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十人十色のエルクヘア・カディス2/2

シンプルだからこそ自分なりの改良を

FlyFisher編集部=まとめ

定番ドライフライとして、レベルを問わず多くのフライフィッシャーに親しまれている名作パターン「エルクヘア・カディス」。ここではエキスパートたちの試行錯誤と、その構造が持つメリットを紹介します。
この記事は2016年7月号に掲載されたものを再編集しています。

オリジナリティを加えやすいフライ

フライフィッシングを始めて、最初に覚えたフライパターンである人も多いだろうエルクヘア・カディス。

もちろんトビケラのイミテーションとして使うフライフィッシャーは多いが、ハックルを厚く巻けば高く浮くファジーなシルエットで見せることができるなど、汎用性の高さも兼ね備えている。さらに、ウイングやボディーカラーを変えればテレストリアルに、サイズを大きくすればヒゲナガカワトビケラなどにも対応できるといった懐の広さも持つ。

今回は前回に引き続き、自分なりの使い方に合うような工夫を盛り込んだ、9人のエルクヘア・カディスを紹介。

北谷 明
●フック……TMC5212 #8
●スレッド………6/0オリーブ
●ハックル……コックネック・グリズリー
●ボディー……ダビング材・各色
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル(もしくはブリーチ)
引き波を作る大きめのヘッド
#14以下のサイズではハックルを少し多めに巻いて、ウイングはスリムに整えている。一方、#12以上のエルクへア・カディスはヒゲナガを意識することが多いので、マテリアルはオーバードレッシング気味。その場合、フラッタリングなどの操作ができ、V字の引き波が作れるように、余りのヘアをカットする際、ヘッドが大きめになるように調整している。


黒澤 進
●フック……TMC102Y 各サイズ
●スレッド……8/0ブラウンなど
●ボディーハックル……コックネック・各色
●ボディー……スーパ—ファインダブ・各色
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル
ウイング量は控えめに軽く浮かべる
基本的なスタイルは、オーソドックスなエルクヘア・カディスだが、ボディーハックルの下側はカットして水面での安定性を高め、キャスティング時の回転を軽減するようにしている。また、フライは真下からのシルエットを崩さないように意識して巻いている。
浮き方は、水面にぽっかりと浮くようなイメージ。視認性や浮力を高めたくてエルクヘアの量を多くしすぎると、逆にその自重で沈みやすくなってしまうと思う。


佐古啓樹
●フック……TMC102Y #13
●スレッド……ヴィーバス12/0
●ボディーハックル……コックネック・各色
●ボディー……インセクトダビング・ファイン・ライトブラウン(HM favorite flies)
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル
ナチュラルカラーで控えめなドレッシング
基本的には水面に張り付く(ぺったりではない)感じにしているので、ボディーハックルの下側はカットしている。一方、フライのシルエットをあまり明確に見せたくない場合には、ハイフロートで流したいので、ハックルはそのままにしている。
フライのシルエットは、全体的に薄いイメージになるように作成。特にウイングはなるべく薄くなるように巻いたほうが、浮きやすくなり、投射性もよくなると感じている。


渋谷直人
●フック……TMC112Y、もしくは112TR #7~13
●スレッド……8/0ダークブラウンなど
●ボディー……スーパ—ファインダブ・グレーなど
●ハックル……コックネック・ミディアムダンなど
●アンダーウイング……CDC各色
●オーバーウイング……エルクヘア・ナチュラルなど
テレストリアルとしても使うヘアウイング
基本的にエルクヘア・カディスを結ぶ場合は、実際トビケラをイメージして使うことは少ない。どちらかといえば、褐色系の小さなバッタやガなどのテレストリアルや、羽虫の大まかなイミテート系フライとして使うことのほうが多い。ボディーハックルは巻いておらず、ソラックス部分にパラッと長めのハックルを巻いている。こちらはレッグとしても見えるように、両脇に分けるような形で巻き留めている。


