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九頭竜川のサクラマスと出会うために

名手のフライボックス【安田龍司】

安田龍司=解説

名手たちのフライボックスには、様々なヒントが隠されている。彼らがシーズンを通じて愛用しているフライパターンとともに、1軍フライをどのようなシチュエーションで使用しているかについても解説。今回は安田龍司さんのボックスを紹介。
この記事は2018年<Early Spring>に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
安田 龍司(やすだ・りゅうじ)
1963年生まれ。愛知県名古屋市在住。ストリーマーやウエットフライの釣りを得意としており、九頭竜川のサクラマスねらいの釣りをはじめとして、新潟や北海道の本流などの経験も豊富。正確な釣りのテクニックに裏打ちされたタイイング技術にも定評がある。

初期、中期、後期で使い分ける

近年、サクラマスの増加とともに訪れる釣り人が増えている九頭竜川では、シーズン初期から後期までさまざまなフライでサクラマスとの出会いを楽しむことができる。

大型フライを沈めて積極的にアビールする初期。水面直下で小型フライをスイングさせる後期。そしてその中間的な中期というのが一般的だが、最近では初期から中、小型のウエットフライでの釣りを楽しむ方が多くなってきたようだ。

とはいっても水温の低い初期はやはり水面直下というわけにはいかず、ある程度沈める必要があるので、ライン選択が重要になってくる。

ちなみに私のベストには『STS-R』のタイプ7からトリプルデンシティーまで多種のラインが収まっている。

それに対してウエットフライで釣る場合、フライボックスは1つだけ。このフライボックスにシーズン初期から後期までのフライが詰まっていて、状況に合わせて、時には気分に合わせてフライを選んでいる。

初期のフライはアピールカが重要なファクターとなるため、本来は大型のストリーマーのほうが効率的。積極的にサクラマスにアプローチしたい場合は、そちらをおすすめしたい。だがウエットフライも大型にして、キラメキ、ユラユラなどでアピール力アップが期待できる。
フライボックス1
右側がシーズン初期の比較的水量が多い時用のウエットフライ。長めのハックルや柔らかいマテリアル、キラキラ光るボディー、そして目立つウイングなどがポイントとなる。1段目と4段目がオールマイティー。2段目と5段目が濁水用。そして3段目が透明度の高い時用で、フックは『TMC7999』の#4と#6。タイプ7からタイプ2のラインを使用し、フライを沈めてゆっくりとスイングさせるようにしているが、誘いをかけると効果的なことも多い


ウエットフライ1
●フック:TMC7999 #4
●スレッド:16/0・ダークブラウン
●タグ:ユニマイラー・ホロレッド#14
●テイル:ピーコックブルーネック
●リブ:ユニソフトワイヤー・レッドS
●ボディー:ピーコックハール
●ハックル:ピーコックマラブー
●ウイング:ピーコックソード
ウイングのピーコックソードはボディーに密着させ、ハックルは長めにしてユラユラと動くようにする


ウエットフライ2
●フック:TMC7999 #4
●スレッド:16/0・ダークブラウン
●タグ:ユニマイラーホロレッド#14
●テイル:ピーコックグリーンパックフェザー
●リブ:ユニソフトワイヤーレッドS
●ボディー:ユニマイラーホロオレンジ#12
●ハックル:ヘンハックル・ブラック、スペイハックル・レッド&ブラック
●ウイング:ピーコックアイ
●チーク:キングフィッシャー・ダイドパープル
ヘンハックルはダブリングして7回転前後巻いて、その前方にスペイハックルのレッドとブラック各1本を重ねてダブリングして同時に巻く。ウイングのピーコックアイは立て気味に留めて、あえて不安定なバランスにする


ウエットフライ3
●フック:TMC7999 #4
●スレッド:16/0・ダークブラウン
●タグ:ミラージュティンセル・OPAL-S
●テイル:ピーコックブルーネック
●リブ:ユニソフトワイヤー・オレンジS
●ボディー:ユニマイラー・ホロレッド#12、アンゴラゴート・FLオレンジ
●ハックル:ヘロン・ダイドレッド
●ウイング:ピーコッククイル・ブラック/スペックルド
アンゴラゴートは長めに巻いてボディーを包み込むようにする。ウイングのピーコッククイルはマリードして目立つようにする


フライボックス2
左側が初期の平水から減水気味の時、そして中期用のウエットフライ。若千アピールカを抑えて、活性の低い状況にも対応できるようにしてい
る。明るいカラーは水の澄んでいる時、その逆は濁水の時に使用頻度が高い。

これまでの経験からウイットグリーンの効果が高く、どうしてもウイットグリーンとそのバリエーションが多くなってしまうが、以前より少しボリュームを抑えてタイイングすることが多くなった。右側の小型フライは、シーズン後半のサクラマスと魚野川や犀川などでニジマスをねらう時に使用している。

九頭竜川のシーズン後半は水量が少なく、フローティングラインにロングリーダー、そして小型のウエットフライが一般的だ。しかしシーズン初期であっても、水量が少ない、あるいは水量変化が数日間見られないような時には、小型フライで中層をねらうと効果的な場合がある。


ウエットフライ4
●フック:TMC7999 #4
●スレッド:16/0・ダークブラウン
●タグ:ミラージュティンセル・OPAL-S
●テイル:マグナムネック・ブラック
●リブ:ピーコックソード
●ボディー:ミラージュティンセル・OPAL-M、
●オーストリッチ・ブラック
●ハックル:マグナムネック・ブラック
●ウイング:ピーコックソード
ウイングのピーコックソードはスリムで長めにし、ハックルと同じくらいの角度に立てて留め、あえて不安定なバランスでタイイングする


2018/12/27

つり人社の刊行物
初歩からのフライタイイング
初歩からのフライタイイング 2,750円(税込) A4変型判148ページ
本書は、これからフライタイイングを始めようとする人に向けた入門書です。 解説と実演は、初心者の方へのレクチャー経験が豊富な、東京のフライショップ「ハーミット」店主の稲見一郎さんにお願いしました。 掲載したフライパターンは、タイイングの基礎が…
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最新号 2023年12月号 Early Autumn

【特集】尖ってるドライフライ

今号では、編集部が「面白いな」と感じた渓流用のドライフライのタイイングと考え方を紹介します。取り上げるのは、パラシュートスパイダー、エルクファンタジィ、丹沢スペシャル、マジックバレット、里見パラシュート、ヨッパラ、特殊部隊の7本です。これらを並べてみると、みなさん気にかけているのは、耐久性、浮力の持続性だけでなく、「誘い」であることがわかります。水面の流れより遅く流れる、フライそのものが揺れる、マテリアルが揺れる、などさまざまですが、いわゆるナチュラルドリフト以上の効果を明確にねらっているものがほとんど。来シーズンに向け、ぜひ参考にしてください。
またウォルト&ウィニー・デッティ、ハリー&エルシー・ダービーに関するフライタイイングの歴史、そして、『The Curtis Creek Manifesto』(日本ではご存知、『フライフィッシング教書』として翻訳されています)の作者、シェリン・アンダーソンについても取り上げています。


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