LOGIN

フライで変わるイブニング

浮力と視認性で考えるイブニングのフライ

北谷明、小野田祥一、黒澤進=解説

陽が沈み始めたら、日中ブラインドフィッシングで流していたフライパターンから、さらに大きく、目立つパターンに結び替えることは多い。ここでは、そんなシチュエーションに備えておきたいフライを紹介。いずれも陽の高くない状況で使用するため、浮力があり、薄暗い中でも視認性を損ないにくい、という点を重視している。
この記事は2015年8月号に掲載されたものを再編集しています。

本流ブラウンをねらうヒゲナガパターン

長野県・梓川のイブニングにヒゲナガを食い荒らすブラウントラウトをねらっている北谷明さん。もちろんフライはヒゲナガをイミテートしたパターンになるが、ドライフライではサイズをアップしたスタンダードなエルクヘア・カディスを使用している。

ロングシャンクのフックを使っているため、それに対応するエルクヘアもヘアが長めのものを選んでいる。特にブリーチカラーのものを使用すれば、夕暮れ時でも白っぽくフライの視認性が保たれる。

ナチュラルドリフトはもちろんのこと、イブニングの釣りの場合は、積極的にフライにアクションを入れていく。そんなシチュエーションでフラッタリングは特に効果的だ。この時、V字波紋がなるべく大きく出るように、ハックル、ウイングの量、長さともに若干オーバードレッシング気味にしているのが特徴。また上流からの水流を受けやすくするために、ヘッドも大きめに作ってある。

一方、イブニング本番の前、まだ陽が残っている時間帯に使っているのはウエットフライだ。こちらはヒゲナガ・ピューパをイメージ。ヒゲナガに対するライズが始まるタイミングでは、当然水中でピューパも捕食されている。まだ明るい時間帯、はっきりとしたライズが見られないようであれば、ウエットフライで水中を探ってみるようにしているという。ちなみにウエットフライなので、この場合視認性は必要ない。

エルクヘア・カディス(イブニング・ヒゲナガ)
●フック……TMC5212 #8
●スレッド……6/0オリーブ
●ハックル……コックネック・グリズリー
●ボディー……ダビング材・各色
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル(もしくはブリーチ)


CDCウエット
●フック……TMC200R #10
●スレッド……6/0オリーブ
●ハックル……コックネック・グレー系カラー
●ボディー……フロス・ライトグリーンなど
●スロート……ギニアハックル・イエロー
●ウイング……CDC

水面に張り付きつつも見えやすい

栃木県に住む小野田祥一さんが愛用しているのは、モンカゲのスピナーパターン。モンカゲのスピナーフォールにライズする大型のヤマメやレインボートラウトをねらう釣りに大型のドライフライを使用している。もちろんイブニングでも活躍するが、モーニングライズ時の使用頻度が高いという。

ボディーの左右にウイングが広がるようにイミテートしているほか、特に「モンカゲ・スピナー1」はファジーなシルエットを意識しているため、スピナー流下時以外にも使用頻度は高い。

ボディーは細身に仕上げ、ウイングを厚く大きめにしたフライは、高浮力で視認性もよく、薄暗い時でもストレスなく使える。特に見えづらい時には、インジケーターにエアロドライウィングを使用したパターンも使用。こちらはウイングにもシンセティック素材を使用しているので、水切れもよい。

いずれのパターンもスピナーらしく、水面に張り付くような浮き方を意識しながらも、視認性を高めているのが特徴。
モンカゲ・スピナー1
●フック……TMC2302#8など、カーブの緩やかなロングシャンクフック
●スレッド……6/0ブラウンなど
●テイル……コック・デ・レオン
●ボディー……ダビング材・ライトイエローなど(スレッドでリブを作成)
●ウイング……コック・デ・レオン
●ヘッド……ダビング材・ライトイエローなど


モンカゲ・スピナー2
●フック……TMC2302#8など、カーブの緩やかなロングシャンクフック
●スレッド……6/0ブラック
●テイル……コック・デ・レオン
●ボディー……ダビング材・アンバーなど
●ウイング……エアロドライウィング・ゴールデンオリーブ
●インジケーター……フローセントグリーン
●ヘッド……ダビング材・アンバーなど

手返しのよい万能メイフライパターン

黒澤進さんが千曲川水系の初夏に使っているのは、#10のスパークルダン。イブニング時、オオマダラカゲロウ、コウノマダラカゲロウなどの大型メイフライがハッチした時にはかなり効果的なパターン。ジーロンとディアヘアでしっかりと張り付くように浮かんでくれる。

タイイングのポイントはディアヘアをしっかりとボディーに対して直角に立てること。実際に使用すると、ダビング材などのマテリアルが水を吸ってディアヘアを前方に押し戻しがちになる。

そのため、タイイング時には、ヘアの先端をアイ側に向けてシャンクに留めた後は、後方45度くらいまで倒すようにスレッドで固定しておくとちょうどよい。常にディアヘアがしっかりと立っている状態が保たれることで、ドリフト時の視認性も確保してくれるのだ。

