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本多託也さんの釣り場探し方法

本多託也さんの釣り場探しのコツとは?

解説と写真=本多託也
フライ

北海道の本流はポイントが頻繁に大きく変わります

北海道の本流についてですが、基本ひとりで行動されることが多いそうですね。

本多 はい。最初は北海道に引っ越してきて、ひとりでやるしかない、という状態だったからなんですが、釣り場に通ってみて思うのは、たとえ北海道の本流であっても、2人でじっくりできる規模のポイントってあまりないということなんです。ポイントのキャパが小さいというか、実際には2人目の人が釣れるほど甘くもないんです。

 

そもそもどのようにポイントは開拓したのでしょう

本多 最初はある程度ぐるっと回ってみて、まずはダブルハンドが振れる川を知っていく、という感じでした。まず行くしかないです。そして、自分のお気に入りの感じ、川原の感じだったり森の感じだったりを見つけたら、そこを釣ってみる、ということを繰り返しました。で今までやってきた感覚だと、「北海道はポイントが9割」ということです。よい場所を見つけられるかどうかが本当に大きく結果に差が出ると思うようになりました。

 

よい場所、といいますと。

本多 よさそうなポイント、かつ魚がいるポイントを見つけるということです。深いポイントには魚がいるかもしれないですけど、フライフィッシングに向いているポイントではないかもしれない。釣りやすくて魚もいてというところって見つけるのは簡単じゃないです。特に最近は台風が多くて、ポイントが毎年大きく変わるんです。今年あったポイントが来年もある保証はまったくないんです。前年度の増水で水が流れてなかったところに、今年は流れているとか。そういう場所って、まだ水生昆虫なども少なくて、よさそうに見えたとしても、魚がついていない、ということは結構あると思います。あとは深いところが少なくなっている気もするんです。あったとしてもバンク際だとか細い筋だけだったりするので、釣りが難しい。だから細かい釣りが以前より必要になっている気がします。そのために自分はショートヘッドを使っているのですが……。どこにでも大きな魚がいるわけではないので、そういう場所を見つけたら釣り方にこだわらず釣って成功例を積み重ねることも重要なんだと思うんですよね。でも、とにかくポイントがどんどん変わるので、開拓にはやっぱり時間がかかります。逆にいえばそれだけ毎年楽しみがある、ということでもりますけれど。

 

それはどの本流でも同じですか。

本多 いえ、厳密には河川によると思います。たとえば岩盤の川だったり湿原を流れているような川は水が出てもあまり変化はないですし、逆に本州の川に似た、広い川原のある川なんかは毎年変わります。だから航空写真も実際と違うことが多いので行ってみないとわからないんです。堰堤とか支流との合流点の位置とか大水がでてもそれほど変わらない大まかなところは頭に入れていきますが、駐車スペースとか入川経路とか、現場で見ていく感じです。だからその辺はもはやストレスに思わないで、楽しみと捉えてます。僕は自分の足で稼いで知りたいと思っているので、探しているのはとても楽しいです。

 

最近は北海道も暑いですが全体の季節感を把握することも重要ですか?

本多 まず、全体をざっと説明すると、12月から1月は凍らない川もありますけれど、ラインやガイドが凍っちゃって釣りにくいのですが、雪代が始まる4月くらいまでというのは本流は空いているんですよ。そうするとアメマスをメインでねらいます。そして雪代のシーズンはできなくなります。で、雪代が終わる頃というのは、本流ではなくて、支流が先に澄んでくるので、支流との合流点とかをねらってみます。で、6月はどこでもいいですよね。そこから7月8月になると水温が上がってしまう川があるので、標高の高いところから流れ出ている水系か、湧水が豊な水系をねらいます。

 

水温の把握は重要になりそうですね。

本多 しかも水温が高い時期が長くなっていると思います。6月の中旬くらいから9月の頭くらいまでは本流は魚にとっては高く感じる時期だと思います。6月は水温もいいので、魚が散っているんです。だから描いたようなポイントを回っているだけで結果が出ると思うのですが、9月上旬くらいまでの水温が高い時期はそうはいかないですよね。逆に水温が低い、いい場所を見つけてしまえば魚が溜まっているということもあります。そして逆に秋にあるとまた散っていくんです。そういったマスの流れもありますよね。あと、マスの流れといえば、十勝水系はニジマスがいるところはだいたいくまなく歩きました。のべ何日もかけて。そうやって全体をみると、小さなニジマスが大きくなるまでどこに匿われていて、どこが供給源になっているのかとか、支流によってニジマスの見た目が違うとか。どういう要素で本流という釣り場が成り立っているのか、が多少は見えてくる気がします。普段の本流ではだいたい似たタイプのニジマスが釣れるのですが、増水のあとになるといろんな見た目の魚が釣れるようになるんです。増水すると、いろんな支流出身のニジマスが集まってくるんですよね、きっと(笑)。そしてそれがまた散っていくという感じなんです。

 

そもそも年間どれくらい釣りされているのですか。

本多 朝だけ、とかまる1日やらない場合も含めればだいたい年間140日くらいじゃないでしょうか。1日やるのは120日といったところですね。

 

そのうち本流が……。

本多 ここ2年くらいは7割です。

 

釣りはほぼ車中泊で

本多 はい。北海道では特に車中泊のメリットって大きいんですよ。この川はちょっと違うな、と思ったら移動する距離が長いんです。天候の具合もありますし、その日、もしくは前日にいく場所を決めることも少なくないので、宿泊場所が決まっちゃうといろいろ制約が大きくなります。ただ、北海道は冬は寒いし、夏は暑いのであまりおすすめはしないです(笑)。

 

 

本多託也さんの勘所

・まずは行くしかない

・1ヵ所でもリサーチに日数は必要

・水温とマスの移動を意識する

・支流を知る

・車中泊で移動する

 

 

Profile 本多託也さん

北海道在住。埼玉県出身。大学院進学を機に北海道へ。そのまま就職。九頭竜川のサクラマスから北米のスティールヘッドまで、本流をとことん追求している。フライ歴20年。1990年生まれ。

 

 

 

 

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