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尺と出会う条件Q&A 3/3

フライの流し方、流すポイント

森村義博、角田智、天海崇、板谷和彦=解説


各地のエキスパートたちは、いったいどんな状況判断をして、よい魚を釣りあげているのだろうか。フィールド選び、釣行のタイミング、フライの流し方、それぞれ限られた時間でより「尺」に近づくためのアドバイスをきいた。
この記事は2014年2月号に掲載されたものを再編集しています。

《Profile》
森村義博(もりむら・よしひろ) 1956年生まれ。静岡県三島市在住。地元の狩野川水系をホームグラウンドに、シーズン中は毎日のように川を観察。ナチュラルドリフトでソフトハックルやカディスパターンを送り込む釣りが得意

《Profile》
角田智(つのだ・さとし) 1961年生まれ。長野県佐久市在住。千曲川水系の釣りに詳しく、本流域を中心に尺サイズの魚の付き場を熟知している。解禁初期から数多くの支流を含めて、川の観察は怠らない

《Profile》
天海崇(あまがい・たかし) 1973年生まれ。栃木県佐野市在住。「加賀フィッシングエリア」に勤務し、北関東周辺のフィールドに詳しい。プレッシャーの多いエリアながらも、毎年多くの尺ものを手にしている

《Profile》
板谷和彦(いたや・かずひこ) 1969年生まれ。石川県金沢市在住。ホームリバーは地元でもある手取川水系。マッチング・ザ・ハッチから源流の釣り上がりまで楽しむが、ドライフライで本流の大型ヤマメを引き出す釣りも得意

現場でフライを流す場合、どんな点に注意していますか?


角田
恥ずかしいのであまり書きたくないのだが、以下は私の失敗談。以前千曲川で釣りをしていた時、明らかに尺を超えるイワナのライズを発見。本来ならばティペットを結び直して、フライの水分を取り、万全の態勢を整えてアプローチするのだが、その時は舞い上がっていたのかもしれない。キャストしたフライはライズポイントに流下し、静かに浮上するイワナがフライを吸い込んだ。ロッドを立てて、フッキングしたイワナが障害物に潜りこもうとする・・・・・・そこでテンションを掛けて魚を止めようとしたら、ティペットが切れた。こんな時こそ、各ノットなど「急がば回れ」の気持ちを忘れてはならない。

このほか、岸際にブロックや岩などがあれば、あらかじめ気を配る必要がある。そんな場所の周りこそ、大ものが身を潜めていることが多い。うっかり水面に接しているブロックや石の上を歩いてしまうと、人の気配が魚に勘付かれてしまう。釣り人が思う以上に水中への音はかなり大きく響くのだ。実際によいライズを見つけて、キャストポジションを選ぶために移動していたら、その間にライズがなくなってしまった・・・・・・などはよく聞く話。ストーキングにも釣果が左右されると感じるシーンは多い。

板谷
自分の場合はドライフライ・オンリーで釣りを楽しんでいるため、フライのバリエーションは多く持つようにしている。この釣りの特性上、捕食のスイッチが入った魚をねらうので、予期せぬ良型のライズに遭遇しても即座に対応できることも大切。フライサイズについてはフッキング性能、バレにくさを考慮し、全体のシルエットを変えずにできるだけ大きなもの、ゲイプ幅が広いものをチョイスするよう心がけている。

特にイワナはヤマメよりも障害物に付く傾向が強いので、流すポイントは(水中のものも含めて)ストラクチャー周りが中心となる。ただし付いている場所と実際に捕食するレーンは違うので、同じストラクチャー周りでも魚のサイズが上がらなかったら、流すポイント(流速や深さ)を変えたり、フライをチェンジしたりして、それに反応する大型魚を捜すようにしている。

大型のイワナ、ヤマメの口内は非常に硬く、しっかりくわえても弾かれてフッキングに至らないことがある。そんな場合はハリ先の確認を行ない、ポイントが鈍っているようならば即交換、またはシャープナーで研ぐ。最近は細軸のフックが多く出ているが、その場合でも負荷がかかった時にゲイプが開きにくいものをチョイスしている。

また、大きな魚はヒットさせるのも難しいが、掛けてからランディングまでもまた難しい。特に本流などの強い流れでは、魚の引きにプラスして流れの力も加わるので、せっかくヒットしてもキャッチできる確率が下がってしまう。そうならないためにも、ポイントに立ったら、まずは投げて、流して、掛けてから取りこむまでの一連のプロセスをシミュレーションするクセを付けるとよい。ティペットの傷みやウインドノットなどを見つけたらすぐに対処することも必要。管理釣り場などで細いティペット&小さなフックを使用してキャッチする練習も効果的だと思う。もちろん、キャスティングやライン操作、掛けてから寄せるまでのコントロール性能など、しっかりとバランスのとれたタックルをチョイスしているのが前提となる。

板谷さんのドライフライパターン。アピール力のあるスティミュレーターなども多用して、瀬の中から良型ヤマメの反応を得ている

森村
あるポイントを攻略していく場合、そのポイントのどこに尺アマゴは潜んでいるのかを推測し攻略していくことは大切だと思う。僕の場合、基本的には、そのポイントの中にある最も大きな石(岩)周りを重点的に探るようにしている。その石周りの水面に、波立ちが小さく、静かでフラットな部分があれば尺が潜んでいる可能性は高まる。その範囲が狭くてもフラットな水面さえあれば、魚が水面の流下物を捕食しやすくなるからだ。たとえば深瀬の最下流部に大きな石があり、その一部が水面から突出して流れを弱め、その直前にフラットな水面がある場所など、大型魚が付く絶好のポイントだ。そんな石周りをドライフライで、ソフトハックルで、カディスピューパ・パターンで、といったように丹念に探っていき、2、3度フライを流しただけで移動してしまうことはほとんどない。時には十数投した後、尺がフライを急襲することもある。

良型の付いていそうな大岩をねらって、ダウン&アクロスのポジションからナチュラルドリフトでカディスパターンを送り込んでいく

天海
これまでに釣れたポイント(付き場)が点なのか、線なのか、流れの特徴を観察すること。イワナが少ないと感じたり、スレていると感じたりする渓流では、点よりも線で釣れることのほうが多いように思う。その時のイワナが付いている箇所に至るレーンを見極めて、ドリフトさせることが重要だ。

そうした釣りを経験していくと、必然的に今まで見逃していたポイントが増えてくるはずで、水量、天候など多少のコンディションをカバーした釣りが展開できるようになる。そのためにも魚に気付かれないポジショニングとナチュラルドリフト、そしてラインコントロールで失敗しないことが必要だ。

線と点。まずは、その日の状況によってどんなドリフトが効くのかを見極める

2019/9/4

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最新号 2020年12月号 Mid Autumn

特集
共鳴するウエットフライ
エキスパートが実践していること

 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
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