紀伊半島の堤防遊び

6番で楽しむライトソルト・フィッシング

鈴木 寿=文・写真
#12ほどの小型ストリーマーは、ロックフィッシュ全般に効果的なパターン。カサゴもこのとおり

ぶらぶらと海岸線を走りながら、釣り人たちの釣果を眺め、それからフライロッドをさっと振ってみる。冬の暖かい日を選んで楽しむ、気軽な漁港の五目釣り。
この記事は2015年2月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
すずき・ひさし
1958年生まれ。愛知県名古屋市でプ口ショップ「ワチェッ卜」を営む。渓流・本流・海まで幅広い釣りに精通。米国IFFFマスター&ツーハンドキャスティグインス卜ラクターの資格を持ち、季節に応じたスクールも精力的に実施している。


オフの癒し系ソルトフィッシング

12月に入り朝の冷え込みが強くなってくると、やはり歳とともに、早朝から気合いを入れてロッドを振るのが億劫になってくる……。かといって、休日に家でのんびりする気にはとうていならない。

そんな時期によく通うのは紀伊半島の東側沿岸。このエリアは北西からの季節風を紀伊山地が遮ってくれるので、よほど冬型が強まって荒れた日でも案外のんびりとフライフィッシングが楽しめる。1月になっても暖かい日であれば気持ちのよい釣りができるのも、このエリアの魅力だ。

ターゲットになるのは、メバル、カサゴ、ハタなどのロックフィッシュ。そして、メッキ、カマス、マアジなどの回遊魚たち。
天気がよければ、冬でも温暖な気候が感じつつロッドが振れる紀伊半島の漁港。のんびりと冬の休日を楽しむ

もちろんこの季節にも堤防や磯からシーバスやサゴシ、ワラサなど大型の魚たちが条件によっては釣れている。しかし、それらをねらうとなると、またまた肩の力を抜くことができなくなるので、このシーズンは確実に相手にしてくれる魚たちに遊んでもらうことにしている(笑)。
漁港の風景からその海の豊かさを知ることも多い。ぶらぶらと散策しがてら、気軽にロッドを振る。気持ちも”ライト”に楽しめるこの季節のソ
ルトフィッシング

港選び

港によってはロックフィッシュに、または回遊魚に適したところがあるが、その年によって必ずよし悪しがあるもの。ポイントは1ヵ所に決め込まず、あちこちを見て回って、どこで何が釣れているかを確かめてからサオをだすようにしている。

堤防釣りでは、その時期に釣れている場所には間違いなく釣り人がいるので、ドライブがてらそのようすを見てみたり、地元の釣り人に聞いてみたりすることで、タイムリーな情報が得られる。
時にはカマスの数釣りも。ポイントはできるだけバックキャストを気にせずに楽しめる場所を選びたい。漁港にはルアーやエサ釣りの人も多いので、常に周囲には気を配ろう

釣り場をリサーチする目安のひとつに、フライフィッシングでねらいやすい港の規模や堤防の作りがある。大型船が停泊するような規模の港は堤防も高く、また消波ブロックなども大きいのでフライフィッシングには不向きといえる。

そのため、地図に大きく名前が出ているような大きな港よりは、その隣の小さな漁船の船溜まりになっているような場所のほうが釣りやすいことが多い。

具体的には、なるべく足場が低く、できればテトラポッドではなくケーソンの防波堤が望ましい。中でも潮通しのよい箇所は穴場になりやすいのだ。
高い堤防よりも、こんな高さの場所のほうがフライフィッシングには向いている。もちろん岸壁際も見逃せないポイント

フライが有利な状況がある

対象魚とシチュエーションから考えても、タックルはお気軽、かつライトにいきたい。私が多用しているのは9フィート、#6~7のロッド。ラインのシンクレートはインターミディエイト~タイプ5までがあると対応の幅が広がる。

堤防では、リトリーブしたフライラインを不用意に足もとに垂らしておくと、風で飛ばされて海面に落ち、堤防に付着するカキ殻などで傷つけてしまいがち。最悪切ってしまうといったトラブルにも見舞われるので、ラインバスケットは必需品といえるだろう。
紀伊の漁港ではハタ類も飛び出してくる。ダンベルアイなどを取り付けたパターンで、ポトムをねらう

ラインバスケットとの相性を考慮し、フライラインは通常のWFのものがおすすめ。シューティングヘッドならばラインニングラインはモノフィラではなくコーティングされたフライラインタイプのものが扱いやすい。特にカマスやマアジなどのフッキングに苦労するターゲットに対しては、ローストレッチ・コアのフライラインがおすすめである。

時にはメッキの群れが回遊してくることも。同じタックルでロックフィッシュから回遊魚までねらえるのも堤防釣りの面白さ

また、この釣りで興味深いのはフライパターン。「海の魚なら何でも反応してくる」と思いがちだが、なかなかそうは簡単にはいかない。逆に、ひとたびフライパターンがマッチすれば周囲のルアーアングラーやエサ釣りの人らがうらやむほどの結果に巡り会うことがある。

私の経験では、他の釣りでは表現しづらい、透明で存在感のない小さな稚魚を魚たちが好んで捕食している場合に、フライの独壇場となることが多かった。
ポピュラーなターゲットのひとつであるメパル。付き場にフライをトレースしてくれば、意外にアグレッシブにアタックしてくる

そんなベイトフィッシュをイメージした、柔らかなマテリアルを使った30mm以下(フックサイズ# 12)の小型ストリーマーを、魚種を問わず必ず用意しておくことがキモだと思う。

フライパターンにこだわりだすとキリがないので、シンプルなパターンでもよいから、サイズを充実させたセレクトがおすすめ。具体的には、50~70mm(#4~8)を中心に、100㎜(フックサイズ#1~2)ほどのものまで用意しておけば、ほとんどの状況に対応できるはず。

2017/11/27

最新号 2017年12月号 Fall

特集は「川を読む」。秋田県の役内川を例に、まさに「ここに尺ヤマメがいた」というポイントをピックアップ。流れのようす、底石の入り方、水面の波立ちぐあいなどなど、良型が付く場所の特徴を解説します。 また伝説的ともいうべきリールの名品「ボンホフ」と、その製法を忠実に踏襲しようと試みた男の物語を収録。道具に対する釣り人の情熱と愛を感じる内容です。 そのほか、イワナが浮いてフライをくわえる瞬間までばっちり見えるような源流釣行、北海道のアメマス事情、またキューバやオーストラリアのソルトゲームなども掲載。渓流オフシーズンの今だからこそ、じっくり読みたい一冊です。
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