ニンフで楽しむ春の連続ヒット
解禁の小渓流で試したい
谷地田 正志=解説
水温が上がらずドライフライには反応なし。そんな時、驚くほど効果的なのがニンフによる釣り上がり。トレーラーでウエイト入りフライ2本をつなぎ、トラブルフリーでテンポよく魚をねらうスタイルを解説。
この記事は2011年5月号に掲載されたものを再編集しています。
《Profile》
やちた・まさし
1957年生まれ。秋田県大館市在住。ロングティペットを使ったドライフライの釣りが得意だが、シーズンによってはニンフの釣りや、イワイミノーによるナマズ釣りも楽しむ。米代川をホームグラウンドにフィッシングガイドとして活躍。
やちた・まさし
1957年生まれ。秋田県大館市在住。ロングティペットを使ったドライフライの釣りが得意だが、シーズンによってはニンフの釣りや、イワイミノーによるナマズ釣りも楽しむ。米代川をホームグラウンドにフィッシングガイドとして活躍。
まだ春も浅い4月の秋田県北。この日に入った米代川の支流は、河原の雪こそ消えているものの、水生昆虫のハッチはほとんど見られずライズも確認できなかった。
「ドライはあきらめてニンフにしましょうか?」と谷地田正志さんが切り出したのはお昼過ぎ。それまで、魚からの反応はほとんどなかったのだが、ニンフを使ったルースニングに切り替えれば、間違いなくヒットは望めるという。

さっそく水中の釣りに切り替えると、時には1つのポイントから数尾を引き出す連続ヒットも。そのようすは、まさに「やってみれば、とにかくガンガン釣れます(笑)」という本人の言葉どおり。
今回は、そんな解禁初期の渓流で水面への反応がイマイチだと思ったら試してみたいニンフィングを解説したい。
【タックル】 投げやすく絡まないシステムで
谷地田さんのルースニングは、ロッドはドライフライ用の8フィート3インチ・3番をそのまま使う。そして、リーダーシステムは1つ目のフライまでの長さが12フィート。その先に15〜30㎝で、あまり間隔を開けずに2つ目のフライを結ぶ。ウエットフライのようなドロッパーシステムを組むより、トレーラーにしたほうがはるかにキャストしやすいほか、おもに2つ目のフライに魚が出た時に、上のフライが岩や木に絡んで水中で魚がバレるのも防げるからだ。
そのうえで、インジケーターは1つ目のフライの70㎝ほど上に取り付ける。先端付近のティペットは6〜7Xを使用。あまり太くせず、流れにフライがスムーズに馴染むようにしている。

【シチュエーション】 小さな渓に向く
この時期、谷地田さんが特に意識しているのが、渓流の平らな岩の上にびっしりと張り付いているヒラタカゲロウ系の幼虫だ。数が多く、ウエーディングシューズで水中の岩に近づくと、ササーッと影が引くように塊で逃げてゆく。こうしたニンフのいる川では、たとえ表層の流れに魚が出てこない時期であっても、ひとたびフライを水中に沈めてやれば魚たちは驚くほど反応することが少なくない。

「この釣りが向いているのは、比較的規模の小さな渓流です。プールが連続する大きめの支流よりも、さらにその支流にあたる規模の川、気温と水温が上がれば早期からドライフライでもねらえるような川のほうが魚の反応もいい。そこで比較的水深のある場所を選び、深いところから流れ出しに向けてのカケアガリにフライを流します」

【フライパターン】 どちらもウエイト入り
使用するフライはどちらもウエイト入り。ウエイトにはコパーワイヤ、ビーズ、小型のチェーンボールなどを使っている。「これでなければ釣れない」というウエイトの種類はない。
一般的に、2本のフライを利用するニンフフィッシングでは、インジケーターに近い1本目のほうにウエイト入り、その先に結ぶ2本目にノーウエイトを結ぶことが多い。これは1本目のフライをオモリ代わりにし、2本目のフライをその先で自然に漂わせるためだ。
谷地田さんもその基本は利用しつつ、ただし2本目のフライにも多少ウエイトを入れたものを使っている。
「両方のフライにウエイトが入っているほうが着水後のシステム全体の沈下がスムーズで、かつ、釣っている最中に沈めておきたいフライが浮き上がってくることを防げます。そのうえで、フライは1本目のほうに重いもの、2本目にそれよりも軽いウエイト入りのものを組み合わせています」

【流し方】 インジケーター先行
ニンフの捕食に注意が向いているヤマメやイワナは、下を見ているのでかなり近づいて釣っても大丈夫だという谷地田さん。特に魚のいる真下流からアプローチすれば、思っている以上に魚は警戒せずニンフを口にする。そこで、アプローチの際はまずねらう流れの下流に立つ。そのあとはインジケーターが手前、フライがその先(上流側)に落ちるようにしっかりターンさせてプレゼンテーションキャストを行なう。ルースニングではインジケーターをフライに先行させて流すことにより、魚が水中のニンフをくわえた時にすぐにアタリが出るようにすることが大切だ。

また、タックキャストといわれる、ややオーバーターン気味のキャストで、フライから先に水面に落ちるように落とせばスムーズにフライを沈められる。それにより、なるべく早く1本目のフライを水中に沈めることで、水中を漂わせて魚を誘う2本目のフライも「短時間・短距離」で魚の近くに届けられる。
2018/2/2