ピーコック活用術。
部位ごとの特性を知る
北角 勝=解説
効果的な扱い方を知っていればより美しく、機能的なフライを巻ことができる。今回は、初夏から使う機会の多いマテリアル、ピーコックを使いこなすためのマメ知識を解説。今まで何気なく使っていたマテリアルが、もっと魅力的に見えてくるはず。
この記事は2014年8月号に掲載されたものを再編集しています。
《Profile》
北角 勝(きたかど・まさる)
1973年生まれ。埼玉県戸田市在住。クラシックパターンからオリジナルのエッセンスを取り入れたフライまで、ナチュラル素材を使ったドライフライのタイイングを得意としており、タイイングデスクヘ向かうのはほぼ毎日。栃木県など北関東の渓を中心に釣りを楽しみ、盛期には東北へも足を運ぶ。
北角 勝(きたかど・まさる)
1973年生まれ。埼玉県戸田市在住。クラシックパターンからオリジナルのエッセンスを取り入れたフライまで、ナチュラル素材を使ったドライフライのタイイングを得意としており、タイイングデスクヘ向かうのはほぼ毎日。栃木県など北関東の渓を中心に釣りを楽しみ、盛期には東北へも足を運ぶ。
部位で変わる特性
もはや夏のフライパターンには欠かせない素材としての地位を確立しているピーコックだが、フェザー(ピーコックアイも含む)の特性を理解していれば、よりタイイングの可能性は広がってくる。特にアイを持つフェザーであれば、ファイバーは部位ごとに特性が異なり、ドライフライとして使用する場合でもその役割が変わってくる。
ドライフライのタイイングを得意とする北角勝さんも、陸生昆虫を表現するパターンにはピーコックを多く取り入れており、その時のフックサイズやパーツ、使用用途によって選ぶファイバーを使い分けている。
「ピーコックは本当に余すところのないマテリアルです。アイ部分の使い道はもちろんですが、その下のストークに生えているファイバーも取れる箇所によってフリューの長さが微妙に違うので、そういった特徴をフライごとに使い分けています」
ここではピーコックフェザーの部位ごとのおすすめの使い方と、その作例を紹介してみたい。
A アイ先端部分

アイの部分はファイバーの芯が細く、フリューも短いので、ボリューム感のあるボディーを作るのには向いていない。しかし、エルクヘア・カディスなどボディーハックルを巻いたパターンのボディーに使う際には、ハックルを活かすためにもフリューが長めである必要はないので、ビーコックアイ先端近くのファイバーを使うのがおすすめ。
小さめで細身のボディーを作りたいなら1本で構わないが、ボリュームに応じて、2~3本を束ねて使うのもよい。
B アイ中心部分

ピーコックの象徴といえるアイの中心部分だが、その独特の色味はぜひ活用したい。中心の濃いブルーの周囲に広がる金属的な光沢のあるブルーの部分は、コガネムシの体色にもそっくりで、特にビートルバターンなどのオーバーボディーなどにおすすめだ。もちろんそのままシャンクに巻いてもよい。


C ストーク上・中部(ピーコックハール)

長いフリューが生えており、下部に比べて芯も太すぎないので、シャンクに巻いてボディーに使うならば、最もよいファイバーが取れる部分。そして最もタイイングの幅が広がる部分でもある。

先端側をシャンクに留めて巻き付けていけば、ファイバー下部ほど芯が太くなる構造を利用して、アイ側に向けてテーバーのあるボディーが作れる。また、数本を束ねてシャンクに巻き付ければ、よりボリュームのあるボディーが表現できる。
D ストーク下部(ピーコックハール)

ストーク下部に生えているファイバーの特徴は、芯が太いこと。このため小さいサイズのフライタイイングには不向きだが、フリュー自体には充分ボリュームがあるので、#12以上のパターンに使うのがよい。

ストーク中・上部のファイバーが少なくなってきて、どうしても小さめのサイズに使用したい場合は比較的芯の細い先端部分を巻くのがベスト。ただし上質なピーコックならば、ストーク下部のファイバーでもしなやかなものが多い。
よいマテリアルを見つけるコツは、アイの大きさに注目すること。目玉のような模様が大きいものほどフェザー全体のフリューが長い傾向にあるので、購入の際にはアイの大きさを目安にしてみるとよい。
ファイバーの左右でフリューの長さは違う

ストークから切り取ったファイバーをよく見てみると、左右でフリューの長さに差があるのが分かる。ピーコックハールでは芯のアイ側にあるフリューが長い。ファイバーをスレッドに絡めたりせずに、ダイレクトにシャンクに巻き付ける場合には、ぜひこの特性を活かしたい。

つまりフリューの長い側が外側にくるように巻き付ければ、よりピーコックの質感が強調できることになる。シャンクに留める際には短いほうがフック側になるようにする。これは2本同時に巻き付ける時も同じ。
2018/5/4