LOGIN

安全でトラブルなくターンさせる。

湖、シューティングヘッドのキャスティング

山口直哉=解説

風の吹く湖で求められるのは、トラブルなく遠投でき、しっかりとターンさせることのできるテクニック。たどり着いたのは、フォルスキャストの早い段階でリストを動かし、ロッドティップの延長線上にラインを通すキャスティング。
この記事は2016年3月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
山口 直哉(やまぐち・なおや)
東京都西東京市在住。中禅寺湖の釣りに精通しており、シューティングヘッドを使ったリトリーブの釣りを得意としている。フライロッドブランド「キャプチュード」を手掛け、イベントなどでキャスティングデモを披露する機会も多い。

山口直哉さんのキャスティング解説動画はこちら!
【湖のキャスティング】高い位置に保持するループ

リスト先行型

湖でシングルハンド・ロッドのオーバーヘッド・キャストで釣りをする際、次のようなトラブルに悩まされた経験のある人は多いと思う。

●風で思いどおりのループが作れず、リーダー、ティペットが絡まってしまう。
●キャスト中にフライがロッドや自分の身体に当たってしまう。

キャスティングのフォ—ムにはいくつかのスタイルがあり、何がベストとは一概にはいえない。だが湖でこれらのトラブルを未然に防ぎ、安全かつ効率よく釣りをするためには、「ロッドティップの延長線上にラインを通すこと」、「バックキャストできっちりとラインが伸びてからシュ—トすること」の2つはとても重要になる。
ラインはロッドティップの上を通すようにロッドを振る。ループは常に高い位置に保持。ねじれることなく、湖の風にも対応しやすい

これが守れていれば、ほとんどの状況下で効率よく、安全にキャストできるはずだ。また、ロッドティップの延長線上にループを作ることによって、ループの軌道自体が高くなる。それは安全性だけでなく、フォルスキャストで不必要に水面を叩いてしまったり、バックで地面に大事なフライを取られてしまったりするトラブルも防ぐことができる。

自分が実践しているキャスティングでは、疲れが少なく、トラブルなく安全に、毎回安定したル—プで確実に夕ーンさせることを目的としている。

そのために、前述したようにロッドティップの真上にラインを通過させ、さらにリスト先行型(フォワード、バックキャストそれぞれのスタートと同時にリストの開閉を始める)のフォルスキャストを採用。これにより常に高い位置でラインがキ—プできることになる。

極端なタイトループは避け、シュ—トタイミングが取りやすい、できるかぎり遅いラインスピ—ドで1投1投を丁寧に投げることを心掛けている。
ループが展開を始めるタイミングで、「ティップの位置を変えずに」リストを開け始め、ロッドを立てる。あとはループが落ちる前に腕を使ってバックキャストに移るだけ

ループは高い位置に維持

フォルスキャストでループが下がる原因の一つに、キャスト中のオーバー夕ーンが挙げられる。これを防ぐには、風の強さなど、その時の状況に合わせた「ラインスピード」と「ドリフト」が重要になってくる。

不必要にラインスピードを上げてしまうと、シュー卜のタイミングが取りづらくなるばかりか、オーバー夕ーンになりやすく、結果的にループは下がりがち。できるかぎりゆっくりロッドを振るような意識でル—プを作りたい。
ループが展開し始め、バックキャストに移る直前の段階

腕の位置はほぼそのままに、まずはリストを使ってロッドを立て始める。この時点でロッドに負荷が掛かっているのが分かるが、フォワード側のラインが伸びきる前にこの動作に移るので、腕、リストにほとんど力を入れずに済む

リストを開いたら、そのまま腕を使ってバックキャストに移る

フォワードからバック、そしてバックからシュートヘと移る次の動作への準備として行なうドリフトには、ラインスラックの原因になるバイブレ—ションを抑えるだけでなく、オーバーターンを防ぐ役割がある。その際、リスト先行型のフォルスキャストはラインスピードがコントロ—ルしやすく、ドリフトを行ないやすいと思う。

