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現地レポート【福島県/伊南川水系】

晩夏~初秋の奥会津を占う

達城鶴博=写真と文
2019年8月27日、檜枝岐村で釣れた29cm。泣きたいのはこっちだが、晩夏のイワナ釣りは静かで、水はひんやりと気持ちがよい

福島県・会津高原でフライフィッシング専門宿を営む、達城鶴博さんの現地レポートです。


《Profile》
達城鶴博(たつぎ・つるひろ)
福島県南会津町在住。1965年生まれ。フライ歴30年。会津高原にてフライフィッシング専門のゲストハウス「やまゆきかわゆき」を2001年より営む。南会津西部漁協理事、舘岩支部長も務め、同エリアのフライフィッシングに詳しい。
宿HP:奥会津体験体感、やまゆきかわゆき http://www.maroon.dti.ne.jp/yamayuki/
ブログ:「やまあそび、かわあそび、天気曜々」http://yamayukika.exblog.jp/
フェイスブック:https://www.facebook.com/Yamayukikawayuki.jp/
YouTube:やまゆきチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCe_0tqknmHuXev7_ul2OvvQ
やまゆき夫婦のインスタグラムは「yamayuki」で検索。

会津地方。こんなによいシーズンはめったにない


2019年の渓流釣りは残すところ1ヵ月、福島県の内水面規則では9月30日まで、隣の北関東の河川よりも10日ほど長く遊べます。

本稿「伊南川水系・現地レポート」は、伊南川水系においてとりわけフライフィッシングの有望な渓流が多い舘岩川水系と、秘境とも呼ばれる檜枝岐村内の渓流を中心に、季節の節目ごとの河川状況を中心にお伝えします。シーズンを締めくくるこれからの釣行計画の一助になればと思います。

地元のフライ愛好者はこういう考え方に基づいてこういう釣りをしているんだ、そんな一考察として受け取ってもらえれば幸いです。

まずは基礎知識。2019年の夏も全国的な視点からは非常に暑かった、となっています。こちら奥会津地方にあっては梅雨明けが7月30日、気象庁仙台管区で東北南部3県まとめて発表、これはいつものことです。

ですが、このエリアは、東西は日本海から太平洋までの範囲、南北は白河IC~一関ICの約250kmに広がります。もちろんエリア全体が同じような天気ではありません。

梅雨前線は確かに真横に横たわり、東北地方を上がったり下がったりを繰り返し、北へ去っていくか太平洋へ遠ざかっていけば、梅雨明けとなります。

2019年は過去にないほどのアブの発生、たらふく食べ飽きた渓魚もいたかもしれません。今でもテレストリアルパターンとして活躍中!

雨が降っているかどうかは問題ではなく、気象庁は天気図を読み取り梅雨明けを発表します。釣行チャンスが少ない人、少なくなってしまった人は、釣行計画には天気は絶対条件ですが、気象衛星の技術が進歩し、より細かく、より鮮明に、解析されるようになりました。1時間単位、2時間単位で天気予報が更新され、リアルタイム予報のニーズに応える姿勢が見えます。

少し前線が下がるとドドドーッと雨マークが増えて、少し前線が上がると一気に真夏日の予報に変わったりしています。しかし、これらはあてにならないとは言いませんが、あてにしすぎるのもいかがなものか、とも思います。



たとえば「会津地方の天気予報」は会津若松市の天気予報です。舘岩地区からは北に100km離れていて、その上は喜多方市、その上は山形県。日光の裏側の天気を知りたいのに、山形県のすぐ下の天気じゃどうしようもないのが現実です。

また、釣りであれば、川が濁りやすいか、逃げ場はあるか、地盤は強いか、森は広葉樹か、などの釣行先の特性、川の性質のようなものを知っておくことは、天気予報と同等に重要です。

前置きが長くなりました。奥会津の梅雨明けは7月30日でしたが、湿度が下がって夏になったのが、8月3日頃でした。梅雨自体は近年には珍しく降雨を伴った梅雨で、山と谷の雪が多く残ったために水温はおさえられ、10~14℃で推移。夏まではベストな状況の川が多く、震災後では最高のシーズンになりました。

そして2019年の夏、真夏の暑さは8月15日までで、短い雪国の夏になってしまいました。

残暑といえるほどの残暑もなく、8月下旬までは25~27℃、下旬から今(9月2日)までは22~25℃、放射冷却で13℃となった朝もありました。

数年続いていたお盆頃からのまとまった雨は今年はなく、早めにやってきた秋雨前線の増水のみ。逆に言えば、夏の水量になっていたのはたったの2週間ほどで、水量は気持ち多めで今にいたっています。こんなによいシーズンはめったにないと思います。

バッタは自分の釣りには無縁と思っている人は多いかもしれませんが、実はアブパターンで反応低下の時には迷わずバッタパターンにしています


さて、晩夏と初秋。今は晩夏です。釣り以外でも季節は分かります。夏のキノコが発生していて秋のキノコは見ない。ヤマメの魚体がピッカピカ、晴れた日にはセミの鳴き声がうるさい、など。初秋に入るには、もう一段湿度が下がり、朝方の気温も安定して15℃前後、渓魚が#10のカディスパターンに反応しづらくなる、など。もちろん季節とは移り変わるもので、一気に変わるものではありません。「気が付いたら変わっていた」と言えば分かりやすいでしょうか。

自分としては、奥会津の土地がイワナ中心であること、10月末には雪がちらつく雪国であること、関東から近く魚は多いが釣り人も多いこと、これらを考えあわせると禁漁まで徹底したイワナねらいにいき着きます。うっすらピンク色した秋ヤマメも季節感たっぷりで悪くありませんが、個人的には命がけの仕事の邪魔をしたくはありません。

2019年9月1日、舘岩川水系で釣れた美ボディーなヤマメ24cm。水温は13℃でもピンク色は感じません

だからこそやる気のある夏を引きずったイワナはまだまだ大きめの毛バリに反応し、元気いっぱいです。ポカポカ陽気に恵まれれば、9月最終日に尺上3連発の記録もあるほどです。

過ぎ行く夏を思いながら、残り少ない2019年シーズンの奥会津を楽しんでください!

2019/9/5

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