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ささきつりぐ

透明感のあるボディーを作る

ティンセルで「色止め」するボディーの一工夫

北角 勝=解説
ボディーの下地にティンセルを巻いたエルモンヒラタカゲロウのパターン

メイフライの淡い色調の表現にティンセルを用いて、ボディーに生命感を与えるタイイングテクニックを紹介。今回はエルモンヒラタカゲロウのパターンを例に、水に濡れても色調を失わないボディー作りをレポート。
この記事は2012年5月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
北角 勝(きたかど・まさる)
1973年生まれ。埼玉県戸田市在住。栃木県の渓流や忍野を中心に釣行し、マッチング・ザ・ハッチの釣りを好む。フライフィッシングは特にタイイングに精力的で、スタンダードからオリジナルのバターンまで、さまざまなドライフライが得意。

ティンセルで変わる色

ヒラタカゲロウをイミテートする時に、ぜひとも表現したいのがボディーの淡い色調。特にエルモンヒラタカゲロウのメスは薄い緑色のボディーが印象的で、ほかの虫と区別する際にも大きな特徴となる部分。

それを表現する際には、同じ色合いのマテリアルを使用するのはもちろんだが、さらに一工夫加えれば、より本物に近い質感を持ったボディーを作ることができる。

「下地に反射素材などを巻いて色止めしていれば、淡い色を表現しやすいと思います」と話す北角勝さん。そのひとつが、ダビング材の下地にティンセルを巻き留めておく方法。色止めとは本来の色が沈まないようにする下処理のことで、光沢のある下地が微妙に色を明るく見せてくれる。

また、水に濡れた際にも色が変わりにくい。ティンセルの上からダビング材を巻く際には、普通にダビングするよりも少なめのマテリアルで充分なので、その点でも薄い色調を表現しやすい。厚めにダビングしてしまうと、せっかく留めたティンセルの効果をなくしてしまうことになる。
上の写真は下地にティンセルを使ったボディーを水で濡らした時のようす。艶が出て、非常にリアルな質感を持つ。下の写真と比べると、濡れている時でもティンセルを巻いていることで、極端に色が沈んでいないことが分かる

こちらの写真は同じボディーが乾いている時のもの

なお、この場合に最適なのが、シンセティック素材のダビング材。シンセティックは繊維に透明感があるので、下地の役割を引き立たせやすい。

一方、ラビットファーなどのナチュラル素材では、濡れた際に繊維がまとまって、くすんでしまいがちなので、この作り方にはあまり向いていない。

また、余計な色はなるべく排したいので、スレッドも黒色系は使わず、できるだけボディーと同系色のものが望ましい。もちろん、同じテクニックで、エルモンヒラタカゲロウのオスのダンが持つ淡いクリーム色の表現も可能になる。

ちなみに使うティンセルは、淡さを求める場合にはホログラフィック(ミラージュティンセルなど)がおすすめだが、ゴールド、シルバーなどのカラーを使用しても、しっかりと明るく見せることができる。

以下は、北角さんが水生昆虫の淡い体色を表現する際に使うテクニックを、エルモンヒラタカゲロウ(メス)を模したダンパターンを例にとって紹介したい。

テイルとウイングを留めたら、ボディーの工程に移る。アブドメンの下地として、ミラージュティンセルを留める。ミラージュティンセルは、シャンクの上に被せるように乗せて、スレッドで固定する。スレッドは密に巻きすぎないようにし、ラフ留まっていても問題ない

エルモンヒラタカゲロウのメスはテイルの付け根部分のアブドメンが白いので、ライトケイヒルのダビング材を数回転巻き付ける

その次に隙間ができないよう、同じボリュームでチャートリュースのダビング材をウイング付近まで巻き進める。ダビング材はティンセルを巻いているため、シャンクが隠れるほどの量で充分

その後、ハックルとソラックスを留めれば完成。エルモンヒラタカゲロウに限らず、この方法で、さまざまな透明感のあるボディーを持つ水生昆虫を表現できる。
ヘンハックル・エルモンソラックス
●フック……TMC102Y#11
●スレッド……TMC16/0スレッド・ライトケイヒル
●ウイング……CDCナチュラル
●テイル……バーサテールⅡ(ファイン)・バジャー
●アブドメン1……シンセティックダビング材・ライトケイヒル
●アブドメン2……シンセティックダビング材・FLチャートリュース
●ハックル……ヘンハックル・ライトケイヒル
●ソラックス……ヘアズイヤー


2018/5/31

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