シュートの動作に近いといえる、ストロークの最後にリストを使うフォルスキャストと比べ、利き腕の負担が減り、疲労度も少ないと感じている。

ロングキャスト時に、バックでロッドを寝かせてシュ—卜のストロ—クを稼ぐ場合も、早めにリストオペレ—ションを終えることで、ル—プを出す方向が後方やや高い位置に決まってさえいれば、その後ロッドを倒すようにドリフトしてもル—プが下がりにくい。

ループが高い位置で解け、ラインの落下を捉えて地面に着く前にシュートすればよい。極端なタイトループはライントラブルの原因になるだけではなく、シュー卜のタイミングも取りづらくなるので避けるようにしている。
バックキャストの射出角は、やや高めを意識。これにより余裕を持ってドリフト、そしてフォワードキャストへ移れる

風対策

理論上、ロッドをまっすぐ振っていれば、ティップの真上をループが通過していくことになる。しかし人間は機械ではなく、釣り場で吹く風も一定ではないので、条件によっては多少ロッドを傾けて調整したほうが失敗は少ない。
振りかぶるように、真っすぐにロッドを振る。ロッドとなるべく角度が付かないようにホールを入れる

その際ロッドを傾けても、あくまでもループをロッドティップの延長線上に作るイメージは変わらない。特に横から風が吹いている場合は、次のように調整している。

●ロッドハンド側からの微風なら、やや風下側にロッドを傾ける。
●ラインハンド側からの緩い風は釣り人にとっては好条件。ロッドはまっすぐに振ればよい。
●ラインハンド側から強い風が吹いて、ループがロッドや身体から離れた場所にできてしまう場合は、ロッドを風上側に倒して調整すると楽に触れる。

ちなみに最も嫌なのは、ワンドなどでバックだけ風が逆に巻いている状況。このような時は1投ごと丁寧にかつ微調整しながら対応するしかない。

本格的に湖の釣りを始めて30年近く経つが、最初は試行錯誤の連続だった。元来怠け者で練習嫌いな性分なので、常にフィールドが練習場でもあった。

ホームフィールドでもある中禅寺湖は基本的に立ち込んだ時に左右の風が多く、まず障害となったのは利き腕側からの風だった。自分を釣ってしまうという恐怖心から、さまざまな投げ方を試した。

そんななかでどうすれば遠くに飛ばせるのか? 利き腕側の風はどう投げたら危なくないのだろうか? どうすればフライがバックに取られなくなるのだろうか? 何でリーダーがグチャグチャ? 魚を数多く手にするために、これらのキャスティングトラブルをクリアしていった結果が、現在のキャストスタイルにつながっている。

2018/6/15

つり人社の刊行物
FlyFisher 30 Years
FlyFisher 30 Years 本体1,800円+税 AB判144P
AB判全カラー144P/創刊号の判形を再現! 表紙は、FlyFisher 創刊号(1988年)が目印! 過去へのバックキャストと、未来へのフォワードキャストでつなぐ 美しいループを皆様の元へ。 『FlyFisher』から30周年の感謝の気持…

最新号 2018年12月号 Fall

特集は「あの尺ヤマメを逃した理由」。
間違いなくドライフライをくわえたかに見えたのに、痛恨のすっぽ抜け……。誰もが一度はそんな経験をしているはずですが、その理由ははっきりしないことがほとんどです。今回はエキスパートたちが、これまで見聞きしてきたバラシの要因を考察。また、カメラがはっきりとらえたすっぽ抜けの瞬間を解析します。来シーズンに悔しい思いをしなくてすむために、じっくり読んでみてください。
そのほか、秋も楽しめる北海道の釣り場紹介も掲載。さらにぺゾンのバンブーロッドについても、たっぷり誌面を使って掘り下げています。
[ 詳細はこちらから ]

 

NOW LOADING