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海人スタイル奄美

美容師さんのオリジナルフライ

毛ピンを使った大物レイクトラウトをねらうためにデザインされたフライ

森岡正= 解説 編集部= 写真
フライ

基本的にはチョンチョンと上下して使うが、レインボーなどをねらう場合は中層をリトリーブして使うこともある。朱鞠内湖のイトウまでねらえる大物用フライだ

 

フライ

 

フライ

髪の毛のおくれ毛を抑えるための毛ピンを使ったフライだ

 

タイイング方法はこちら

 

 

止まっていて、さらに誘うみたいな。フックが上を向いて、ゆらゆら動いているイメージです。

全長11cmと比較的大きいように思えます。

フライを大きくすると、小さなトラウトを回避できると思っているんです。小さいのがフッキングしちゃうと、その間、大きいのが釣れる可能性が下がっちゃうじゃないですか。やはり大きいのを釣りたいので。

 

使うのはこのサイズのみですか。

はい。これのみです。以前は小さいのも作ったんですけれど、今はほぼほぼこのサイズでやっています。

 

このフライの大きな特徴がヘアピンですよね。

アメピンと毛ピンです。アメピンは、ループが大きいじゃないですか。フライのアイにするとイトを通しやすいというのもあるんですけれど、可動域をかなり広く取っているので、フライの動きがティペットの影薯を受けにくいんですよね。あとはなるべくフライが頭から沈むように作りたかったんです。このアメピンの部分っていうのはカットしているんですけれど、かなり短くしてあって、ヘッドに重心を集中させているんです。そして軽い毛ビンで軽いボディーを作って、かなりのフロントヘビーにしています。

 

その理由は何ですか?

レイクトラウトに関してなんですけれど、底べったりにいて、しかもフライをばっくり食う魚ではないと思っているんです。むしろうしろからゆっくりフライを追ってきて、ずっとじっと見ている。そんなイメージなんです。もう食べようかどうしようかってずっと悩んでいると思うんですね(笑)。そんな時にこのフライは底の岩の上で逆立ちをして、トントンってやって……、魚をじらすんですよ。そうすると、レイクはやっとガブッてフライを噛む、という想像で釣っています。だからキャストしてからカウントダウンは1~2分、もしくは3分とか。ラインも底ベタで。マテリアルも、うしろから見てもボリュームがあって、倒れにくいようにカットしてあります。

 

水中での止まった姿勢を重視されているのですね。

そうです。ステイして誘うみたいな。フックが上を向いて、ゆらゆら動いているという。でもボディーが全部重いとベタッと横になっちゃうんです

 

フライを真後ろから見ても存在感がありますよね。

そうですね。うしろから見たときに、このモジャモジャ、UVポーラーシェニールが、ユスリカの塊にも見えるんじゃないかと思うんです。なので、黒はだいたい使っています。

 

毛ピンはプロの美容師用なんですよね。一般の人は目にする機会はないかもしれません。

毛ピンは、さすがにプロの人じゃないとなかなか使わないかもしれません。成人式とか結婚式で、アップスタイルにしますよね、女の子が

 

はあ。

おくれ毛、わかりますか?(笑)

 

おくれ毛?こう、ピロンと出るような?

そうです。このピンは細くて目立たないので、それを隠すために髪の毛に挿して使うものなんですよ。それが75g入りで、数は……フライ巻くだけならたぶん一生分あります(笑)

 

ネットで検索すると簡単に購人できますが、毛ピンメーカーもたくさんあるんですよね。

ありますが、イチ押しはこのN.B.A.A.ですね。これはコーティングがすごくいいんです。色もまたいいんですよ。黒もあって、それでもいいと思いますが、僕はダークブラウンを使っています。

 

強度も問題ない。

最高です(笑)。細いわりに、めちゃくちゃに引っ張っても切れないですよね。フックのほうが負けそうです。しかも相当クネクネしてもなかなか劣化しないんです。切れませんよね、何回折り曲げても。まあさすがに何回も何回もやっていれば、たぶん切れちゃうと思うんですけれど、普通に使っているぶんには大丈夫かと。

 

ぶっちゃけ折れたことは……。

今までないです。ただ、大丈夫だと思うんですけれど、万が一を考えて、クリスタルフラッシュを10本足して補強しています。

 

