LOGIN
Bibury Court

パラシュートを美しく巻く(ハックル)

水平に巻くハックリング

北角 勝=解説

ポストともに、パラシュートの工程の重要な部分に「ハックル」がある。今回紹介するのは北角勝さんが実践する、丈夫でバランスよく、さらにすっきりと巻くためのコツ。パラシュートの完成度が上がらないという人におすすめ。
この記事は2015年1月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
北角 勝(きたかど・まさる)
1973年生まれ。埼玉県戸田市在住。自身の釣りでもパラシュートを多用し、壊れにくく、きれいな仕上がりのタイイングテクニックを追求。鬼怒川、魚野川水系のフィールドに足を運ぶことが多いが、シーズンオフはもっばらタイイングの日々。

基本は水平に

ポストを立てたら、次はいよいよハックリング。北角さんの工程で特徴的なのは、ハックルはポスト巻き代の上端にハックリング直前に留めるということ。

このテクニックては、フェザーを留める時点でシャンクと平行(ポストに対して直角)にしておくことができるので、よリ無理のない形でハックルを水平に巻きやすい。

さらなるメリットとしては、ボディーやソラックスを作る前にハックルをポストに固定する必要がないので、ポストに固定されたフェザーに煩わされることなくボディーを作ることがてきる。
ハックルをできるだけ水平に巻くことを意識するという、北角さんのパラシュート

また、リーダー・ティペットが長いシステムを用いる場合には、フライの空気抵抗を考慮して、ハックルを「傘状」に巻くテクニックがあるが、北角さんの場合は表を下にしてハックリングしている。

「ハックルのケープは表側のほうがよりしっかりと色が付いています。そのため、魚にしっかりハックルを見せたい場合には、表が下になるように巻くようにしています」

しかしその場合でも回転しやすい「お椀状」になっているわけてはなく、空気抵抗を増やさないよう、あくまてもファイバーはシャンクと平行になるように気を遣っているという。

ハックルの長さ(厚さ)や留め方はその人ごとの釣リのスタイル(ロングリーダー・ティペットなど)やパターンの形によっても異なるが、次に解説するテクニッ
クは汎用性も高く、ちょっとしたコツさえつかめばフライの仕上がリも安定させやすい。

北角流 ポストへのハックル固定の手順

まずはフックサイズに合うファイバーの長さを確認する。ハックルゲージを使えば便利だが、基本的にはファイバーの先端がシャンクの後端にかかるくらいがちょうどよい(ポストをシャンクのアイ側4分1に設定した場合)

ハックルフェザーは、写真のようにスレッドで留める部分のファイバーをむしっておく。ここで固定後ずれにくくするため、ファイバーの根元を少しだけ残しておくという手もあるが、ポストに対して直角に留める北角さんの場合は、すべて取り除いておく

ハックルをポストに留める。まずは留め代部分の上端に、シャンクと平行になるようストークを当てる。この時、スレッドも留め代の上部まで巻き上げておくこと。北角さんはフェザーの色がより魚に見えるよう、表側を下向きに固定している。(実際の工程ではボディー、ソラックスまで巻いてから、この作業に移る)

なるぺくポストに対して直角になるようにストークを固定。3回転ほどでしっかりとテンションを掛けて留めたら、もう1回転目をポスト前側でストークの上に掛ける

最後にストークの上に掛けたスレッドをそのまま下に引き、ストークを折るように「く」の字にポストの留め代に固定。この後も3回転ほどスレッドを掛けて、ポストと一体化させるように固定する

固定後の状態。ポストに対して垂直、シャンクと平行になるように留めるのがポイント。この状態からであれば、ハックルを水平に巻きやすい

裏側から見た状態。余りのストークはぎりぎりでカットせずに、若干余らせておくのが北角流。ハックルを巻き下ろした際に、このわずかな出っ張りが終了点となり、全体的に幅の整ったハックルにしてくれるという

ハックルをポストに巻き付ける。ストークが重ならないよう、しっかりポストをつまんで適度なテンションでポスト根元に巻き下ろしていく。ここでも水平を意識しながら作業

下まで巻き下ろした状態。ストーク間の隙間ができないよう巻き下ろす。ハックルは下に巻き進めるが、上のストークに押しつけるような感覚で巻き付けるのがコツ

巻き下ろしたハックルは、ポストにスレッドを掛けて固定する。写真のように放射状に広がったファイバーの下、余分なハックルの上にスレッドを掛けるように作業。この時、巻き付けたハックルの間にスレッドを回さないよう注息。同じように3回転させてしっかり固定

このあと下側に暴れ気味になったファイバーを、ハックルを下から上に持ち上げるようにスレッドを回し、全体を整形する

ハックルを整え、余りをカットした状態。シャンクと平行にファイバーが伸びているか、上下にファイバーが飛び出していないかをチェック

上から見てムラのない円形になっているかも確認して、終了

2018/11/7

最新号 2024年9月号 Mid Summer

【特集】渓流ドライフライQ&A

Q.ドライフライのコツ、トップ3を教えてください。
Q.渓流に適したタックルを教えてください。
Q.釣れるフライ、釣れないフライというのはありますか。
Q.釣りの友だちって必要ですか。
Q.渇水と平水、フライパターンに変化はありますか。
Q.魚を見つけるコツはありますか。

など、今号では、基礎的なものから、渇水の釣り方、サイトフィッシングのコツなど、渓流のドライフライ・フィッシングについて、エキスパートに多数の質問をぶつけました。

「タイトループ」セクションはぶら下がりのパターンとして世界的に使われているクリンクハマー・スペシャルの生みの親、ハンス・ヴァン・クリンケンさんの寄稿とインタビュー。

そして、クロダイポッパーの釣りを10年以上前から大阪湾で実践しているパイオニア、筒井裕作さんが、最近注目が集まる、東京湾で初挑戦します。

今年度、小誌は創刊35周年を迎えております。今号では、特別付録として来年のカレンダー「Beulah CALENDAR 2025」が付属します。


Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

 

NOW LOADING