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イワナを魅了するドライフライの流し方|渋谷直人さんの解説

過去に「イワナは泳ぎたくない魚である」と度々口にしてきた渋谷直人さんにドライフライの流し方を聞きました。ここではイラストや写真を用いて解説します。

文と写真=渋谷直人
Profile 渋谷直人(しぶや・なおと)

ガイドも含めてシーズン中120日は川で過ごす。そのテクニックだけでなく状況の観察力、魚を見つける目など山で遊ぶための非常に鋭い感覚を持つ。バンブーロッド・ビルダーでもある。

 

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筋、巻き返し、肩、ダウンクロス。4つの基本

【基本の落とし方】

まっすぐな筋をねらうなら、ティベット部分を折りたたんでプレゼンテーションする。ラインは手前にたるんできてしまうので、フライが着水したらすぐにラインをたぐるように心がける。右利きの場合、右岸からのアプローチはオフショルダーキャストになる

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【巻き返し】

巻き返しは一番外側の流れが強いことが多く、イワナも岩ぎりぎりに定位していることがほとんど。ここでのねらい方は、対岸からと手前側からの2パターン。まず対岸からはティペット部分をめいっぱいたるめて、奥に引っ掛けないように落とす。ラインは跳ね上げて流心をかわす。このときティペット先行で魚に流れていく。逆に手前の岸からだとダウンのアプローチになる。ポイントに近づきすぎてしまう場合は、巻きの流れの上流側から流す。この場合はティペットをまとめて、フライ先行で流していく

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【落ち込みの肩】

この場合、落ち込みぎりぎりまで流したいので、リーダーの先端まで折りたたんでプレゼンテーションすることが多い。着水直後にラインを跳ね上げながら、たるませないように回収していく。ラインは繰り返し跳ね上げ、ずっと空中に置いておくというイメージ

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【ダウンクロス】

フライ先行でこのような形に落とす。右利きならオフショルダーキャストが必要になる。流れをまたぐので、メンディングかロールキャスト気味にラインを上流へ置き直すことが必要。ラインの張りぐあいは流れの状態にもよるので臨機応変に対応したい。どの場面でも同じだが、メンディングをしたいなら、プレゼンテーションの時にそのぶんのたるみを作っておくことが重要。そうでなければ、フライが動いてしまう。また、メンディングは、ラインの形がおかしくなってから修正するのではなく、そうなる前に予防として行なう

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実際のフィールドでは

【凡例】

・◎はドリフトの終了地点。中の数字はキャストする順番を示す。ただし、ドリフトのラインが近いところは数字のとおり1投ずつ授けるのではなく、何度も流しているイメージだ

・口は立ち位置。中の数字は歩く順所を示す

・各立ち位置からのドリフトは同色で表示した

 

 

【小石底の浅い流れは見逃さない】

このポイントで注意すべきはドリフト1、2、4の筋。この小石が泥を被っている浅いところがイワナのポイントになる。このような細かい底石(ほかの河川では砂地であることもある)は歩いてしまいがちだが、確実に流したい。アプローチは難しく考えることなく、アッブストリームキャスト。対岸岩盤治いの筋(ドリフト7〜10)のほうに先に目がいってしまいがちなので注意する。

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上の写真を撮影する直前、予想どおり手前の浅い小石底のエリアで出た

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【岩が点在しているエリアは水深も見ながら何度も流す】

立ち位置1からスタート。手前から流していくのが原則で、まずは小さく頭を出している石にぶつかる流れからスタート。ドリフト4〜5はドリフト1〜3よりも水深がある場所なので、2投で終了でなはく、しつこく納得がいくまで10投くらいは流している。次に対岸側を流したいが、大きな石が顔になるので立ち位置2へ発動。目の前の石に絡む流れをつぶしていく。そして3へ移動。そこから対側をダウンクロスとアップクロスでアプローチする。ドリフト7〜8もこのあたりを10投くらいしている。ポイントの形状が許すならダウンよりクロス気味でアフローチすることを心がける

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まずドリフト1〜4を流す。石の脇は一級スボット。ここも実際はイラストよりも細かく流していく。立ち位置2へ移動し、肩を釣っていく。ひとつの流れを5投くらいしている。特にドリフト5の筋はその上流のいくつかの筋(ドリフト6〜8)が合わさっているので、全部の筋からも入れてみる必要がある。そこから立ち位置3~4へ進んで、対岸と上流をねらう

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【増水の流れもイメージしておくこと】

 

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FlyFisher 2023年 Early Summer

【特集】イワナ、という宝

イワナ。日本でもっとも人気のあるターゲットのひとつであることはいうまでもありません。この愛すべき魚は、思いのほかさまざまな渓流に生息しており、おおらかなようでいて、そのくせしっかり釣ろうとすれば高度なテクニックを要求してきます。さらに彼らの模様や表情には、エゾイワナ、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギと一般的に分けられている4亜種の枠には収まりきれない、「多様すぎる」といえるほどのバリエーションがあります。今号では全国のフライフィッシャーに呼びかけ、膨大なイワナの写真をご提供いただいた「岩魚曼荼羅」をはじめ、佐藤成史さんによる解説、エキスパートに聞くイワナ釣りのコツや魅力など、「イワナさん、日本にいてくれてありがとう!」と思える企画を詰め込みました。


2023/6/2

つり人社の刊行物
初歩からのフライタイイング
初歩からのフライタイイング 2,750円(税込) A4変型判148ページ
本書は、これからフライタイイングを始めようとする人に向けた入門書です。 解説と実演は、初心者の方へのレクチャー経験が豊富な、東京のフライショップ「ハーミット」店主の稲見一郎さんにお願いしました。 掲載したフライパターンは、タイイングの基礎が…
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最新号 2023年12月号 Early Autumn

【特集】尖ってるドライフライ

今号では、編集部が「面白いな」と感じた渓流用のドライフライのタイイングと考え方を紹介します。取り上げるのは、パラシュートスパイダー、エルクファンタジィ、丹沢スペシャル、マジックバレット、里見パラシュート、ヨッパラ、特殊部隊の7本です。これらを並べてみると、みなさん気にかけているのは、耐久性、浮力の持続性だけでなく、「誘い」であることがわかります。水面の流れより遅く流れる、フライそのものが揺れる、マテリアルが揺れる、などさまざまですが、いわゆるナチュラルドリフト以上の効果を明確にねらっているものがほとんど。来シーズンに向け、ぜひ参考にしてください。
またウォルト&ウィニー・デッティ、ハリー&エルシー・ダービーに関するフライタイイングの歴史、そして、『The Curtis Creek Manifesto』(日本ではご存知、『フライフィッシング教書』として翻訳されています)の作者、シェリン・アンダーソンについても取り上げています。


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