折り曲げられるシャンクというか、ワイヤ以上、シャンク未満、という素材ですね、しかもプロの美容師しか気づかないような。

これをフライに使おうと思いついて、結果が出た時には本当に嬉しかったです(笑)。

 

この柔軟性を生かして現湯でフライの形が替えられるという。

そうですね、基本形はキールです。で、フックポイントの延長線上にアイがあるという位置がベストだと思います。中層速引きバージョンならボディーを捻って、フックポイントを下に向けます。ニジマスとかブラウンが活性が高い時はこっちのほうがフッキング率いいと思います。で、また底に沈めたくなったらくるっと捻って戻します。まあ速引きの時でもキールでもいいかと思うのですが、僕の経験では通常スタイルのほうがフッキングがいい気がしています。

 

素人考えですけれど、魚がフックをくわえたらボディーが曲がっちゃってフッキングしない、ということはありませんか?

今のところ意識したことはないですね。フッキングしちゃうので(笑)。で、さらにバージョンがありまして。かなり裏技ですけれど、ボディーをまずL字型に折り曲げます。で、さらにくの字の極端な形に折り畳んじゃうんです。全長を短くするというか。折り畳んでいるんですよ、中間部分をグニュッと。それでこいつを湖底に沈ませると、横のちょっとボディーの張り出した部分が抵抗になるんですよね

 

横に張り出している部分が?

そうです。横にコブを作るというか。で、湖底に沈ませて引きます。すると、このコブが水の抵抗を受けて軽く回転するんです。フライが後ろに向くというか、イレギュラーな動きをするんです。これをやると、賢いレイクも思わず口を使ってしまうという(笑)。「なんだこいつ、うしろ向いたよ」みたいな。そうするとレイクも思わず口を使ってくれるんじゃないかという。たとえば、普通のキールの形で釣っていて、なにかアタリのような感覚があったけどフッキングしない、ということがあるじゃないですか。モゾッていう感じで。レイクの場合、同じ場所にしばらくいるんじゃないかと思うのですが、それは、この形にフライを曲げて、すぐ同じような場所へ投げ直すと釣れることがあるんです。

 

アクションも変えるし。

「さっきと動き違うのがきた」って食べちゃうんじゃないかと(笑)。

 

そもそもこのフライは何を模しているのでしょう?

これは、やっぱり何にでも見えるようにと思っています。ユスリカだったり、ヨシノボリだったり、ワカサギだったり。アトラクター的な要素が強いのだと思います。ワカサギ限定で作っちゃうと、ワカサギ食べているときじゃないと釣れないじゃないですか。レイクの場合は、小魚を食べている個体と、ユスリカ食べている個体がいると思っているんです。なんか、性格が分かれている感じなんですよね。そうしたときに、じゃ、どっちかって選ぶよりは、真ん中取って、どちらにも見えるようなそういうフライにしたかったんです。

 

 

 

 

 

 

【プロフィール】

森岡正(もりおか・ただし)

1976 年生まれ。埼玉県在住。フライ歴は25 年ほどで、そのうち湖は15 年。現在はほぼ湖オンリーで、その理由は大ものが釣れるから。中禅寺湖を中心に芦ノ湖、丸沼、朱鞠内湖で楽しんでいる。本業は(もちるん)美容師

 

 

2024/1/7

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最新号 2025年3月号 Early Spring

【特集】ロッドティップで描く、トリックキャスト

プレゼンテーション時、さまざまな形状でラインを落とすためのキャストは「トリックキャスト」と総称されます。
日本での釣りで主に使われるのはアップストリーム、もしくはアップクロスでフライをナチュラルに流すためですが、これには長めのティペット、リーダーを使うことが有利だと多くの人が認めるところ。しかしそれだと、いかんせん取り扱いがとても難しい……。
というわけで、扱いやすい短めのリーダーシステムで、ある程度ナチュラルに流すことができるプレゼンテーションテクニックのあれこれを紹介します。 また前号に引き続き、エキスパートのマスの気持ち考察、「タイトループ」セクションではグラスロッド・メーカーへのインタビュー、グラス特有のアクションを味わうキャスティングのコツなどを紹介します。


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