管理釣り場のカラーチョイス
マラブーの”アタリカラー”を見つける
天海 崇=解説
同じフライバターンでもカラーを変えただけで魚の反応が変わることがある。管理釣り場で名人と呼ばれる人たちはみなそれぞれ色には一家言を持つが、大切なのは、いつ、どんな時に使うかということ。
この記事は2015年7月号に掲載されたものを再編集しています。
《Profile》
天海 崇(あまがい・たかし)
1973年生まれ。栃木県佐野市在住。「フィッシングショップAKASAKA」に勤務し、北関東の渓流を中心に、さまざまなフィールドヘ足を運んでいる。管理釣り場のインストラクターを務めた経験も持ち、冬季はそうした釣り場を楽しむ機会も多い。
天海 崇(あまがい・たかし)
1973年生まれ。栃木県佐野市在住。「フィッシングショップAKASAKA」に勤務し、北関東の渓流を中心に、さまざまなフィールドヘ足を運んでいる。管理釣り場のインストラクターを務めた経験も持ち、冬季はそうした釣り場を楽しむ機会も多い。
よく釣る人がこだわる”色”
以前勤めていた管理釣り場を訪れる「名人級」の人たちは、必ずといっていいほどお気に入りのマラブーフライを何本か持っていた。彼らが特にこだわるのは、シンキングラインを使った釣りで使うフライの色。オリーブやブラウンのほか、ライトなものと、ダークな色合いのものを用意するのを基本としている。さらにリトリーブ速度、引き幅、ねらう層、釣り場によって経験にもとづいた色の使い分けをしている。
彼らは熱心な研究者でもあり、管理釣り場に勤務しながらそのスタイルを見てきた私も影響を受けている。ここでは、多くの人たちの刺激によって受けた私自身の試行錯誤から、実践する色の使い分けを紹介したい。
天候によって使い分けるカラー
リトリーブの釣りでは、光量と水の色によって水に溶け込むような、あまり存在感のない、目立たない色を使っている。マラブーに当たる光の角度によって反射するので、そこで魚にアピールするという考えである。シルエットはあいまいにしながら、一瞬の反射による輝きで魚を誘う方法だ。
そのため色のチョイスは、光量によって、また水深によっても変わる。晴れていればグレーオリーブ、ジンジャーなど、どちらかといえば淡色系カラーを使う。


逆に曇っている、あるいは波がある、雨が降っている時は、ブラウンやダークオリーブ、ブラックといった暗めをチョイスする。


水色に馴染みやすいカラー選択
このほか、深く沈める場合はホワイトやタン、オレンジ(パンプキンを含む)やチャート、ピンクといったカラーを選ぶ。ニゴリの程度や光の角度によって変わることもあるが、だいたいにおいてはこれらを基本に、やがて安定したアタリカラーが決まってくる。止水のポンドでスプーンを使ったルアーフィッシングでは、活性の低い時はレッド、朝晩はゴールドとシルバー、クリアな水質にはグリーンやパープル、ブルーがよいとされている。
ただし、実際にマラブーフライを作って試した時には、それほど釣果に差があるようには思えなかった。ルアーの理論をフライに適用する点についてはまだデータが少ないため、今後の課題である。
そのうえでもし色に迷ったら、まずは薄いもの、釣り場の水色に馴染みやすいカラーを選択するようにしている。私のお気に入りは、ネイチャーズスピリットが販売するプライムマラブーのグレーオリーブである。
淡色系から試して、徐々に暗いカラーを使い、その日のアタリカラーを探る。反射によるアピールはほかのカラーでも起こりうるので、その点に絞ったアプローチだけでも発見はいろいろあるだろう。

ただ管理釣り場には放流されたばかりのフレッシュなマスもいれば、何度か釣られて学習したマスもいるので、その日によって反応にバラツキが出ることはある。いずれにしてもカラーチョイスを意識した戦略は、自然湖の釣りにも同じように役立てられるはずだと思う。
藻の目立つポイントではグリーン系の色、立ち込んでいる場合には、ボトムに似た色、というのが基本的な考え方だが、目立たせたいカラーとして濃いものを使うのもおもしろい。
初めてのフィールドヘ行った時、私はベテランから奨められたカラーを必ず使用するようにしている。それは間違いなく、データの蓄積から出た答えのひとつであるからだ。
まずはその色を基準にしたうえで、自分なりのこだわりを入れたカラーチョイスを取り入れていけばよいのである。
2023/11/6