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A Flyfisher in N.Y.(1日だけ)

行き当たりばったりでも結構楽しめました。

FlyFisher編集部=写真と文

10月の上旬、ニューヨークへ行くことになった。
家族旅行だったが1日だけフリーの時間を勝ち取ることができ、
それは当然釣りに充てるつもりだった。
彼の地で釣りをするのは、もちろん初めて。
さて、どこに行こうか? いや、どこに行けるのか?

ニューヨークといえば……


 まず、キャッツキル。「アメリカン・フライフィッシング発祥の地」だ。

 アメリカがウエットフライ・オンリーだった時代、セオドア・ゴードンがイギリスのフレデリック・ハルフォードやG.E.M.スキューズとのやりとりをもとにドライフライを発展させた地。フラットな流れを釣るためのイギリス式ドライフライはうまく機能しなかった、というのは有名な話だが、はたしてどんな流れなのだろう?

釣り場の感じは北海道に近いのだろうか?

 このエリアでもロスコー(Roscoe)という街が中心地といってもよいようだ。

 ただし、宿泊予定のミッドタウンからだと、キャッツキルまでは車で片道2時間半ほどかかる。1日のうち、5時間を移動に取られるのは厳しいので残念ながら今回はパス。

ソルトウオーターは?


 次の候補はストライパーだ。

 有名なのはモントーク。YouTubeをさまよってみるとやっぱりいろいろ出てきた。


 移動する大量のストライパーもすごいが、並んだ釣り人もいろんな意味ですごい。ただし、場所はロングアイランドの東端。やはり片道2時間程度はかかりそうだった。したがって、こちらもスルー。予想はしていたが、1日で回れる釣り場は簡単には見つからない。

これもこの近辺のストライパー動画。魚のサイズもすごいが、フライフィッシャーが高校生なのがさらにすごい。

 結局、ロングアイランドの西側、ローワー湾かジャマイカ湾での釣りが現実的かと思われた。

 しかし今回、一番苦労したのがガイド探し。東知憲さんに紹介してもらったガイドは、年内は予約がいっぱいとのこと。ほかはウエブサイトも見つかるが、どれも古いものばかり。検索の仕方が悪いのか、いくらやってもこれだ!というのにぶつからない。めぼしいサイトのいくつかに一応問い合わせのメールを送ってみたが、レスポンスは見事にゼロだった。

各釣り場の位置はこんな感じ。ニューヨーク州は結構広い。

スーツケースには4番のパックロッドを忍ばせたが


 事前の準備はまったくできないまま出発。とりあえず、家族のニューヨーク観光に黙って付き合う。












フライショップへ行ってみる


ニューヨーク5番街にフライショップがあることは事前に知っていたが、街をぶらついているうちにホテルから徒歩5分ほどだということを発見。

で、実際に足を運んでみた。

その名も、アーバンアングラー

店内は落ち着いた佇まい。お客さんはソルトウオーターの話ばかりをしていた。

お店オリジナルTシャツは差別的なデザイン。意識高く、一着購入。

店は古い建物の2階にあって、窓の外は渋滞中の5番街。

店員のひとりが「セントラルパークで釣りができるぜ」と親切に教えてくれた。ほかにはこの公園も。結構こういうところがあるらしい。

動画も結構見つかった。釣れるのはブルーギル、バス、ソウギョ(っぽい魚)など。

淡水で釣りをするなら、当然フィッシングライセンスも必要。これはショップではなくサイトから直接購入する。一応1週間のライセンスを買っておく。住民ではないので28ドル。

「こんなところでも釣れるよ」と教えてくれたのはハドソン川の河口。桟橋からもストライパーやブルーフィッシュが釣れるとのこと。

そして、最重要情報がこれ、ストライパーのガイドだ。「確かこんなやつがいたな……」と、店で教えてもらった名前を検索すると、一般の旅行者に向けたアクティビティーを紹介するサイトが引っかかった。「コルテス・アウトフィッターズ」とある。

