水中の釣りをステップアップ

リトリーブは面白い!

遠藤早都治=解説
管理釣り場でも、リトリーブの釣りを覚えれば、より楽しみの幅が広がるはず

いざ止水の釣りに挑戦しようと思っても、渓流のドライフライの釣りとは異なる部分が多い。今自分のフライが水中でどのような状態で動いているのかなど、水面の釣りよりも想像力を働かせて釣りを組み立てることになる。まずは、思いどおりに釣るためのベーシックを押さえよう。
この記事は2014年1月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
えんどう・さとし
1977年生まれ。横浜市都筑区で「フライフィッシングショップなごみ」を営んでいる。ビギナーにレクチャーする機会が多く、渓流しか釣ったことのない人を対象にした、リトリープがテーマのスクールも定期的に実施している。IFFF公認インストラクターの資格を持つ。

まずは適したタックルから

最初はフローティングラインを使ってもよいが、表層しか探れなかったり、強風の時は風に影響を受けてアタリが取りづらかったりと、扱いにくい場面も多い。本格的にリトリーブの釣りに興味が湧いたら、早い段階でシンキングラインを使い始めたほうが、釣りがしやすいうえ、上達も早いはず。

まずはそんな場合におすすめの、管理釣り場や湖のフィールドを想定した、初めての人でも扱いやすいタックル&システムを紹介したい。
遠藤さんは管理釣り場の場合、フローティングライン、インターミディエイト~タイプ3の4本のラインをセットしたタックルを用意。もちろんロッドが複数本なければ、替えスプールで対応するのもOK

●ロッド……9フィート、#6~8ロッド
●ライン……インターミディエイト、タイプ2~3のWFライン(シューティングヘッドでもOK)
●リール……フライラインと、対象魚に合わせた長さのバッキングラインが収納できるもの
●リーダー……9フィ—卜3~4Xのフロロカーボン
●ティペット……3~5Xのフロロカーボン

以上のタックルがあれば、カバーできるフィールドは格段に多くなる。ロッドは遠投のできるファーストアクションのものがおすすめで、リトリーブ中に訪れるコツッコツッといったアタリも感度よく捉えやすい。リーダー、ティペットは、水に馴染みやすく、水中でも見えにくいフロロカーボンがよいだろう。

リトリーブの釣りは広範囲を探れるロングキャストが有利になる場合が多い。そのため、基本的には飛距離を出せるタックル、システムを選ぶようにしたい。
シンキングラインのシンクレートは、複数種類あると対応の幅は広がるが、迷った場合、もしくは最初の1本を選ぶのであれば、汎用性の高いタイプ2がおすすめ

基本のセルフチェックを忘れずに

まずは、「釣れない原因」になりがちな部分を常にセルフチェックするように心掛けよう。

◆ティペットまでしっかりターンさせて着水
キャストではシステム全体が(絡まないように)しっかりと伸びきり、キャスターから最も遠い位置にフライが落ちるのが理想だが、着水時にラインが曲がるくらいは大丈夫。

そんな時はカウントダウンする前に手もとのラインを引っ張って、全体が直線になるように直してから沈めるようにする。こうしないとシステム全体が均一に沈下せず、リトリーブ開始時から反応が得られないうえ、ライントラブルも多くなる。
リトリーブの釣りは、まずはフライラインをしっかりとターンさせて落とすところから始まる

◆サオ先を下げてリトリーブ
サオ先が水面から上がっていると、フライラインとの間に角度ができる。するとロッドティップがラインに掛かるテンションを吸収してしまい、アタリがあった時もその反応が手もとに伝わりにくくなってしまう。そのため、なるべくフライラインとロッドの角度をなるべく真っ直ぐにしておきたい。

ちなみに、サオ先を水中に入れておけば、ロッドティップから出るラインのたるみを極力減らすことができる。アタリはティップではなく、手もとのラインで感じるように意識しながら、リトリーブしよう。
リトリーブ時には、ロッドティップをラインと直線状にして水中に入れ、ラインに触れている時間を長くとるようなトリッピングを行なう。ロッドを持つ手は軽く保持するだけでもOK

◆フライの状態をこまめにチェック
ウイングやテイルの長いストリーマーパターンは、マテリアルがフックに絡まって泳ぎ姿勢を崩さないように注意。ラインがたるんだままカウントダウンすると絡まりやすいので、キャスト時から気を遣うことが大切。
遠藤さんの場合、リトリーブの釣りではマラブーも多用。常にテイルが絡まっていないか、気を遣っておきたい

◆ラインのテンショは常に維持
ラインは常に張っている状態にしておかなければ、手もとに魚のアタリが伝わらない。そのためラインを引いた手は、次のストリッピングに移れるよう、すばやく戻すことを心掛けよう。

