“虫らしさ”を印象付けるウイング考 2/2

ウイングを見せるのは水面上か、水面下か

加藤力=解説
ウイングを見せるうえで鍵になるのは、それが水面から出ているのか、水中にあるのかということ。ねらったパターンの性能とイミテートを両立する、ウイング材の使い分け。
この記事は2016年12月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
かとう・つとむ
1971年生まれ。愛知県名古屋市在住。「加藤毛ばり店」を営みながら、IFFFマスターインストラクターとして、精力的にスクールなどを実施。渓流からソルトまでさまざまなフィールドの釣りに精通しているが、解禁初期の時期は、繊細なライズフィッシングを楽しむことが多い。

セレクティブな魚にはウイングで勝負

その時結ぶドライフライを決定するための材料には、サイズ、色、浮き方、形の4つの要素があると思う。

先行者のいない場所に入ったり、入渓者のほとんどいないシークレットポイントで釣ったりするのであれば、フライは視認性、浮力などの扱いやすさを重視して選べばよい。

キャスティング・アプローチさえしっかりしていれば、スレていない魚は疑うことなく最初の1投目で口を使ってくれる場合が多いからだ。

しかし、魚が何か特定の虫を偏食している時や、先行者の後を追いかける釣り、またはC&R区間など人気の多い場面では、サイズ、色、浮き方に加えて、形(シルエット)にももう一工夫してみたくなる。

そんな時にバリエーションを揃えるのがウイング。これまでも、このパーツによって魚(特にライズしている魚)の反応が左右した経験は多いのだ。

ではどのようなバリエーションがあるかというと、私の場合はフライが水面に浮かんだ時に、ウイングが水面上にあるか、または水中に入るかという部分を基準にしている。

水面上に出たウイングは、メイフライのダン、アダルトなどをイメージ。一方、水面に張り付いたり、沈んだりするウイングは、イマージャーやクリップルなどをイミテートしている。

同時に考えなければならないのは、ウイングのシルエットをぼかすのか、明確に見せるのかということ。基本的にぼかす時はウイングの先端を開いた状態にし、輪郭を強調させたい時には先端を接着剤で束ねるような形に固定する。

これらの要素をフライパターンに合わせたマテリアルで組み込んでいくのだが、私はCDC、ズィーロン、ハックルティップ、ミッジメイフライシート(加藤毛ばり店オリジナル)の4つを愛用している。次では、その具体的な使い分けを解説してみたい。

4つのマテリアルを使い分ける

<CDC>
こちらは基本的に水面上にウイングを出す(浮かべる)場合に使用しており、ダン、アダルトパターンに組み合わせることが多い。

私の場合はストークごと片側2枚のフェザーを張り合わせて留めるが、表面を合わせたバージョンと裏面を合わせたものの2タイプを用意している。

以前は先端を接着剤でまとめてシルエットを際立たせていたのだが、効果があまり感じられず、今ではそのままの状態(=ぼかして見せる)で使っている。
CDCウイング
●フック……TMC103BL #15
●スレッド……16/0オリーブ
●テイル……コック・デ・レオン(サドル)
●ウイング……CDCナチュラル(4枚)
●アブドメン……ストリップド・グースバイオット・オリーブ
●ソラックス……スパークル・シールズファー・オリーブ
大きめのCDCフェザーを水面から立つような形で留め、逆光の時でもよく見えるフラィ。本流のライズねらいでも使用する


<ズィーロン>
こちらはウイングを水面下に入れたい場合に使用するマテリアル。シンセティック素材なので、先端を接着してシルエットを強調させると、イマージャーからクリップルまで幅広く使用できるのが利点。

ちなみにミッジなどの小型パターンの場合は、先端をまとめないほうが効果的なことも多い。
ズィーロン・ウイング
●フック……TMC212Y #15
●スレッド……16/0ブラウン
●テイル……ズィーロン・ブラウン
●ウイング……ズィーロン・ブラック(先端を接着材でまとめる)
●アブドメン……ストリップド・グースバイオット・ブラウン
●ソラックス……スパークル・シールズファー・レッド
●インジケーター……エアロドライウィング・FLオレンジ、CDCナチュラル
ウイングが水面に入る形になり、ライズねらいでオールマイティーな場面で使えるフラィ。プレッシャーの高い河川の釣り上がりに使っても効果的


<ハックルティップ>
この素材は、水面上、水面下どちらの場合にも使える。水面上の場合はヘンネック(グリズリー)を使用したアダムズなどに代表されるだろう。使い勝手もよく、パイロットフライ的にも使えるタイプになる。

一方水面と干渉させる場合は、どちらかというと水面に張り付くような感じがよい。そのため大型のウエット用コックネックやインドケープを使用すると、強い表面張力を得ることができる。ちなみにその場合、ティペットが細すぎるとキャスト時に回転しやすくなるので注意。
ハックルティップ・ウイング
●フック……TMC212TR #11
●スレッド……16/0ブラック
●ポスト……エアロドライウィング・FLオレンジ
●ウイング……コックネック・プラック(大型ウエット用のコックネックのティップ)
●アブドメン……ストリップド・グースバイオット・ブラック
●ハックル……コックネック・ブラック(大型ウエット用に使うフェザー)
●ソラックス……スパークル・シールズファ一・ブラック
秋などの季節、ハッチしている虫が特定できない時に使用するパターン。釣り上がりで使用することが多く、ハックルは薄く巻き、表面張力で浮かせるようなイメージ。流下時ウイングは水面に付いても上に出てもよい


<ミッジメイフライシート>
こちらも水面の上下どちらでもOKで、フィルムに細い筋が入っているので、かなりリアルな表現をしたい時にもぴったり。

水面上の場合はスタンダードタイプの縦巻きハックルに合わせている。水面下の場合は、透明感のあるダークグレーを選ぶ。実際フタバコカゲロウのハッチ時によい釣りをしたことがあり、羽アリパターンにも効果的だ。柔らかいので投射性を損なうこともない。 ミッジメイフライシート・ウイング
●フック……TMC103BL #19
●スレッド……16/0イエロー
●テイル……ムースホック・ナチュラルブラック
●インジケーター……エアロドライウィング・FLイエロー
●ウイング……ミッジメイフライシート
●ポディー……ポディークイル・イエロー(ヴィーバス)
●ハックル……コックネック・ダークダン
シンセティックの薄いウイングは、水面に入ってもリアルな質感を失わない。オールマイティーにライズ、ブラインドの釣りに使用するが、特にフタバコカゲロウ、羽アリの流下時に効果あり


2017/10/16

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
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