ショップの店員も、よく知っている風ではなかったけれど、タックルも貸してくれそうなので、一応コンタクトをとってみることにする。

ホテルに戻り、さっそくコルテス・アウトフィッターズにメールを送ってみると、しばらくたったらぶっきらぼうな返事が戻ってきた。「6時半にブルックリンのフラットブッシュに来い」。

いざ海へ


指定されたマリーナまで車で40分ほど。念のため朝5時半にホテルを出発。ちなみに移動はほとんどウーバー。おそろしく便利だ。

指定された場所はマリーナの駐車場だった。約束より30分ほど前に到着。

柵の中を覗くとボートが並んでいるが、まだ誰もいない。

そして現れたのが、ヒップホップな彼。セダンタイプに乗ったフィッシングガイドを初めて見た……。

強風なので、一応ルアータックルも用意。たかがレンタルタックル、と思っていたが、最新のセットアップだ。

言われるままについていくと、

まさに、東京湾のガイドボートのような風情。

夜が明けてきて、いざ出航。

フライもリーダーも、すべて結んでくれた。

東京湾のシーバスよろしく、橋脚をねらうのかと思ったら通り過ぎて、

こんな砂浜に向かって投げろ、と。

水深は浅く、この時期のストライパーは波打ち際をクルージングしているという。

フライはこんなサイズのクラウザーミノー。

ポップアップ式のゴミ箱の中にリトリーブしたラインを入れる。ラインはインターミディエイトのフルライン、#10。

ロングアイランドの南岸西側からこんな景色を眺めながらキャストを繰り返した。すると……。

強風で苦労したけれど、おかげさまでファーストストライパー。リトリーブのスピードなど、釣り方は日本のシーバスとほとんど同じだ。保護活動も盛んで、資源量は以前に比べて大きく改善したと聞いた。

彼がキャプテン、アーサー・コルテス。世界各地に釣りに行っていて(もちろんフライフィッシングで)、実はとても信頼できるナイスなヤツだった。4時間の予定だったが、5時間以上釣りに付き合ってくれた。





釣り場はJFK空港のすぐそば。マリーナの周りには異常な豪邸がいくつも建っていた。アーサーによると、持ち主はユダヤ系かロシア系のなのだそう。「オレもいつか住みたいぜ、だけど仕事がフィッシングガイドじゃ無理だけどね」と笑ってた。

思い切ってダブルヘッダー


その日、ブルックリンからいったんホテルへ戻り……、




食事もそこそこに、部屋から4番ロッドを持ち出して……、

今度はセントラルパークへ。

パークの最北端にあるハーラム・ミアーという池。



やはり憩いの場になっているようす。

で、さっそくやってみる。

フライはショップで教えてもらったビーズヘッドのウーリーバガー。

ブルーギル。あっけなく釣れた。

次々釣れる!





この風景はとても平和で、犯罪もテロとも無縁と思えるのだけれど……。


翌日、9.11の跡地へ。ここにあの倒壊したビルが建っていた。

新しいワールドトレードセンターをふもとから見上げてみる。


ピース。

2017/11/14

つり人社の刊行物
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瀬戸際の渓魚たち 増補版 西日本編 本体2,500円+税 A5判カラー256ページ
1998年刊行の幻の名著が2020年の視点も加筆されて、復刊です。 フィッシングライターとして現在も活躍する佐藤成史さんのライフワーク、人間の活動などにより生息場所を狭められる渓流魚たちを追いかけ写真に収めた貴重な記録。 インターネット前夜…
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最新号 2020年12月号 Mid Autumn

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 今号の特集はウエットフライ。十人十色、という言葉がこれほどマッチするフライフィッシングはないかもしれません。エキスパートたちには「この釣りを始めたきっかけ」から、今実践しているテクニックまで、さまざまな質問をぶつけてみました。すると、実は似たような釣り方をしていることも少なくない、ということに気づかされました。
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