか。ただし非常に軽く感じられる点で、やはり従来のロッドとは一線を画します。キャスティングの際にはストップのタイミングやパワーのオン・オフなどが、小さな手もとの動きで反映させやすいタイプだと思います。またロングティペットとの相性がよく、急激な方向転換が非常にスムーズなので、トリッキーなライン操作も可能にします」
メンディングもしやすいアクション。このような小規模渓流では、J731が扱いやすい

#2~3のラインにマッチするこのロッドは、やはり渓流において汎用性の高いスペックだ。ニンフィングにおいても、取り回しが楽だという。

そして最後にJ803だが、これは#3ラインにマッチする8フィートモデル。ただし里見さんによると、本流筋でライズをねらうようなケースでは、風の影響を考慮してか、または飛距離を優先してか#4ラインを乗せている人も見かけるという。
ライトラインのスペックでも、それよりもやや重いラインを乗せられるパワーもあるのがこのロッド。風の影響などを考慮して使い分けるのもあり

「J803はほかの2本と比べるとたしかに強いという印象ですが、魚を掛けた際のロッドカーブを見ていると、やはり繊細なロッドだということがよく分かるはずです。そのうえで非常に強靭なバットを持っていますから、より大きな対象魚をねらう場合でも安心できます。釣り場が広く、対象魚が大きくなったからといってゴツいロッドを使うと、キャスティングの感覚が変わってしまいます。J803なら、そのような違和感を覚えることなく、いわゆるヤマメ釣りのキャスティングフィールのままで釣りが楽しめると思います」

たとえば北海道などでは、やはり高番手のロッドを選びたくなるが、J803はそのようなフィールドでも安心して使える。

「従来のシリーズでも、スティールヘッド以外は海外釣行の際も3番しか持っていかなかったんですが、『Asquith』はさらに磨きがかかっています。大ものゲッターには、特におすすめです」

その後里見さんはニンフに結び替えた。渓を釣り上がりながらルースニングでも次々と魚を手にして、「よく曲がるけれども、強い」ロッドの感覚を楽しんでいた。 神流川、上野村漁協管内の『中ノ沢毛ばり釣場』には、このように看板が各所にある
●予約・問い合わせ先 上野村漁協(☎0274-59-3155) http://ueno-fc.com/


2018/1/29

つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
TACKLE SHOP DUSK
つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
TACKLE SHOP DUSK

最新号 2024年12月号 Early Autumn

【特集】マスのきもち

朱鞠内湖のイトウ、渓流のヤマメ、イワナ、忍野のニジマス、九頭竜川サクラマス本流のニジマス、中禅寺湖のブラウントラウトなど、それぞれのエキスパートたちに「マスのきもち」についてインタビュー。

色がわかるのか、釣られた記憶はいつ頃忘れるのか、など私たちのターゲットについての習性考察していただきました。

また、特別編として、プロタイヤーの備前貢さんにご自身の経験を、魚類の研究に携わる、棟方有宗さんと高橋宏司さんに科学的な見地から文章をいただいています。

みなさんの情熱が溢れてしまい、今号は16ページ増でお届けします。

「タイトループ」セクションでは国内のグラスロッド・メーカーへの工房を取材。製作者たちのこだわりをインタビューしています。


Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

 

NOW LOADING