白川 元
●フック……がまかつB11-BT #14
●スレッド……ヴィーバス12/0ライトケイヒル
●ボディーハックル……コックネック・ダンバジャー
●ボディー……ダビング材・キャリベイティス(トラウト八ンター・レネハロップ・プロフェッショナル・ドライフライダビング)
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル
後方になびくようなポティーハックル
ボディーハックルを巻く場合、通常はストークの根元をフックシャンクの終わりに留めて、ハックルの裏を前に向けて巻くが、私の場合はハックルティップをシャンクに留め、ダブリングしながら、表を前に向けて巻いている。こうすることによって、細いティペットでもフライが回転しにくく、潜らせてウエットのように使っても安定して泳がせることができる。フライは基本的にハイフロート状態で使うことが多い。


鈴木 寿
●フック……TMC900BL #10
●スレッド……6/0ブラウン
●オーバーボディー……エアロドライウィング・ブラック
●ボディーハックル……コックサドル・ブラウンダイドグリズリー
●アンダーボディー……ピーコックハール
●アンダーウイング……CDCナチュラル
●オーバーウイング……エルクヘア・ナチュラル
●ハックル……ヘンハックル・Drダン、パートリッジ・パックフェザー
柔らかい素材で、高く浮かせる
近年はフロータントの性能が高いので、柔らかいマテリアルを使っても高い浮力を維持できる。そこで、より質感を本物の虫に近づけるためにヘンハックルやパートリッジなどを使うことが多くなった。
このパターンでは意識的にドラッグを掛けて滑らせた時、水面を乱さないように高く浮かせたい。キャスト時に回転しやすくなってしまうので、ウイングはあまり広げず、ハックルもダブリングによってなるべく後ろ側ヘ寝かせるようなスタイルにしている。さらに、ウイングの上からもソフトハックル状に柔らかいフェザーを巻き留めている。


曳地弘成
●フック……TMC100SP-BL #14
●スレッド……8/0ダークブラウン
●ボディーハックル……コックネック・ユニークバリアント
●ボディー……フライライト・各色
●ウイング……エルクヘア・ブリーチ
ボティーで見せるカディスらしさ
フライの回転を防ぐために、ハックルの下側をカットすることが多い。その場合、ボディ一部分で魚にカディスを意識させるために、しっかりと膨らみを持たせるようにしている。ウイングはヘアの本数を意識的に少なめに設定。エルクヘアは光をあまり通さないので、ドレッシングを薄めにすることにより、光を透過させるカディスの翅に似せられるのではないかと思っている。


吹揚孝司
●フック……TMC100BL各サイズ
●スレッド……8/0タン
●ボディーハックル……コックネック・グリズリーダイドダン
●ボディー……ダビング材・ダークタン
●ウイング……エルクヘア・ブリーチ
紡錘形のシルエットを意識
ティペットのよれを回避したいので、ウイングを乗せる前にハックルの上側をカットする。また、状況によっては現場で下側をV字状にカットしている。そうすることにより、ぺたりと水面に張り付くスペントのようなイメージで浮かべられる。また、エルクヘアを多く留めすぎないようにしている。さらに全体的なシルエットを(魚から見た時に)紡錘型に見せたいので、必要以上にヘアをフレアさせて、バランスが崩れないように注意している。


松井伸吾
●フック……ダイイチ1180 #14~16
●スレッド……8/0ダン
●ボディー……ダビング材・各色
●ハックル……コックネック・ダン
●アンダーウイング……CDCナチュラル
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル
太めのボディーシルエットを見せる
フライのシルエットははっきり見せたいというねらいがあるため、ボディーハックルはあまり巻かず、ソラックス部分にパラッと巻く程度にし、ボディーも太めにしている。真ん中をポコッと膨らみを持たせて見せたいので、ダビング材も厚めに巻く。カラーは、ブラックかオレンジ系のものを選ぶことが多い。
通常はエルクヘアのみでも充分だが、荒瀬などラフな流れで使いたい時にはアンダーウイングとして、CDCを挟み込んでいる。場合によっては、ボディーにフォーム材を使用し、浮力をつけることも。


2018/5/17

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