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十人十色のエルクヘア・カディス

エキスパートたちの定番カディス集

FlyFisher編集部=まとめ

定番ドライフライとして、レベルを問わず多くのフライフィッシャーに親しまれている名作パターン「エルクヘア・カディス」。ここではエキスパートたちの試行錯誤と、その構造が持つメリットを紹介します。
この記事は2016年7月号に掲載されたものを再編集しています。

シンプルだからこそ工夫を込める

少ないマテリアル構成ながら、耐久性や浮力が高く、さらには視認性にも優れる定番のドライフライである、エルクヘア・カディス。しっかり巻けてさえいれば、魚を掛けた後も水気を取ってフロータントを吹きかけるだけで、すぐにぽっかりと浮かんでくれる使い勝手のよさも、多くの人が好んで使う理由だろう。

ほかにもフライのほどよい自重による投射性のよさや、縦に巻いたボディーハックルが水面に刺さることによるドラッグヘッジ効果が得られるなどの声も多い。

マテリアルにも特殊なものを使用せず、量産に向いているのも大きなメリットだが、だからこそ自分の釣りに合わせた改良を加えている人は多い。ここでは、エキスパートたちのオリジナリティを込めたエルクへア・カディスを紹介したい。

飯塚 亨
●フック……TMC212Y 各サイズ
●スレッド……8/0ブラックなど
●ボディーハックル……コックサドル・ブラックなど
●ボディー…コンドルクイル
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル
長めのハックルで存在感を重視
ボディーハックルは長めに設定。繊細な釣りには向かないパターンだと思っているので、基本的には存在感を重視するようにしている。ただし、ハックルを長くするとフライが回転しやすくなるため、少ない巻き付け回数で済む大判のフェザーを薄く巻くようにしている。
長めのハックルが水面へ引っかかって浮くようにしているが、ヒゲナガの時はボディーハックルをファイバーの向きが後方を向くように留める。
実際のトビケラは細長いシルエットだが、細身に巻いているメイフライ系のパターンと差別化を図るため、ポテッと横に広がるような形で巻いている。


板谷和彦
●フック……TMC100、102Y、112TRなど各サイズ
●ボディー……ダビング材・各色、もしくはピーコックハール
●ボディ―ハックル…コックサドル・各色
●ウイング……エルクヘア(ブル)・ナチュラル
重量と水の抵抗を減らす
このフライの弱点として、重量や水面での抵抗によるフッキングの悪さ、浮力の持続性がやや劣る点を感じている。その原因のほとんどがオーバードレッシングによるもの。
エルクヘアというマテリアルの特性からこのパターンは浮力が高いといわれているが、より浮力を得るためにウイング量を増やすのはナンセンス。ウイングは水面より高い位置にあることがほとんどなので、よほどラフな場所を流す場合を除いては、エルクヘアを留めすぎないようにしている(最低限の視認性を確保できる量+αぐらい)。
同様に、ボディーは細目にし、ボディーハックルもあまり長くならないように、ゲイプ幅の半分~3/2程度に巻いている。


稲田秀彦
●フック……TMC102Y #13~15
●スレッド……8/0グレー
●ボディーハックル……コックネック・ダングリズリー
●ボディー……ポリダビング・マスクラットグレー(シマトビケラを意識)
●ウイング……エルクヘア・ナチュラル
ハックルはV字状にカット
エルクヘアは、必ずナチュラルカラーで先端部分の白い物を選んでいる。そういったヘアには天然のオイル成分も残っており、浮力もよいと感じている。基本的にハックルの下側はV字状にカット。そうすることで、空気抵抗を減らしてティペットの縮れを軽減しているほか、平らにカットするよりも水面にハイフロートで浮かせることができる。
ハックルの長さはフックサイズに対してややオーバーサイズになるようなものを選んでおり、張りがあるカウ・エルクを使用している。またボディーはシマトビゲラの場合のみ虫にマッチするカラーを使用している。シルエットは、ポッテリとした重星感のある形をイメージ。


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