ステゴザウルスのタイイング
コノシロシーズンのシーバスねらいに効果的なフライです
解説=和氣恒久 写真と文=編集部※この記事はFLY FISHER 2022年3月号 (2022-01-21)を再編集したものです
ステゴザウルス
これは2021年の秋シーズンから本格的に使い始めたのですが、私と同じようにビッグフライに夢中になっている釣友たちと検証を重ねるうちに、引き波に興味を示してフライに近づいてくるシーバスがいることに気がつきました。最初はポッパーやルアーのペンシルベイトのようなフライができないかとも思いましたが、引き波を立てるのなら水面直下を引いてくればよいのかも……と発想を転換しました。ちょうどSNSで海外のパイクやマスキー用のゲームチェンジャーを調べていて、フォームシートを何枚も背中に装着したものを見つけました。その瞬間にこれだ! と思いました。ステゴザウルスという名前は背中に板を何枚も生やしている形状から。複雑に見えますが、同じことを繰り返しているだけなので、意外にタイイングが簡単です。釣友にも試してもらって、すでに何尾もよい結果を出しているので、かなり気に入っています。今から2022年のコノシロシーズンが待ち遠しいです。
タイイングをする前にフックとシャンクの下準備をする
和氣さんのビッグフライは、市販のワームフックを加工しているものがほとんど。そのためタイイングの前に下準備が必要になる。ここではその手順を見ていこう
フックとアーティキュレイテッドシャンク(以下、Aシャンク)を並べ、骨組みの長さを決める。あらかじめ使うAシャンクを決めておいたほうが作業がスムーズになる。写真はあくまで仮置きの状態
フックとAシャンクを並べることで、途中にフックを入れたり長さを変えたり、パズルのように組み合わせを考えるのも楽しい。一部の向きが逆だが、これも仮置きの状態
Step1
今回使用するワームフックはパイルドライバーという名称で、アイ付近に角度が付いているので、その部分を曲げて折る
Step2
金属カッターがあれば切断しやすいが、ペンチやプライヤーで挟んで何度か曲げ伸ばしを繰り返し、金属疲労で折ってもよい
Step3
Aシャンクの35mmを取り出す
Step4
開いているほうのアイを輪が半分くらい残るようにカットする
Step5
フックをバイスに固定し、アイの途中で折ったAシャンクをフックシャンクの下側にスレッドで巻き留める
Step6
スレッドを2~3往復させて留めたら、瞬間接着剤を塗って補強する。これで下準備は終了
タイイングの手順
Step1
10mmのAシャンクをバイスに固定する。ゲームチェンジャーはテイル後端から巻いていく
Step2
浮力体になるフォームシートをカットする。一番後ろなので幅5mm、長さ10mmくらいだ
Step3
フォームの角を落とし、楕円に近い形状にする
※以下の本誌からもご覧いただけます
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【特集1】ツーハンド・キャスティングを分かりたい
【特集2】超巨大フライ列伝!
多くのフライフィッシャーが混乱している、Dループを使うツーハンドのキャスティングにフォーカスしました。
スペイキャスト、アンダーハンド・キャスト、スカジットキャスト、止水のスペイキャストと大きく4つに分け、自身もフライフィッシャー・インターナショナルのマスター・ツーハンドキャスティングインストラクターの資格を持つ東知憲さんが、それぞれの名手にインタビューします。それぞれのスタイルの出自、対象フィールドと魚をイメージできれば、違いが理解しやすくなりそうです。第2特集は、全長20cmほどの巨大ストリーマーを紹介します。軽いものを遠くになげるという、フライフィッシングの成り立ちとは真逆をいく、ビッグ&ヘビーなフライのタイイングと考え方を紹介します。そして今号は第3特集まであります。管理釣り場エキスパート4名に密着しました。彼らに共通するのは、すべてにおいて「緻密」であること。魚釣りとしての技を紹介します。
2023/10/16