手を離している時間が空いてしまうと、アタリを逃してしまうばかりか、ラインのたわみにもつながってしまい、その間フライの動きも停止してしまう。たとえスロースピードのリトリーブでも、手を戻す動作までスローにならないようにしたい。
アタリは常に感じられるよう、ラインハンドはできるだけ長い時間ラインに触れているようにしたい

アワセはラインハンドで

ビギナーが失敗しがちなテーマとして、フッキングがある。リトリーブの釣りでは、手もとのラインにバイトの振動が直に伝わってくる。これこそが水中の釣りの魅力のひとつであるといえるが、ここで肝心なのは、決してロッドをはね上げるようにして合わせないこと。

バイトがあってもロッドは立てずに、ラインを引いて合わせるように、そのままリトリーブを続ける。ここでいきなりロッドを立ててしまうと、急に大きくフライが上に動いて(魚の視界からフライが消えて) しまうため、その後の追い食いが期待できなくなる。
バイトがあったら、まずはラインを大きく引いて魚を乗せる

湖や海の釣りでは、2度目3度目のバイトでフッキングすることも珍しくなく、このチャンスを得るためにも、フライを大きく動かしてしまうアワセ方は避けたいところだ。

魚の重みが確実に伝わってきたら、そこではじめてロッドを立ててファイトを開始すればよい。

しかし、この方法を守っていても、どうしてもフッキングがうまくいかない場合がある。そんな時は、次のことに注意してみよう。

◆ティペットは細くしすぎない
慣れないうちに細すぎるティペットを使うと、バイトのタイミングでブレイク(アワセ切れ)してしまうこともある。初めのうち管理釣り場などで釣る場合は、さまざまなサイズのパターンに対応しやすい4Xのティペットから始めてみるとよいだろう。

このほかアワセ切れの理由としてウインドノットがあるので、キャスティングが失敗したと思ったら、その都度こまめにラインをチェックすることが必要。

◆ハリ先が痛んでいないかチェック
キャスト時に後ろの木や地面を叩いて、フックポイントが丸くなっていたら研ぐ必要がある。特にロングキャストをする機会の多いリトリーブの釣りでは、ティペットやフックを傷つけないよう、しっかりと高い位置でフォルスキャストを行ないたい。

◆1回にラインを引くのは腰あたりまで
常にラインに触れていて、アタリを感じ取ることは重要だが、1回のストリッピングで大きく引きすぎるのも、その後のアワセに支障が出てしまう。

というのは、ストリッピング時にラインハンドを自分の腰より後方まで引いてしまうと、そこでバイトがあった際に、それ以上ラインを引くことができずに、フッキングに充分なテンションを与えられなくなってしまうから。

そのため、どのタイミングでもしっかりと合わせられるよう、ラインハンドを腰付近の位置まで引いたらすばやく戻して、次のストリッピングに移ったほうが安心だ。
リトリーブ時にラインを掛ける指を傷めないよう、ストリッピングガードがあると安心。また、飛距離を伸ばすために、ラインクリーナーはこまめに塗っておくようにしたい

効果的にフライを動かす

基本的な動作を覚えたら、次はちょっとしたコツを紹介したい。まず、リトリーブは一定の速度から始めるのが分かりやすいが、慣れてきたら、変化を付けた動かし方をしてみるのもアリだ。

5cmずつ小刻みに引いてみたり、長く40cmほどをゆっくり引いてみたりと、演出したいベイトの動き(速さ)に合わせたリトリーブでアピールしたい。ただし、いずれの場合も、1回のストリッピングの間隔はできるだけ短くすることを心掛けよう。

また、フライを常に動かし続けるリトリーブのテクニックとして、「ツーハンド・リトリーブ」がある。サオを脇に挟んで、両手を使ってラインを手繰るように引いてくるもので、ビギナーでも、常にラインにテンションを与えた状態で、スピード調節が行ないやすいという利点がある。
フライラインは、あらかじめ巻き癖を取っておくようにしたい。ラインの癖が原因で、水中を沈むラインが伸びきった状態を維持できないことも……

ちなみに、フライを引っ張っていると、魚が足もとまで追いかけてきてヒットすることもある。そのため、早めに見切りをつけてピックアップせずに、気を抜かずに最後までフライを泳がせるように心掛けたい。

ラインをピックアップする時は、まずはロールキャストを行ない、沈んだラインを水面まで持ち上げてからフォルスキャストに移ると、フライが自分にぶつかる危険も少なく、手返しよくキャストを繰り返すことができる。

2017/11/13

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
[ 詳細はこちらから ]

 

NOW LOADING