LOGIN
アカサカ釣具

インパクトを抑えたスケルトンウエットフライ

ローウオーターで、流れがゆるく食いも浅い時に大きなフックを姿勢よく流したいな、と考えていて、たまたま手元にあったウオーリーウイングのドライフライを見て応用してみたのが始まりです

森下泰一郎= 解説と写真
フライ

フェザーを折り返してウイングにする、ウオーリーウイング。ドライフライではよく使われるテクニックだが、その発想をもとにウエットへ転用したのが、森下さんのパターンだ。名前のとおり、骨状のウイングがゆるい流れでも水中姿勢を安定させる効果もあり、ナーバスな状況での活躍が期待できる

 

フライ

このパターンの有効性に気づいたのが、超渇水のアイスランドでアークティックチャーを釣った時。たまたま持っていたスケルトンウイングのストリーマーが有効だった

 

フライ

スロベニアのレインボートラウト。ガッドウオールのウイングは見た目よりもずっと大丈夫

 

ウエットフライに透明感を持たせる

ナーバスな状況で使用するとのことですね。

最初に使ったのはアイスランドで、ストリーマーのウイングだったんです。アイスランドは当然アトランティックサーモンねらいで行ったのですけど、その年もすごい渇水で、結局1週間いて釣れたのは2尾でした。そのうちの1尾がアトランティックサーモンではなく、ホッキョクイワナ。その時あまりに水がなくて、川が流れていなくて(笑)、まあ止水のプールみたいな中で使うのにあんまり沈ませたくないなと。普通のストリーマーを使うと沈んでしまうので、たまたまこのウエットストリーマーを持っていたので使ったら釣れた、ということなんです。

 

ウイングが沈下の際に抵抗になると。

そうですね。基本的にはドライフライのウオーリーウイングと同じ構造なんですが、ウエットフライでは透明感を出すというか、インパクトを抑えるという意味もあります。サーモンは特にそうなんですけど、大きいフライを巻いちゃうじゃないですか。魚も大きいので。そうするとやっぱりローウオーターの中ではなかなかインパクトがありすぎて……。スコットランドの何人かのギリーから、ローウオーターで魚がナーバスな時には、フライサイズを小さくして、ダークカラーがよいといわれたこともありますし、確かにサーモンやトラウトは、夏季のローウオーターで特に警戒心が強くなって、フライやラインを避けるようになります。でもフックサイズを落とすと、ショートバイトで結局バラシが多くなってしまいますし、太いティペットに小さいフライを結ぶのはバランスも悪く、フライの泳ぎも不自然になりがちだと思うんです。できるだけ大きいフックで、パターンもできるだけ落としたくない、でもインパクトも小さくしたい、という発想で、このフライを試しているんです。あ、このスケルトン・ウエットフライって僕が勝手に読んでいる造語です(笑)。

 

 

緩い流れでのバランス

いわゆるローウオーター・スタイルってあるじゃないですか。ハリが大きくドレッシングを小さくするという。

もちろんやったんです。去年も比べてやったのですけど、サーモンって渇水になると特に流れ出しからプールの深みにいるんですよ。そうすると流れが緩いですよね。そういう場所では、ローウオーター・スタイルだとどうしてもフックが重くて、後ろから沈下していくような形になりがちなんです。だから、ある程度の流れの中じゃないと実はうまく機能しないのではないか、と考えています。で、今私が使っているウオーリーウイングのパターンでいくと、緩い流れでも姿勢が安定しているんです。実は、ウイングもスプリットとフラット、2種類あるのですが、スプリットしてウイングを開けば開くほど水の抵抗は増えて安定します。そのかわりキャスティング中に回転しやすくなりますが。

 

ではフラットとスプリットの使い分けは、使う場所の水の流れや、沈下速度で。

そうですね。クイルウイングで縦に平たく2次元にもってきちゃうと、ストンと沈んじゃいますし。緩いプールなんかで大きいフライを使いたい、フッキングをよくしたい、というところにこだわっています。あと、厳密にはフラットとスプリット、その中間のハーフスプリットと3種類を使い分けています。

 

耐久性はいかがですか?

意外に丈夫なんです。クイルウイングと一緒くらい。私も、もっと壊れるかなと思ったけどそうでもないです。ただ、これの難点というか、素材がスプリットできるやつとできないやつがあるんです。羽根の個体差によって。ガッドウオールの中でも100%いけるかというとなかなか……。サイズの問題もありますし、だから大きいフェザーでもっとやりやすいものはないのかなあと捜しています。でも今のところガッドウオールが一番確かなのかなあ。裂けやすく、細工がしやすい点で。あと、普通のフラットウイングならそんなに問題にならないんですが、スプリットにする場合、左右対称なフェザーを選ぶことも重要です。仕上がりがだいぶ変わってきます。売っているパックの中に、長いやつもちっちゃいやつも入っていて、それをいつも仕分けはしているのですけど、なかなか左右対称のがなくて困っているんです(笑)。

 

