赤いリーダー現わる!
「レコードマスター SW FHT」の使い所などを解説します
FlyFisher編集部=写真と文
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この記事はFlyFisher No.301を再編集したものです。
今までより長くなった
レコードマスターFHT16フィートが新しく発売になりました。評判はいかがですか。杉浦 16フィ—卜とは思えないくらいじゃないですか?ターンオーバー性能がよいというか、コントロール性能がよいというか。風の中で、どうしても夕—ンオ—バ—させたい時ってあるじゃないですか。そういう時には特にいいです。
田中 まあウエイトフォワード構造ですからね。普通のテ—パ—と振り比べたら明らかにその辺の性能はいいはずです。とくにクロダイのサイトフィッシングなどの場合は結構重たいフライを使うじゃないですか。だからウインドノットができたりトラブルも少なくないですよね。でも、今回のリ—ダ—は自分で使っていても、テイリングはしなくなったな、という感じはあります。ラインはテイリングしてなくても、リーダ—だけクルッとなることがほんと少なくなりました。
このリーダ—をそのままフライに直結するのですか?
杉浦 いえ。ティペット部分をカットしてフロロに交換するという感じです。ただ、全長は16フィー卜をキープしたいので、たとえば先端70cmカットしたら同じ長さのフロロを結びます。その部分だけオリジナルより細くする、という考えです。クロダイの場合は1Xくらいですね。
田中 このリーダーはターンしてほしいので、そもそものテ—パ—デザインでティペットを長く設定していないんです。でも、自分がトラブらない範囲でみなさんいろいろな長さを試していただきたいですよね。
杉浦 でも僕が使っている感じだと全長16フィ—卜崩さないほうがいいと思います。やっぱり16フィートの長さが一番計算された長さな気がします。ただ、僕は本流の釣りでもレコードマスターを使っていますが、その時はバットをカットして短くしています。要は先端の太い部分からのテ—パ—が重要なので、短くするなら後ろからということですよね。
ナイロンの優位性
ナイロンという素材に関してはいかがですか。杉浦 今まではフロロを使ってたわけじゃないですか。クロダイは、というかこういうフラットの釣りは。僕は海外でもフロロを使っていたのですが、ナイロンを使ってみて最も違うなと思ったのは、イトが浮いていることなんです。特に浜名湖なんてボラがたくさんいるじゃないですか。フロロだとボラがリーダーに触っちゃって逃げることがあるんです。そうすると近くにいるクロダイもどこかへ行ってしまいます。でもナイロンはフロロに比べて比重が小さいから、魚がリ—ダ—の下をくぐっていくんですよね。ちょっと驚きました。ピックアップも全然楽ですし、比重の違いって本当に大きいと実感しました。ピックアップがしやすいことと、イトが魚に当たりにくいこと。この2 点は今までにはなかったことだと思います。僕は今まで、特に沈めて引っ張る釣りは、リ—ダ—はフロロだって決めつけていたんですよね。たぶん多くの人も同じでしょうけど。そんなことないんだなって改めて思いました。
素材の軟らかさはいかがですか。
杉浦 あんなに硬いナイロンは始めて触りました。
田中 杉浦さんとか丸橋(英三)さんからはとにかく硬くしてくれ、という要望があったので……。厄介でしたけど(笑)。
杉浦 硬いと伸びにくいので、フッキングにはとてもよいです。でも伸びない、硬いと巻きグセが取れにくいと思うんですけど、それもないんですよね。
田中 ナイロンって単純にいえば製造過程でぎゅ—っと引っ張っちゃえば伸びなくなるんですよ。今回のは素材から硬いものを使っていますが、伸びないということは結節がめちゃくちゃ落ちるということでもあるんです。そこもほんと厄介で(笑)。本当はもっと硬くできるのですが、いろんなバランスでここに落ちきました。
杉浦 今まで何も考えずにフロロを使ってたところに、ナイロンでもよくない?むしろナイロンのほうがよくない?という場面が多くていろいろ考えさせられました。
