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渋谷直人のフックに関する考え方

フックの選び方などがわかります

FlyFisher編集部=写真と文

バーブレスフックについて

対象魚によってフックは大きく異なるのはお分かりだろう。ニジマスやブラウンと、ヤマメ、イワナとは同じフックでは釣りにならない。ニジマス、ブラウンが40cm以内ならヤマメ、イワナのシステムで問題ないが、50cmを超えるような魚と引っ張り合うならそれなりのフックを使わなくてはならないだろう。それはそれで別の機会に説明させていただくことにして、今回はヤマメ、イワナの場合についてのみで考えることにする。

イワナについてはそれほど気にしなくてもよいのだが、ヤマメという魚は本当に神経質なくらいフックにも気を遣わなければならないと思っている。単純なことではあるが、ヤマメは掛けたあとにフックアウトすることが、イワナにくらべて異常な高確率で発生するからだ。魚体の割に大きく硬い口に、神経質な生態のヤマメを仕留めるのは至難の業だ。「弾かれた!」とか、「出たのに食ってない!」といったことは僕も含めてすべてのフライフィッシャーが多数経験しているはずだ。

僕が考えるには、自分がドリフトとフライのすり合わせがしっかりできた場合で60%、普段の釣り上がりでは30%程度が確実にヤマメをフッキングできる確率だ。この確率から、釣り上がりで尺ヤマメを仕留めたいなら、3尾はフライに出す必要があり、その中の1尾が釣れればよしとしなければならない。ヤマメとのコンタクトはそれくらい際どいものだと思っている。

それでは、どのようなフックがヤマメに最適なのだろうか。イワナはこれに準ずるものだと考えれば問題ないと思うが、ヤマメが大きくほかの魚種と違う要素のひとつはローリングである。これによってどれだけ多くの釣り人が涙を飲んできたのかは、容易に想像できる。

そこで、まずフックの形状を語る前に、僕はヤマメを手にしたいならどんな形状のフックであれ、バーブレスは不利だと考えていることを明言しておきたい。もちろんバーブレスフックの意義は理解しているつもりだし、僕も一時期全部のフライをバーブレスに変えたこともある。しかしヤマメは掛かったあとのローリングやなぜか一気に手元へ疾走してくるなどテンションがゆるむように抵抗することに異論はないだろう。

しかし、これらの経験を通じてはっきり分かったことは、バーブレスの場合フッキング位置がやりとり中に何度も変わることだった。

尺近いヤマメをしっかり食わせて、一気に足元に足ってくるのもかわしフッキングの位置が喉の奥であることを確認してからのことである。もう大丈夫と思い、安心してじっくりとランディングするためのやり取りをした。ローリングもかなりしていたが外れるわけがないと思っていたので、じっくりと寄せてきた。そこでもう一度魚のロ元を見たら、フックは口からわずかに見える位置まで移動していたのである。そこからは少し慌て気味にランディングできたのだが、驚いたことに最終のフッキングは皮一枚であった。魚が暴れるうちに一度ハリが外れて、また刺さり直しているということだ。それまでも何度か同じような経験を、自分の腕のせいかと思うこともあったが、その時、完全にバーブレスフックに疑念を抱いた。外れたハリがたまたま口の中で刺さり直したからよかったものの、そうでなければバレてしまうことになる。

※この続きは、月額700円+税で有料メンバー登録するとご覧いただけます。

2024/7/9

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