シルエット的にはソフトハックルとクイルウイングの中間くらいのイメージなのかなと思ったのですが……。

いえ、決して軟らかいフェザーじゃないんで、どっちかというとクイルに近いですよ。意外とフワフワしているかと思ったらしていないんです。だから止水でも形が崩れないし、水に付けても倒れないですから。

 

あとの取り付け方はウオーリーウイングと同じ感じですか。

そうですね。ただ、ドライフライと違って、ヘッドの部分にフェザーがまとまってくるので、けっこうヘッドが大きくなりがちなんです。だからフェザーのストークがなるべく細いところを留めるようにサイズを選んでいます。

 

 

 

 

シルバードクター

フライ

●使用場所:本流

●対象魚:サーモン・トラウト全般

フック……………………… TMC7999 #8~10 バーブは潰しておく

スレッド………………… 12/0 ブラック

タグ……………………… シルバーティンセル#14

テイル……………………… ゴールデンフェザント・クレスト

リブ……………………… オーバル・シルバーティンセル#10

ボディー………………… シルバーティンセル#10

スロートハックル……… ギニアフォウル・ダイドブルー

アンダーウイング……… グースショルダー・ダイドレッド、イエロー、ブルー

オーバーウイング……… ガッドウォール・ナチュラル(スプリットウイング)

スケルトンセッジ

フライ

●使用場所:渓流・本流

●対象魚:サーモン・トラウト全般

フック……………………… TMC7999 #8~10 バーブは潰しておく

スレッド………………… 12/0 クリーム

タグ……………………… フラットシルバーティンセルSize14

テイル……………………… パートリッジ・ナチュラル

ボディー………………… シールズファー・クリーム

リブ……………………… オーバル・シルバーティンセル#10

スロートハックル……… パートリッジハックル・ナチュラル

ウイング………………… ガッドウォール・ナチュラル(スプリットウイング)

スカンピヘッド

フライ

●使用場所:本流

●対象魚:サーモン・トラウト全般

フック……………………… TMC7999 #8~10 バーブは潰しておく

スレッド………………… 2/0 ブラック

タグ……………………… ゴールドティンセル#14

テイル……………………… ゴールデンフェザント・クレスト

リブ……………………… オーバル・シルバーティンセル#10

ボディー………………… ゴールドティンセル#10

スロートハックル……… コックハックル・ダイドパンプキン

アンダーウイング……… ゴールデンフェザント・ティペット・ダイドレッド

オーバーウイング……… ガッドウォール・ダイドグリーン(ハーフ スプリットウイング)

ブラックスペイ

フライ

●使用場所:本流

●対象魚:サーモン・トラウト全般

フック……………………… TMC7999 #6~10 バーブは潰しておく

スレッド………………… 12/0 ブラック

タグ……………………… ゴールドティンセル#14

テイル……………………… ゴールデンフェザントクレスト・ダイドレッド

リブ……………………… オーバル・シルバーティンセル#10

ボディー………………… ピーコック・ハール

スロートハックル……… ゴールデンフェザント・ダイドブラック

ウイング………………… ギニアフォウル・ナチュラル(フラットウイング)

エビセン

フライ

●使用場所:本流

●対象魚:サーモン全般

フック……………………… TMC202SP #6~8 バーブは潰しておく

スレッド………………… 12/0 レッド

ボディー………………… シンセティックダブ・レッド

ボディーリブ……………… ワイヤ・ゴールド

ボディーハックル……… ゴールデンフェザント・ダイドレッド、ナチュラル、モルフォファイバー

アイ……………………… ゴールデンフェザント・ティペット・ダイドレッド

シェル……………………… ガッドウォール・ホットオレンジ(フラットウイング)

2024/12/25

つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
アカサカ釣具
つり人社の刊行物
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03
磯釣りスペシャルMAGAZINE Vol.03 1,980円(税込) A4変型判132ページ
【特集1】引き出しを増やしあらゆる状況に対応するために… グレに効く1000%ウキ活用術 【特集2】各地の傾向と対策、特選ポイントを公開 冬こそアツいデカバン石鯛 ねらったところへ仕掛けを飛ばし、潮をとらえてグレの口もとへサシエを届け、釣り…
アカサカ釣具

最新号 2024年12月号 Early Autumn

【特集】マスのきもち

朱鞠内湖のイトウ、渓流のヤマメ、イワナ、忍野のニジマス、九頭竜川サクラマス本流のニジマス、中禅寺湖のブラウントラウトなど、それぞれのエキスパートたちに「マスのきもち」についてインタビュー。

色がわかるのか、釣られた記憶はいつ頃忘れるのか、など私たちのターゲットについての習性考察していただきました。

また、特別編として、プロタイヤーの備前貢さんにご自身の経験を、魚類の研究に携わる、棟方有宗さんと高橋宏司さんに科学的な見地から文章をいただいています。

みなさんの情熱が溢れてしまい、今号は16ページ増でお届けします。

「タイトループ」セクションでは国内のグラスロッド・メーカーへの工房を取材。製作者たちのこだわりをインタビューしています。


Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

 

NOW LOADING