田中 まあどっちもメリットデメリットがありますからね。でもフロロ11タ—ンがいいというイメージがあると思うんですけど、そういう部分はテーパーで解消されていますし、杉浦さんみたいに先端をフロロに交換すれば根ズレの問題も解消しますし。たしかにフロ口は根ズレに強いです。でも結局ナイロンでもフロロでも傷がついたら切れやすくなるのは間違いないんです。あと、結びがない直線強度だったらナイロンのほうが間違いなく強いですから。結節した場合でもナイロンのほうが強いです。新品状態だったら間違いないです。同じ4x だったらナイロンのほうが強いですよ。
杉浦 水を吸うからナイロンは弱い、というイメージもありますからね。でも少なくとも素材を使い分けるだけの価値はある、というのは今回気づかされました。あとピックアップがスム—ズなのはコーティングもあるんじゃないですか?とてもツルツルしています。
田中 新しいリーダーとティペットには高品質の撥水剤をコ—ティングしてますからね。ナイロンは吸水劣化するのでそれを防ぐためなんですけど、浮力にも貢献しているでしょうね。
杉浦 だからなんですね。びっくりするくらいピックアップが楽になりました。今までだったらもっとラインを回収してからピックアップするのに、ある程度長くても一度に持ち上げられます。だから打ち返しが早くなりました。
なぜ赤なのか?
色はどうですか。杉浦 パイロレッド(笑)。賛否両論めちゃくちゃありましたよ(笑)。
田中 ね(笑)。
杉浦 今シーズンずっとガイドのお客様にも使っていただきましたけど、釣果は全く変わらないか、アップしてるくらいです。断言できます。全然逃げない。だから逆にガイドしている立場からだと、リーダーが見やすいのはいいですね。浜名湖は流れがあるから、リーダーの場所がわかるとフライの位置をより把握しやすくなったので、テイリングを釣れる確率はむしろ上がった気がします。実はこれ、かなり大きいんです。さっき魚がリーダーの下をくぐっていくという話をしましたが、この色だから一目瞭然です。
田中 今日もやっていて、フライがだいたいあの辺にあるなというのが本当に想像しやすいですよね。
杉浦 晴れた日はパイロレッドが断然いいです。曇った日はどのみち見えないので、アクアブル—でいいと思いますけど。
そもそもあの色にしようと思ったのはなぜですか(笑)。 田中 弊社の別のイトで、あの色があるんですよ。それきれいだな 、と思っていて。あとリーダーってパッケージからだしてラインに結んじゃったら、どれがどれだかわからないじゃないですか。それって作ってる側からしたら面白くないなって思ってたんです。やっぱりフィ—ルドで見かけて「ウチのリ—ダ—使ってくれてる!」つてわかったほうがいいじゃないですか(笑)。
杉浦 あ、釣り人が自分でリーダーがわかるためじゃなくて、田中さんが外から見てわかるために(笑)
田中 実はそうです(笑)。一般の方が釣り動画をアップしてて、ウチのロッド使ってくれているのを見つけると素直に嬉しいですから(笑)。リ—ダーにもそれがあっていいんじゃないかって(笑)。で、そう思って試しに染めてみたら意外にきれいにできたし、杉浦さんにどうかな、って見せたんです。
杉浦 僕も最初、んーワ~って思いましたよ(笑)。でも試したら全然大丈夫だった。
田中 ピンク単色じゃなくて、黄色も少し混ぜているんです。そのほうが発色がよくなるそうなんで。こだわりの色です(笑)。以前も杉浦さんとは話したのですが、リ—ダ—で魚にスプ—クされちゃうのは透明の時だって同じなんですよね。じゃあ魚は何を感知しているのか、と考えたら水切り音なんだと思うんです。
杉浦 そうだと思いますよ。
田中 だから今日もリ—ダ—の下をくぐっていた魚がいましたけど、あのタイミングでピッとラインを引っ張ったら逃げてたかもしれませんね。
杉浦 サイトフィッシングに関しては、あの色はなんの問題もないということはもう一度いっておきましょう(笑)。むしろ魚への近寄り方とか、服装の色を気をつけるほうがずっと重要だと思います。
2025/2/14