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地図を片手に釣査する。

支流も見逃さず、通える範囲を片っ端から……

飯塚 亨=解説
8月の夏の鬼怒川水系。車止めから上流を釣り上がって行ったが反応なし。しばらく歩いて砂利が堆積したポイントヘ。わずかな水量で流れ込んでいた沢だが、釣り上がるとすぐに水量は豊富になった。少しだけイワナと遊ばせてもらった

栃木県内の渓流を釣り歩いて13年。培ったデータから極力釣り人のいない区間に入渓する。ハイプレッシャー河川ひしめく関東の渓では、釣り人のいない区間そのものが、穴場となる可能性がある。
この記事は2009年4月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
飯塚 亨(いいづか・とおる)
1973年生まれ。栃木県栃木市在住。県内各地の渓流をメインに東北や海外へも足を申ばす。栃木県内の小渓流を得意とするため、釣り仲間からは「ブッシュマスター」と呼ばれる。オフは管理釣り場のほかソルトも積極的に楽しんでいる。

どこでもサオをだしてみることがまず第1歩

栃木県在住の飯塚亨さんは、地の利を生かし県内各地の本支流を釣り歩く。栃木県内は数多くの釣り場を有するが、釣り人の数も多い。よって解禁当初から魚へのプレッシャーは相当なもので、有名河川の魚は一筋縄ではいかないスレッカラシも少なくない。

土日ともなるとどこの渓でも釣り人の姿が見える栃木県内において、穴場を捜すのは容易ではない。だが飯塚さんは時期によって、状況によって、人があまり来ないような釣り場を見つけて確実に釣果を得ている。

「栃木県内の渓流を全部探ってみよう」。そう思い立ったのが今から13年前である。県別の地図を見ておおよその見当をつけ、2万5000分の1の地形図に入退渓点を記入し、コピーしたものを持参して渓へ出かける釣りを週末ごとに続け、10年以上が経過した。

たとえばA沢を釣る場合、目標としたその日に釣り上がる区間を定め、数日間で卜—タル何回かの釣行に分けてすべての区間を探るという徹底ぶりである。

なかでも気になる区間があった場合は時期を変えて再度訪れるなど、自分のペースながらも細かく区切って渓流を「釣査」していく。

ヤブ沢、ゴルジュ、予想外の渇水や増水でもとりあえずサオをだしてみる。意外なところで大ものと出会うこともあったというが、徒労に終わることも多かったという。

7月になると栃木県内の山岳渓流はクモの巣だらけとなるため、それまでにできるだけ小渓流を探ることが例年の使命ともなっていた。
13年間におよぶ釣り日記。釣果だけでなく、どんな状況だったのかを記しておくことで後になって役立つ

単純に「釣り人が少ない」という要素はやはり大きい

釣査開始から13年後の今、県内各地の渓流地回がほぼビジュアルとともに頭の中にインプットされた飯塚さんが川を捜す際に目安としているのは、栃木県内においてはずばり釣り人が少ない所である。

魚より釣り人のいない場所を捜すほうが大変な栃木県内においては、やはりついてまわる問題のようだ。いわゆる源流と呼ばれるような上流域は、ほとんどの渓に林道が沿っているため、栃木県内の上流部はどこもかなり釣り人で飽和状態だという。

だからこそ飯塚さんはあえて最上流部を外したうえで釣り人が入らない区間に探りを入れていく。橋がしばらく見えない区間で等高線が比較的緩くなっている箇所があれば、そこからのアクセスを試みる。
8月17日。前日の大雨で渓流はかなりの増水。人はあまり多くない沢だが、放流もほとんどないため魚の姿は見られない。堰堤下の一番良いポイントで、増水のため警戒心が薄らいだのか、#14のコンドルクイルを使った浮力の高いパラシュートに反応してくれた

また途中から取水されている渓なら取水堰の下流を探るなど、流れに辿り着くまでが面倒、あるいは林道から死角になっている、フライ以外の釣り方では探りづらいポイントなど、他ジャンルの釣り人も含め、いわゆるサオ抜けとなる区間に絞ってその日の釣りを組み立てていく。

なかでも近年は取水堰の下流域、水量の少ない区間で良型と出会う機会が増えているという。大抵の釣り人は取水堰のある場所では豊富な水量を求めて上流域を釣ることが多く、堰の下流側で釣り人の姿を見かけることは少ない。

飯塚さんは時にこうした取水塚の下流側でC&R区間なみに魚の密度を感じる釣りをすることもあるという。常に渇水状態であるため魚の警戒心が高いとはいえ、比較的魚が残っている可能性があるのは確かなようだ。
4月の栃木は雨不足と田んぼへの取水の影響で、渇水となるケースが多い。そんな時期、逆に取水する用水路は安定した水量でよい状況となる場合があり、本流から迷い込んだと思われるヤマメの姿も時折り見られる

さらに渇水域は歩きやすいため釣り上がるのが楽というメリットもあるほか、時期と条件がうまく雨と重なれば、爆発する可能性も秘めているといえる。

県内の渓流を片っ端から釣り歩き、なおかつ人が釣らないようなポイントをあえて捜してロッドを振り、その日、その時期の状況を見極めながらポイントを絞る飯塚さんのアプローチは、蓄積された経験と通いなれたフィールドなので誰もが真似できるものではないかもしれない。

とはいえフライフィッシャー以外の釣り人からのプレッシャーを避けることも頭に入れてポイント捜しをする、というだけでも、いままでとは違ったポイントの見つけ方ができる可能性は高いはずだ。

2018/6/19

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