クラブ活動の楽しみとは?
「みんなの毛鉤倶楽部」にお邪魔しました!
FlyFisher編集部=写真と文最近、SNS疲れもあるためか、直接顔を合わせるクラブやイベントの意義が見直され始めているようだ。フライフィッシングに限らず、あらゆる釣りにおいて「釣りクラブ」の存在感は以前に比べて薄れ、数も減っていが、情報交換、技術や道具の共有、複数の仲間と遊ぶ(あるいは飲む!)楽しさなど、趣味の世界を掘り下げるために、これらの活動には大きなプラスがある。
関西に拠点を置き、和歌山県・有田川で神戸大学が中心になって進めている「アマゴの健康診断プロジェクト」(詳しい内容はムック、「FlyFisher 30Years」内の記事をごらんください)に全面的に協力している、「みんなの毛鉤倶楽部」代表の榛木敏之さんにお話をうかがった。
《Profile》
榛木敏之(はりき・としゆき) 1962年生まれ。ハリキフェルール、エグゼクティブプロデューサー。フェルールはもとよりロッドケースから熊鈴などの小物まで、痒いところに手が届くもの作りを心掛けている。大阪府東大阪市在住、フライ歴24年。
●ハリキフェルール
榛木敏之(はりき・としゆき) 1962年生まれ。ハリキフェルール、エグゼクティブプロデューサー。フェルールはもとよりロッドケースから熊鈴などの小物まで、痒いところに手が届くもの作りを心掛けている。大阪府東大阪市在住、フライ歴24年。
●ハリキフェルール
スクール活動からスタートしたクラブ
2018年5月、有田川町で行なわれたシンポジウム「森と海と川が育む有田川のアマゴ」に参加したメンバーたち
ーー 「みんなの毛鉤倶楽部」ができてどれくらい経つのでしょうか。
榛木 そうですね、10年くらいでしょうか。自分がフライを始めた時によく行っていた管理釣り場に久しぶりに行ったら、ほとんどルアーのお客さんばかりだったんですね。で、これは悲しいな、と。仲間を増やしたいと思って始めたのがきっかけです。
ーー 具体的にはまずどのような行動からスタートしたのですか?
榛木 とりあえず、初めての人にフライフィッシングを教えるということを始めようと思って、管理釣り場に場所を貸してくださいということをお願いしました。まあそんなに人が集まるわけでもなかったんですけど、リピーターさんというかお得意さんができました。そうなると、僕らにとっても彼らが来てくれるからその管理釣り場に行くし、彼らも僕らがいるから来てくれるという感じの状態になってきました。そんな感じで続けていくうちに、違う人がぽろぽろと来てくれるようになって、現在に至るという感じです。
ーー 最初からクラブ、という形でスタートしたわけではなかったんですね。
榛木 もともと「みんなの毛鉤倶楽部」という名前でもなかったんです。でもしばらくたって、みんなが集れればいいね、みたいな感じで改名をしました。最初は会員を募るつもりはなかったんですけど、この名前なので「どうやって入れるの?」って聞かれるようになってしまったんです(笑)。そういうニーズがあるなら、会員を募ってクラブとして運営していこうか、というふうになりました。
ーー 当初どれくらいのメンバー数だったのですか。
榛木 「みんなの毛鉤倶楽部」に改名した時は、10人くらいだったと思います。それから徐々に増えていって、今は30人くらいですね。
現在は月1回の一般の方のスクールと、そのスクール時に定例会ということで、オフラインミーティングという形でクラブ員が集まって、情報を交換したりレッスンをしたりという活動内容ですね。スクールを始めたことが原点になっています。今でも、まったく初めての方がいらっしゃいますし、このクラブが出会いの場になっているというか。フライフィッシングをやっているけどうまくいかなかったりとか、どうやって続けていったらいいかわからない、といった方々もいますよ。
そのほかは、クラブ員同士の釣行会もやっています。渓流だけじゃなくて、管理釣り場もみんなで行ったりしますね。渓流は、毎週のようにみんなが誘い合って行っているから、これはクラブとしてどうこう、というよりはクラブ員がお互いに連絡して行っています。そのコミュニケーションの場がクラブにある、という感じですね。
「みんなの毛鉤倶楽部」。ある日の釣行
今回は同じ渓流に入るので、いくつかのグループに別れて入渓。
まずは下流グループから。このメンバー分けも工夫次第で楽しさを増幅できそう。
一人ずつ順番に釣り上がっていくのがルール。
平等を期すために、今回は、釣り時間はひとり7分に設定。スマホでタイム計測。
時間が来たら交代する。
後ろにいる仲間が声をかけたり、かけなかったり。距離感もいろいろ。
メンバーが釣れたら全員で喜ぶ!
いっぽう、上流部のグループは……。
同じように順番に釣りをして……、
アマゴをヒット!
当日メンバーで集めたアマゴの遺伝子分析用サンプル。
みんなが楽しめるように!
ーー 運営はどのような体制になっているのでしょう?
榛木 代表がいて、副代表がいて、監事がいます。それらを運営する運営委員がそのほかに7人いて、合計10人で、いろんなことを決めています。まあ、みんなボランティアなので、負担が大きくなりすぎないようにやっています。今回のようなアマゴの調査などに協力する、ということも、運営委員が話し合って決めています。みなさんいろんな意見をお持ちなので、それを調整をしてみんなで前を向けてやるように意識しています。もしそうではなかったら無理に話は進めません。
代表としての役割は、みんなが楽しめるようにいろんな企画を考えることかな、と思っています。たとえば、今月あの人楽しめてなかったかも、と思ったらその方が楽しめるようなことを次は企画しよう、なんてことを考えてやっています。
みなさんそれぞれ仕事だとか事情がありますので、まあ基本的には毎月一回顔を合わせてお話しましょう、という感じでやっています。釣りに関してのことでもあるし、釣りに関係ないことでも、顔を合わせてワイワイおしゃべりをするということもだいじだと思うので。釣り一辺倒だとしんどいですしね(笑)。
2018/7/16