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クイルゴードン&ライトケイヒルを巻く

クラシック・ドライフライの王道

稲見一郎=解説

《Profile》
稲見 一郎(いなみ・いちろう)
1965 年生まれ。東京都板橋区在住。プロショップ「ハーミット」を営む。
渓流から海までさまざまなフィールドでフライフィッシングを楽しみ、それに応じたフライパターンを教える機会も多い。
ドライフライのクラシックパターンも数多く愛用する

この記事は2014年2月号に掲載されたものを再編集しています。

各部位のバランス感を養う

クイルゴードンは、日本でも早くから紹介されてきた、クラシック・ドライフライの中でもメジャーなパターン。アメリカで考案されたものだが、厚いハックルと細身のシルエットで縞模様のアブドメンは、ヤマメやイワナのフィールドでも数多くの実績を上げている。

クイルボディーのストリップト・ピーコックは、ダビング材のようにマテリアルに厚みがある素材ではないので、下地をいかにフラット(たとえテーパーがついていても凹凸のない状態)に作っておくかがキーになる。

ピーコッククイルより先にシャンクに取り付けるテイル材とウイング材が、ボディー下地に凹凸を作ってしまう主な原因になりがち。そこで稲見さんは、テイル、ウイング両方のマテリアルの余り部分を斜めにカットしてスレッドでならす方法によって、フラットな下地を作成している。またピーコッククイルをボディーに巻く際には、重ねずに巻き進めることによって、シルエットが膨らむのを避けている。


そしてもう一つの特徴は、レモンウッドダックのバンチウイング。基本的には1本のフェザーを丸ごと使うが、毛先の揃っている幅が広いものを選びたい。ウイングはシャンクと同じ長さが理想なので、フックに留める前に、ファイバーの長さをシャンクにあてて確認する作業も大切だ。

タイイングでは左右に分かれるファイバーを均等に2分するのがコツ。最初からスレッドを掛けて何となくウイングを開くのではなく、あらかじめ二ードルなどを使って分け目に癖を付け、しっかりとファイバーの量を確認してからスレッドを掛けるようにする。

「スタンダードパターンはバランスがだいじ。黄金比を目差すためには、フックに対するマテリアルのサイズ感をしっかりと把握しておくことが大切です」と稲見さんが話すように、シャンクの長さを基準にして、テイル、ハックル、ウイングのサイズを調整するとバランスのよいフライを作りやすい。

また、ここではバンチウイングを持つ同じフォルムのパターンとしてライトケイヒルも紹介。ヒラタカゲロウを模したフライとして日本でも人気の高い1本だが、こちらもやはり各マテリアルのバランスに気を配る。ダビングボディーなのでクイルゴードンほど手間はかからないが、美しいフォルムの押さえ所は変わらない。

 
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2019/2/20

つり人社の刊行物
初歩からのフライタイイング
初歩からのフライタイイング 2,750円(税込) A4変型判148ページ
本書は、これからフライタイイングを始めようとする人に向けた入門書です。 解説と実演は、初心者の方へのレクチャー経験が豊富な、東京のフライショップ「ハーミット」店主の稲見一郎さんにお願いしました。 掲載したフライパターンは、タイイングの基礎が…
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最新号 2023年12月号 Early Autumn

【特集】尖ってるドライフライ

今号では、編集部が「面白いな」と感じた渓流用のドライフライのタイイングと考え方を紹介します。取り上げるのは、パラシュートスパイダー、エルクファンタジィ、丹沢スペシャル、マジックバレット、里見パラシュート、ヨッパラ、特殊部隊の7本です。これらを並べてみると、みなさん気にかけているのは、耐久性、浮力の持続性だけでなく、「誘い」であることがわかります。水面の流れより遅く流れる、フライそのものが揺れる、マテリアルが揺れる、などさまざまですが、いわゆるナチュラルドリフト以上の効果を明確にねらっているものがほとんど。来シーズンに向け、ぜひ参考にしてください。
またウォルト&ウィニー・デッティ、ハリー&エルシー・ダービーに関するフライタイイングの歴史、そして、『The Curtis Creek Manifesto』(日本ではご存知、『フライフィッシング教書』として翻訳されています)の作者、シェリン・アンダーソンについても取り上げています。


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