LOGIN

フックカラーで魚の反応は変わる?

光の加減や反射にも影響される?

FlyFisher編集部=写真と文

マテリアルのカラーについては悩む人も多いだろうが、フライフックの色まではなかなか選べない。現在ラインナップされているのはブロンズやブラックカラーが中心だが、開発者側としてはどのように考えているのだろうか。
この記事は2017年4月号に掲載されたものを再編集しています。

基本はフライの色に合わせる。しかし管理釣り場では……

現在各メーカーからラインナップされているフライフックは、大きく分けてブロンズ、もしくはブラックカラーがほとんどだろう。小さな水生昆虫をフック上に表現した時、ボディーからはみ出したゲイプからポイントまでの部分は、それをくわえる魚にとっては決して小さくない要素のように思われる。

たしかに水中で目立ちにくいブラックカラーを採用しているフックは多い。しかし水面ぶら下がりスタイルのパラシュートやクリップルなどのフライに、バランスを求めてある程度太軸のブロンズカラーのフックを選んでいるフライフィッシャーも多く、そうしたフライに著しく魚の反応が悪い、という話もあまり聞かない。

ユーザーからしてみれば、この要素に関しては選べるほどのバリエーションはないものの、フック開発者の側から見て、ハリの色はどのような意味を持っているのだろうか。

田中誠治さん(モーリス)
「少なからず魚の反応にフックのカラーが影響を与えることはあると思いますが、ネイティブのトラウトの場合は、それよりもシルエットやドリフトという要素の影響のほうが大きいと考えています。

これはもちろん、魚が捕食している虫の色味とフックカラーが極端に違わなければ……ですが。フライフックにブロンズやブラックカラーが多いのは、よくタイイングされるパターンにそうしたカラーが多いからです。

ちなみに魚は色の判断ができるとして、管理釣り場のトラウトには赤色のハリがよく効くということで禁止になっている場合もありますね」
バリバス『IWI S-2000 STANDARD DRY』
光沢のあるNSブラックを採用。水中のなかで目立ちにくく、細軸のフックに採用されることも多い


バリバス『IWI M-2000 MAYFLY』
マテリアルカラーに合わせやすいマットブラウンカラーを採用した、メイフライ用フック


一方、同じくフックカラーが魚の反応に影響を及ぼすとしたうえで、その効果についても独自にテストを繰り返している例もある。

松井伯吉さん(がまかつのフライフックを監修)
「フックの色が持つ影響力については、管理釣り場の釣りを好む人を中心に、よく議論されますね。もちろん特定の色が効果的になることも、その逆もあるわけですが、マテリアルの色に関しても想像しなかったもので釣れたという経験は、多くの人が持っているはずです。

これが自然河川にそのまま当てはまるとは限りませんが、がまかつのハリでは、多数のカラーを取り扱っており、現在もそれをフライフックに置き換えてテストを続けています。

これも管理釣り場の例ではありますが、海用のハリによく使われるスズメッキでは夕方や光量の少ない日に反応がよかった経験があります。これは急にフライよりもルアーが釣れ出したので輝きのあるフックにしたのがきっかけですが、考え方として自然渓流にもフィードバックできる要素はありそうですね」

がまかつ『C12-B(GOLD)』
がまかつ社の管理釣り場での使用も想定したゴールドカラー・モデル


がまかつ『C12-B(LED)』
同じくがまかつ社のレッドカラーモデル。側面が平らで、反射効果もありそう


このように、フラッシャブーやティンセルなどのマテリアル同様、フックにも目立ちやすさという要素を求める考え方もありそうだ。

光を反射させる要素を考えるべき

一方で「フックの色」というよりも、その反射ぐあいが魚の反応に影響を与える場面はありそうだとの意見もある。

島崎憲司郎さん(TMCフックのデザインを担当)
「管理釣り場で赤いフックが禁止されている例もあるのは、赤が魚に与える影響としてプラス側の要素と捉えられているからですよね。しかし色を含めてフックそのものが魚の捕食行動をソソる要素があったりすると、フライフィッシングをつまらなくしてしまうようにも思います。フックのほうに釣れる要素があるならタイイングの愉しみも排除されてしまうわけですし……。

魚がたくさんいるところなどで、フライに近づいてきた魚が申し合わせたように次々に逃げてしまうことがあります。そんな場合フックの色というよりも、太陽の位置との関係などで、ベンド部分に光が金属反射して魚側にモロにビカビカやらかしてしまっている可能性も考えられます。

そうした場合はブロンズフィニッシュよりブラックフィニッシュのほうが有利だという意見も多いようです。それでも、同じ状況でブロンズのフックで問題なく釣る御仁もいるわけで、これには釣り方やフライの巻き方なども関わっている節もありますね。

昔、芦澤一洋さんがこうした状況で、ニッパーでフックベンドをカットしたところ、俄然反応が好転したとおっしゃっていました。この場合、フックベンド切除による軽量化によって水との関わり方が変わったとか、フライのサイズイメージが小さくなったという違いも考慮に入れないと断定はできません。

しかしほかにも、同じパターンでブラックフィニッシュのフックに巻いたフライに換えたら好転した、手っとり早くブロンズフックの露出部分を実験的に黒くに塗ったら反応がよくなったなどという話もあったりして、フックの色(というより光の反射)が魚の反応に影響する状況もあるのではないでしょうか。

同じ色でも、平打ち(フォージド)のフックと丸軸(レギュラー)フックでは水中での見え方が微妙に違います。平打ちするとフックの横に平らな部分ができますので、角度によってビカついてしまったりします。

そういった意味で、昔ながらのハイフロートタイプのドライフライにキチッとフロータントを施して高く浮かせる方法は、(キャスティングとプレゼンテーションの技術がともなえば)現代でも効果的というのも頷けますね。

ちなみに206BLや103BLは丸軸、102Yはフォージドフックですが、前述のように水中で反射を起こしにくいツヤ消しブラックにしてあります」

ティムコ『TMC 206BL』
水中で反射しにくい丸軸のツヤ消しブラックカラー


ティムコ『TMC 226BL』
多くのフックカラーに採用されている、スタンダードなブロンズフィニッシュ


このように、いずれもフックカラーが多少なりとも魚の反応に影響を与えるとしたうえで、そうした要素をどのようにフライフィッシングに取り入れていくかについては、各々のスタイルによるところが大きそうである。

2018/4/13

つり人社の刊行物
FlyFisher 30 Years
FlyFisher 30 Years 本体1,800円+税 AB判144P
AB判全カラー144P/創刊号の判形を再現! 表紙は、FlyFisher 創刊号(1988年)が目印! 過去へのバックキャストと、未来へのフォワードキャストでつなぐ 美しいループを皆様の元へ。 『FlyFisher』から30周年の感謝の気持…

最新号 2018年12月号 Fall

特集は「あの尺ヤマメを逃した理由」。
間違いなくドライフライをくわえたかに見えたのに、痛恨のすっぽ抜け……。誰もが一度はそんな経験をしているはずですが、その理由ははっきりしないことがほとんどです。今回はエキスパートたちが、これまで見聞きしてきたバラシの要因を考察。また、カメラがはっきりとらえたすっぽ抜けの瞬間を解析します。来シーズンに悔しい思いをしなくてすむために、じっくり読んでみてください。
そのほか、秋も楽しめる北海道の釣り場紹介も掲載。さらにぺゾンのバンブーロッドについても、たっぷり誌面を使って掘り下げています。
[ 詳細はこちらから ]

 

NOW LOADING