大田政宏さんのブラックバス用システム
名手は何を気にしてどのようにラインを組んでいるのだろうか。ここでは大田政宏さんのブラックバス用ラインシステムをご紹介します
写真と文=大田政宏
昔の市販リーダーについて調べてみるのも楽しい
私が使うフライラインは、3Mのウルトラ3・バスソルト、エアセル・バスバグ、リーウルフのTTBAなどすでに廃番になったものが多い。これらを使い続ける理由は、何よりもしっくりくるからだ。年々手に入りにくくなっているので、ロッドやリールと同じく長く使う道具として手入れを欠かさない。
リーダーはマキシマの7.5フィート、0X をずっと使ってきた。理由は巻きグセがつきにくく、しなやかだから。しかし本当は8フィートの02Xがあれば完璧だと思っていた。
5年前の雨上がりの野池。でかバスがヒットした直後、なすすべもなく倒木に巻かれてブレイクした。この出来事をきっかけに、02Xのノッテッドリーダーを本気で自作しようと思った。もちろん開けた場所で釣るぶんには、0Xで充分だと思う。ただ私の場合は、立木やヒシモといったヘビーカバーにバグを放り込むようなことが多く、ティペットが傷みやすい。さらに同じ場所でライギョも釣れる可能性を考えると、やはり02~04Xが必要となる。
リーダーを自作するにあたり、昔のアメリカではどうしていたかも調べてみた。バスフライに関しては昔のほうが本格的な情報が多く、今私がやっているのと同じ#1/0~2/0のポッパーを、先人たちがどんなラインシステムで投げていたか興味深いものがある。調べる中で一番参考になったのが、フレッドアーボガスト社から販売されていたパーフェクト・ナイロン・バスフライリーダーなる製品。それは8フィートの15Lbで先端にはスイベルが付いていた。当時はこのリーダーでフラポッパーを投げていたのだろう。それ以外にも昔のメイソンのリーダーチャートや、リビングストンの著書『Fly-rodding for Bass』。デイブ・フィットロックの著書で、東知憲さん翻訳の『Flyshing for Bass』。さらに当時、既製品で唯一のバス用リーダーだったフロッグヘアの7・5フィート、02Xも参考にした。サンプルを何本か自作し、1シーズンかけてプカリテスト(フローター釣行)をした結果、最終的に3つのセクションをもつバス用リーダーにたどり着いた
太さ以外に重視したのはターンオーバー性能。トップウオーターのバス釣りおいて、着水後、最初のワンアクションがもっとも重要だからだ。そこでバグが不自然な動きをしたり、意図どおりに動かないと見切られることが多い。しっかり止めて、しっかり動かさないと釣れないのである。だから最終的に私のリーダーは、空気抵抗が大きいヘアバグでも軽くサオを振り下ろすだけでターンするように作った。バットはかなり太く、全体が短いのでテーパーは相当きつくなっている。
ということでアメリカで培われたバスバギングの情報をもとに、日本製の高品質ナイロンで作成したノッテッドバスリーダー。もう5年くらい使っているが、ボクの中では必須アイテムとなっている。
ラージマウスバス用のラインシステム
※以下の本誌からもご覧いただけます
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【特集】名手たちのリーダー&ラインシステム図鑑 渓流、本流、湖、ソルト、温水。47人の工夫とこだわり。
この釣りではとかくフライパターンに注目が集まりがちですが、フライを魚に届けるためのリーダー、ラインシステムも非常に大切な要素です。同じ対象魚をねらうのでも、フィールドが違えばフライと釣り方が違います。そしておのずとラインシステムも変わります。特に対象魚のバリエーションが広がり続ける中、名手たちの現時点でのシステムを整理してみました。ほか、朱鞠内湖のイトウの魅力、そして’マッドサイエンティスト’、ゲーリー・ラフォンテーンの名著『The Dry Fly』の第1章を掲載しています。
2023/7/6