ちなみに、ディアヘアはCDCよりも水切れがよいので、フライのメンテナンスも少なくて済む。薄暗いイブニング時には手返しのよい、もってこいのパターンといえる。もちろん、マダラ系の虫がハッチしていない時にも実績は多数。
スパークルダン
●フック……TMC900BL #10
●スレッド……8/0各色
●テイル……ジーロン(後端をマルチグル―でまとめている)
●リブ……フラッシャブーなど
●ボディー……スーパーファインダブ・アンバー
●ウイング……コンパラダン・ディア


2018/7/2

つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…

THE LATEST ISSUE

FlyFisher 2020年9月号Mid Summer

 フックにマテリアルを留めるというテクニックだけでも本が何冊もできてしまうほどの奥深さがありますが、今回は、フライの構造や素材の選び方など、編集部が「面白い!真似したい!」と感じたものを取材しました。渓流から海まで、フライフィッシングの広がりも味わえます。そのほか、国内主要メーカーのフック一覧や、ピーコックコンプリートの解説などもしました。  そして、水生昆虫研究家の刈田敏三さんによる「ドリフティング」も紹介しています。長年の水生昆虫研究にプラスして、水中カメラで渓流に泳ぐヤマメの行動研究を始めた刈田さんによる、より実践的な釣り方と考え方の提案です。  名前は知っていても、その実像はあまり触れられなかった、エンリコ・パグリシさんへのインタビューも実現しました。名前の正しい発音は「パグリシ」ではなく、「プッリージ」だったことが判明するなど、楽しくもヒントに溢れる内容です。したがって今後小誌では、エンリコ・プッリージさんと表記します。  大好評、備前貢さんの「オホーツク通信」では、今回もさまざまなタイイングの技が紹介されています。中でも、ピーコックハールをティンセルで挟んでねじるという、ボリュームと強度を同時に出せる手法を使った、豊満なプロポーションのロイヤルウルフは最高です!
つり人社の刊行物
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編
瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…

THE LATEST ISSUE

FlyFisher 2020年9月号Mid Summer

 フックにマテリアルを留めるというテクニックだけでも本が何冊もできてしまうほどの奥深さがありますが、今回は、フライの構造や素材の選び方など、編集部が「面白い!真似したい!」と感じたものを取材しました。渓流から海まで、フライフィッシングの広がりも味わえます。そのほか、国内主要メーカーのフック一覧や、ピーコックコンプリートの解説などもしました。  そして、水生昆虫研究家の刈田敏三さんによる「ドリフティング」も紹介しています。長年の水生昆虫研究にプラスして、水中カメラで渓流に泳ぐヤマメの行動研究を始めた刈田さんによる、より実践的な釣り方と考え方の提案です。  名前は知っていても、その実像はあまり触れられなかった、エンリコ・パグリシさんへのインタビューも実現しました。名前の正しい発音は「パグリシ」ではなく、「プッリージ」だったことが判明するなど、楽しくもヒントに溢れる内容です。したがって今後小誌では、エンリコ・プッリージさんと表記します。  大好評、備前貢さんの「オホーツク通信」では、今回もさまざまなタイイングの技が紹介されています。中でも、ピーコックハールをティンセルで挟んでねじるという、ボリュームと強度を同時に出せる手法を使った、豊満なプロポーションのロイヤルウルフは最高です!

最新号 2020年9月号 Mid Summer

特集
晴釣雨巻
現場から生まれた、個性的タイイング

フックにマテリアルを留めるというテクニックだけでも本が何冊もできてしまうほどの奥深さがありますが、今回は、フライの構造や素材の選び方など、編集部が「面白い!真似したい!」と感じたものを取材しました。渓流から海まで、フライフィッシングの広がりも味わえます。そのほか、国内主要メーカーのフック一覧や、ピーコックコンプリートの解説などもしました。
 そして、水生昆虫研究家の刈田敏三さんによる「ドリフティング」も紹介しています。長年の水生昆虫研究にプラスして、水中カメラで渓流に泳ぐヤマメの行動研究を始めた刈田さんによる、より実践的な釣り方と考え方の提案です。
 名前は知っていても、その実像はあまり触れられなかった、エンリコ・パグリシさんへのインタビューも実現しました。名前の正しい発音は「パグリシ」ではなく、「プッリージ」だったことが判明するなど、楽しくもヒントに溢れる内容です。したがって今後小誌では、エンリコ・プッリージさんと表記します。
 大好評、備前貢さんの「オホーツク通信」では、今回もさまざまなタイイングの技が紹介されています。中でも、ピーコックハールをティンセルで挟んでねじるという、ボリュームと強度を同時に出せる手法を使った、豊満なプロポーションのロイヤルウルフは最高です!
[ 詳細はこちらから ]

 

NOW LOADING