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夏の渇水、サイトの好機

梅雨明けからのイワナの付き場

稲田 秀彦=解説
夏場、こんな渇水状況の渓は珍しくない。だが、こんなシチュエーションにはイワナの付き場が絞りやすくなるヒントも隠されている

渇水……イヤな響きの言葉である。せっかく川に来て、チョロチョロの水流を見ると、気分が落ち込む釣り人は多いだろう。しかし、諦めるのは早い。水が少ない時に、どんな場所に魚が付くのか熟知していれば、ぽっかり浮いた魚とのスリリングなゲームが楽しめるかもしれない。
この記事は2016年8月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
稲田・秀彦(いなだ・ひでひこ)
1972年生まれ。長野県安曇野市在住。自宅からも近い信州の本流・渓流をホームグラウンドにしているが、シーズンを通じて岐阜県の高原川水系に足を運ぶことが多い。渓流域のウエットやニンフの釣りも得意としている。

梅雨明けからの渇水。時にはサイトで楽しめる?

渇水はおおまかにいうと、以下の2つの時期に分けられる。まずは春から初夏にかけて雪代が終わり、梅雨入り前に一時的に起こる渇水。

そしてもう一つは梅雨が終わり夏から秋にかけて、少雨などの影響から大幅に水が減っている状態である。7月以降は後者の時期に入っていくわけだが、日中の気温が上昇して季節が夏に移行するとともに、水温も上がって日中の釣りが極端に難しくなる。

平水時にはしっかりとした流れの筋ができており、魚の付きやすい場所があったとしよう。しかし渇水時には水の流れが弱くなり、場合によっては流れが止まってしまっていることもある。
限られた休日に水が少ないからといって、すごすご帰宅することはない。いつもより警戒心の強い魚でも、ていねいにアプローチすればフライに出てくれるはずだ

渇水の程度にもよるが、流速が弱まることで、水面がフラットな状態になりやすい。その結果、水面上にフライやラインが落ちた際のインパクトが目立つことになり、魚が警戒心を抱きやすい。

また水温の上昇によって、冷水を好む渓魚の活性は低下してしまう。さらに魚の付きやすいポイントが減少する。平水時には比較的ポイントに近くまで寄ることができても、渇水時には距離を取りながら、しかもキャスティングの回数を減らすなどの配慮が必要だ。

またラインを落とす位置などにも気をつけなければならないので、平水時と比較すると釣り人にとってはマイナス要因が多い。おそらく多くの釣り人は、渇水に対して同様のイメージを持っているはずだ。

しかし一方で、渇水時の魚の好む付き場所を、なんとなくでも分かるようになると、渇水はチャンスにもつながる。水量が少なくフラットな水面ということは、浮いている魚を見つけやすいのである。

つまり夏の渇水時期は、サイトフィッシングを楽しむことができるチャンス。見つけた魚に対して、いかにアプローチしてキャッチするか……。真夏のゲームでは、そんな心地よい緊張感が味わえる。渇水した川では、思わぬ大ものとの出会いがあったりする。
雪が少ない年も珍しくない。渇水時の攻略法は覚えておいて損はないはず

浮いた魚はどこ? 渇水時の付き場

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