秋の本流、表層の季節。

長野県/犀川

稲田 秀彦=解説
秋の夕方に表層をねらう。ヒラキで良型がヒットした

各地の渓流が禁漁期を迎えた時期、本流の水温はようやく安定し始める。11月中旬まで水生昆虫のハッチも見られ、表層を意識するマスも現われる。そんな秋のチャンスをフローティングラインでねらってみる。
この記事は2017年12月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
いなだ・ひでひこ
1972年生まれ。長野県安曇野市在住。自宅からも近い信州の渓をホームグラウンドにしており、渓流禁漁後問もなくの時期は犀川に通うことが多い。山岳渓流のイワナねらいからダブルハンド・ロッドを使った本流の釣りまで、幅広いフライフィッシングに詳しい。


秋のチャンス

10月に入り、少しずつ山の木々が色づいて秋の気配が濃厚になると、ニジマスを対象とした通年解禁を実施している犀川(犀川殖産漁協エリア)に足を運ぶ機会が多くなる。

水量豊富な犀川の水温も下がり、9~13℃のニジマスの活動に適した水温になる日が増えてくる。このころから11月下旬までは水生昆虫のハッチも夕方にかけて見られるようになり、それに合わせて魚も中層から表層を意識し始めるようだ。
岸近くのカケアガリなども見逃せないポイント

そんな時期に面白いのが、フローティングライン(インターミディエイトのティップ含む)を使った表層の釣り。早朝もしくは日中から夕方にかけての時間帯をメインに、ハッチの状況に合わせたウエットフライの釣りを楽しんでいる。

11月の中旬までは茶褐色のマダラ系など比較的大型の水生昆虫が目立ち、11月中旬から12月中旬になるとユスリカがメインになってくる。それでも気温の上がる正午ごろは中型のマダラ系のメイフライもまだまだ見られる。

また11月中旬までは、イブニングタイムのライズも期待できるので、タイミングが合えばドライフライでの釣りも可能となる。
秋はセッジ系のフライをメインに使用している

条件が重なる夕方がねらいめ

毎年10月になると一般河川が禁漁となっていることもあり、犀川殖産エリアを訪れる釣り人は一気に増える。フライフィッシングはもちろん、ルアーやエサ釣りの人も多く、人気のポイントには連日のように釣り人が入るようになる。

この時期は例年河川の水量も減り、さらに水の透明度も1年で最もクリアになるので、さまざまな意味で魚はプレッシャーを感じることになる。
本流の厚い流れを探る。とはいえ極端に重いシンクティップなどを用いる必要はなく、フローティングラインでも通用するのがこの季節

しかしこの時期は、晴天が続いて水温が安定し、ハッチがあれば表層に出てくる魚も少なくない。本流の釣りとなると、どうしてもシンクレートの重いラインで底付近をトレースするような釣りをイメージしがちだが、ニジマスの捕食のスイッチが入れば思いのほか浅い場所でライズが起きたりする。岸近くのカケアガリなど、膝ほどの水深も要チェックだ。

そんな場所はルアーやエサ釣りでは浅すぎて釣りにくく、重いシンクティップでは根掛かりが頻発する。そこでフローティングラインが有利になる。犀川でも犀川殖産漁協の管轄エリアは、切り立った岩盤状の地形を流れる場所が多く、足もとからすぐ2~3mの急深になるポイントも少なくない。

起伏の激しい岩盤のエッジにもニジマスが潜んでいることが多く、フローティングラインで探るほうが根掛かりも回避しやすい。

ただし、表層の釣りが有利になるのは人的プレッシャーの少ない早朝や、気温が上昇して水温が上がり始めた昼ごろなど。なかでも私が最も重要視しているのは、1日のうちでも状況が安定しやすい午後3~5時である。
犀川は急峻な岩盤地形を流れる本流。深く切れ込んだスリットなどにもニジマスが潜む

釣り場が昼過ぎまで混雑していても、この時間になると釣り人もまばらに。さらにポイントが休まっていた時間も長くなり、魚の警戒心が薄れたところに水生昆虫のハッチが重なったりすると、思いがけずよい釣りができることがある。

ヒラキの魚をねらうシステムは?

10月下旬の時期は、フローティングライン(インターミディエイトのティップ付き)であれば、天候が数日安定した日の午後から夕方にかけてのタイミングがベストになる。そんな時はプールエンドのカケアガリやヒラキ部分にかけて注目したい。

この時期私が使っているのは、13フィート#8のダブルハンド・ロッドのほか、11フィート#7、9フィート6インチのシングルハンド・ロッド。ダブルハンドとスイッチロッドのラインには、スカジットラインを使用し、ラインの先端部分をフローティングやシンキングのティップヘと交換できるタイプを選んでいる。
タックルはダブルハンド、スイッチ、シングルハンドの#6-8がちょうどよい。川幅のある犀川ではダブルハンドが有利になるが、浅場を静かに釣りたい時にはシングルハンドも活躍する

ねらう場所は比較的岸に近い浅い流れになるが、夕方近くになり水生昆虫がハッチし始めれば、シングルハンド・ロッドの出番もある。もちろんその日の状況や先行者の有無によって条件は変わってくるが、やはりシングルハンドの静かなキャスティングは有利な要素。

こちらの場合はWFのフローティングラインを使用。オールフローティングやインターミディエイト・ティップのものを使うが、リーダー(ナイロン)は9~12フィートに設定。そこに1~3Xのティペットでドロッパーシステムを作っている。
秋は魚のコンディションもよい。ヒレのとがったワイルドな1尾の引きはなかなか強烈

フライパターンは#4~12の範囲でマーチブラウンやシルバーマーチブランといったセッジパターンがメイン。このほかピーコックソードを用いたアレキサンドラ、ジューンバグなども使用しているが、こちらはヒゲナガのラーバを意識して流すことが多い。

2017/10/30

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
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