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スタンダードが結びたくなる。

ロイヤルコーチマン、ライトケイヒル、ウルフ

岩月正弘、長田規孝、北角勝=解説

縦に厚く巻かれたハックルと、スッと伸びたテイル。投射性でこそ現代のフライには劣るが、スタンダードパターンには多くの魚を惹き付ける要素が詰まっている。そんなフライを現役で使う機会の多い、3人のボックスに欠かせないフェイバリット・パターンを紹介。
この記事は2016年12月号に掲載されたものを再編集しています。

ロイヤルコーチマン(長田規孝)

スタンダードのドライフライは、理想の姿勢はフックポイントを下にした3点浮き(ハックルとボディー、テイル)だが、実際にはキャストのたびに同じ姿勢で流すことは難しく、魚目線ではその都度”違うフライ”になっていると考えられる。

もちろんそれがメリットになる時もあれば、その逆の場合もあるはずだが、そんなフライで釣った魚の記憶は印象に残りやすく、どこか優越感がある。

そんなわけで、私はロイヤルコーチマンを愛用しているが、このフライは色合いや形状、すべてがまさにフライフィッシング的な雰囲気。ボディーにピーコックハールと赤いフロスを使うことから、テレストリアルのイメージも強いが、実際にはコカゲロウなどのライズヘも充分対応でき、守備範囲の広さも気に入っている。

昔からスタンダードタイプだけでなくさまざまなスタイルで巻き続けられていることからも、効果は間違いないのだろうと思う。タイイング面においても特に小さなサイズは難しく、いまだに納得した形にならないが、その奥深さがまた楽しかったりする。
ロイヤルコーチマン
●フック……TMC900BL #16など
●スレッド……8/0ブラック
●テイル……ゴールデンフェザント・ティペット
●ウイング……ダッククイル・ホワイト
●ボディー……ピーコックアイ、レッドフロスorフラッシャブー・レッド
●ハックル……コックネック・コーチマンブラウン
中央の赤いフロス部分は“光モノ方を取り入れたい時には、フラッシャブーを使用。テレストリアル的な見た目だが、水生昆虫のハッチ時にも効果を上げてくれる万能フライ


コーチマンは春先のライズの釣り(ヤマメ、アマゴ、ニジマス)で、さまざまなフライを試してダメだった時に使用することが多い。狩野川支流でコカゲロウなどを捕食しているアマゴに手こずった時も、サイズだけ合わせたコーチマンに一発で反応した時はとても感動した。

そういえば以前友人が、海外で「ロイヤルコーチマンの#20をライズの切り札的に使用している」というような話をしていた。いろいろな偶然が重なって釣れたとは思うが、その後の似た場面でも切り札とまではいかないが、それなりの効果があった。

ちなみに、ウイングは割れてしまうことが多いが釣果にも影響していないと感じているので、あまり気にしていない。また投射性についても細いティペットでラインスピードを上げなければ、それほどトラブルは起きないように思う。

ウルフ(北角 勝)

関東園の渓流ではあまり使用しないが、スタンダードでもボリュームのあるウルフ系のパターンは、一般的なドライフライで反応が渋くなった魚に対して、一発逆転的な思いを込めて使うことがある。

その際、ナチュラルドリフトさせるより、上流側に水面上を転がすような感じで誘いを入れると、よい反応を得られたことがこれまでに何度もあった。私が主に使っているのは、ホワイトウルフ、ロイヤルウルフのほか、グレーカラー(こちらはウイングにエゾシカのヘアを使用)のパターン。

それぞれ魚がエサと認識しているのかは微妙ではあるが、個人的な印象としては、カッコよい!の一言に尽きる(笑)。とはいえ、ウルフパターンはウイングのカーフテイルが視認性にも優れているので、イブニングの釣りやパイロットフライとしても活用できると思う。
ホワイトウルフ
●フック……TMC900BL #10
●スレッド……16/0ホワイト
●テイル……力—フテイル・ホワイト
●ウイング……カーフテイル・ホワイト
●ボデイー……ラビットファー・ホワイト
●ハックル……コックネック・シルバーバジャー
ホワイトウルフはタマヅメのヒゲナガやガをイメージして使用。視認性はとてもよい


ロイヤルウルフ
●フック……TMC900BL #10
●スレッド……16/0ブラック
●テイル……エゾジカ
●ウイング……ヵ—フテイル・ホワイト
●ボデイー……ピーコックハール、ストレッチボディーヤーン・ブラッドレッド
●ハックル……コックネック・ファーネス
ロイヤルウルフは夏場のテレストリアルをイメージして使うことが多い。もちろん源流のイワナにもよい


グレイウルフ
●フック……MC900BL #10
●スレッド……16/0ブラック
●テイル……エゾジカ
●ウイング……エゾジカ
●ボディー……マスクラットアンダーファー・グレー
●ハックル……コックネック・ダークグレーダン
グレイウルフはシーズン中のパイロットフライの1本として結んでいる。また、大型のフタオカゲロウ系のスピナーもイミテートできる

ライトケイヒル(岩月 正弘)

30年以上も通っている岐阜県の蒲田川でエルモンヒラタカゲロウのハッチに遭遇した時、自分の持っているフライや経験では、何ともならないことが何度かあった。同じ川なのに水温によって、同じ種類のメイフライでも大きさや色のトーンが違うことがあり、魚たちはそれを見分けてフライをスルーしているようだった。

ある日のライズもそんな気難しさがあったが、ボックスにあったライトケイヒルを結び、流れに投じてみた。このフライを選んだのは、バンチウイングが風によって揺れて、羽化したばかりのカゲロウの弱々しさを表現してくれると思ったから。

その結果、うまくドリフトできた時ヤマメは本物の虫ではなく、フライのほうを何の疑いもなくくわえた。ランディングできたのは34.5cmのヤマメ。その時ばかりはこのフラ
イを生み出した先人に感謝し、スタンダードパターンの底力を知ったように思った。
ライトケイヒル
●フック……TMC531 #14
●スレッド……12/0イエロー
●テイル……ハックルファイバー・ライトジンジャー
●ウイング……レモンウッドダック
●ボディー……スーパーファインダブ・クリーム
●ハックル……コックネック・ライトジンジャー
メイフライのイミテートでもCDCでは得られないシルエットを表現できるバンチウイング。あまりボリュームを持たせず、か細い線を意識するように巻いている


その後も当然このパターンを愛用しているが、ライトケイヒルはマテリアルが生み出すシルエットがどこかか細く、エルモンヒラタカゲロウのダンの持つはかなさに通じるものがあるのではと思っている。

CDCは便利なマテリアルだが、魚目線ではボリュームがありすぎるのではないか、と思わせるような場面に出くわすことがあり、今ではそんな時こそライトケイヒルの出番となっている。

ちなみに投射性を高めるために、ハックルの下側をカットして使うこともある。

2018/8/17

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