湖はどこを釣る?
水温・風・回遊コースでポイントを選ぶ
白川 元=解説
春から初夏にかけて湖のフライフィッシングも盛り上がりを見せるが、よく釣る人は、どんな要素を踏まえてポイントを選んでいるのか? 水温や風などから、魚の居場所を読み解いてみる。
この記事は2016年5月号に掲載されたものを再編集しています。
《Profile》
白川 元(しらかわ・げん)
1962年生まれ。東京都世田谷区在住。プロショップサンスイ渋谷店の店長を務める。渓流から海までさまざまなフィールドのフライフィッシングを楽しむが、3月は芦ノ湖にも通う。スクールも積極的に実施しており、自らビギナーにレクチャーする機会も多い。
●サンスイ https://sansui1902.jp/
白川 元(しらかわ・げん)
1962年生まれ。東京都世田谷区在住。プロショップサンスイ渋谷店の店長を務める。渓流から海までさまざまなフィールドのフライフィッシングを楽しむが、3月は芦ノ湖にも通う。スクールも積極的に実施しており、自らビギナーにレクチャーする機会も多い。
●サンスイ https://sansui1902.jp/
魚の適水温と湖の水温を知る
トラウトが活発にエサを追う水温(適水温)は8~16℃といわれている。そのなかでもレインボートラウトは12℃前後の時が、一番活性が高いようだ。人気のフィールドを見てみると、芦ノ湖の年間の最低水温は6~7℃、中禅寺湖は3~4℃である。もちろん解禁当初(芦ノ湖は3月、中禅寺湖は4月)は、いずれの湖もその最低水温に近い状態にある。
ポイントを選ぶ際にも、春はまず水温を意識したい。ちなみに、芦之湖漁協ではホームページ(www.ashinoko.or.jp)で水温を含めた近況を日々更新しているので、参考にするとよいだろう。
水温によるポイント選び
その日の水温がトラウトの適水温を下回っている場合は、日の当たりやすい南側に開けた場所が有望になる。特に、水温の上がりやすい日の当たる遠浅のワンドは、小魚も集まりやすく、好ポイントとなる。ただ、立ち込みやすいワンドは人的プレッシャーも高いため、ワンドの真ん中より左右のカケアガリに魚が付いていることが多い。
一方表層の水温が適水温を上回ってしまうと、魚は水温の低い深場や湧水のある場所に移動していく。そんな場合は、水面のエサを取りに浮上しやすい急深なカケアガリが有望になったりする。
つまり、水温がトラウトの適水温に近い場所や、近くなる時間帯を考える必要があるのだ。

風によるポイントの選び方
風の当たる場所は、吹き流されたプランクトンが寄せられ、それを食べようとトラウトのベイト類が集まってくるので、結果好ポイントとなることが多い。しかしながら、春先に吹く北風はまだまだ冷たい空気を運んでいるため、風の当たる場所の水温を下げてしまい、かえって悪条件となる一面も。
そのため、北風の場合は風裏をポイントに選び、暖かい南風の時は風の当たる湖面を捜すようにする。ちなみに、風が当たる場所は水面が荒れて、人的プレッシャーを弱めてくれるという利点もある。

回遊コース、付き場を見つける
湖では、ニジマスやホンマス(中禅寺湖)、サクラマスが広いエリアを回遊する一方で、ブラウントラウトやイワナは比較的狭い自分のテリトリー内で活動していることが多い(放流直後のニジマスは1ヵ所に集まる傾向がある)。回遊性の高いトラウトをねらう場合は、その通り道(回遊コース)で粘るスタイルが基本となる。そのコ—スとは、魚が好む水温の層で、身を隠す岩や障害物がある場所、さらにエサとなる小魚や水生生物の豊富な場所。
具体的には、岩などの多いカケアガリのラインが有望で、なかでも魚が通る確率の高い岬の先端付近は好ポイントといえる。

一方定着性の高いトラウトをねらう場合は、その魚が居付く場所を移動しながら探っていくスタイルが有効。そういった意味ではボ—卜からの釣りに向いているともいえる。
大岩のある場所や、湧水があって水草が生えている「藻場」と呼ばれるところにも注目したい。
2018/3/2