渓流でロングレンジを釣る
まずは基本的な腕の動きとロッドの振り方から見直してみよう。
鈴木 寿=解説 ライズねらいの釣りでは、ロングレンジのキャスティングが必要な場面も多い。ラインが長くなればロッドの振り幅も広げる必要があるが、腕全体をしっかり使えばいわゆる「大振り」にはならずにすむ近距離であればある程度正確にフライを落とせるけれども、大場所などでちょっとロングキャストが必要になると、途端にループが乱れてしまう……そんな悩みがあれば、まずは基本的な腕の動きとロッドの振り方から見直してみよう。
この記事は2017年3月号に掲載されたものを再編集しています。
《Profile》
鈴木 寿(すずき・ひさし)
1958年生まれ。愛知県名古屋市でプ口ショップ「ワチェッ卜」を営む。インストラクターとしてキャスティングスクールの講師を務めるかたわら、春は長良川、夏は山岳渓流のイワナねらいに足繁く通っている。
●ワチェット watchett.net/
鈴木 寿(すずき・ひさし)
1958年生まれ。愛知県名古屋市でプ口ショップ「ワチェッ卜」を営む。インストラクターとしてキャスティングスクールの講師を務めるかたわら、春は長良川、夏は山岳渓流のイワナねらいに足繁く通っている。
●ワチェット watchett.net/
遠くのポイントをねらう楽しさ
近くのポイントは正確に釣れるのに15m以上になると急に苦手意識が……という人もいるように、比較的大きな規模の渓流や、山間部でも広いポイントなど、当然ねらう場所が遠くなるほど、キャスティングも技術的に高度なものになってくる。ポイント規模が大きくなれば、魚たちのサイズもワンランクアップするし、他の釣り人とのバッティング率も低くなる。そして何よりもアプローチ距離が遠くなることで、さらにフライフィッシングらしさが増すともいえる。
ロングレンジを釣るためには、ラインウエイトを上げるというのが手っ取り早い解決方法なのだが、その後のドリフトを考慮したライン操作や、プレゼンテーション時の水面に与えるインパクトを考えると、渓流ではやはりできるだけ低番手を使いたい。
そこでスタンダードとなっている3番前後のラインを使用して、ロングレンジで正確なプレゼンテーションを実践するにはどのような技術が必要になるだろう。今回は正確さを損なわず、より遠いレンジを釣るキャスティングの基本的動作を解説してみたい。
投げるラインの長さによってロッドの振り幅は変わる
基本的に扱うラインの長さ(=重さ)に比例して、キャスティングはストローク(ロッドを持った手、もしくはロッドティップの移動距離)が長くなる。その際、充分なSLP(ラインを導くロッドティップの軌跡 Straight Line Path)を確保するために、キャスティングストロークも、より長くする必要がある。
高番手のタックルを使い、とにかくロングキャストを優先させたい場面ならば、身体を開いたり、重心を移動させたりして大きなモーションでストロークを稼ぐ方法があるが、キャスティング動作を大きくするとアキュラシー精度に欠ける。
近距離では手首だけでも対応できるが、ある程度の距離を投げるとなると、ロッドの振り幅も加える必要が出てくる
これは渓流域の釣りでは致命的。正確さを求めるならば、やはりターゲット(ポイント)に身体を向けた状態で、できる限りコンパクトな動作でロッドを振るのがベストだろう。
つまり、「限られた動きのなかで、ラインの長さに応じたSLPをコントロールする」ことが、渓流域でロングレンジを正確に釣る条件となる。
近距離を釣る場合と、遠めに投げる場合の違い
まずは下の連続写真をご覧いただきたい。これは渓流で近距離を釣る際に効果的な動作で、キャスティングストロークを手首の動きだけで賄い、最低限必要になるキャスティングアークを確保するスタイル。ちなみにアークとは、スタート時のロッド位置から、ストップ時の位置までの振り角のこと。リストを中心に使った、近距離でアキュラシーを重視したロッドの振り方。リストを使ってアーク(振り角)を稼いでいるので、全体の動きはコンパクト
2024/2/27