回転するフライの検証
パラシュート、カディス、スタンダードパターンを巻いて実際に検証してみた
編集部=文・写真 嶋崎 了=タイイング・解説さまざまなフライパターンを作って実際にキャストしてみた
・ライン=#4フローティング・ウエイトフォワード
・リーダーシステム=9フィート5Xリーダー+6Xティペット70cm
・嶋崎さんが無風の室内でキャスティング
・フォルスキャストをゆっくり5回行なって、ティペットのよれぐあいを確認
・ティペットのよれぐあいは、よれない、ややよれる、よれる、かなりよれる、の4段階に整理
パラシュートパターンの検証その1
パラシュートのウイングポストの長さ、ボリューム、質による違いを検証した。
ポリヤーンのウイングポスト(ボリューム多め)→よれない
ウイングの素材にはエアロドライウィング・ファインを使用した。いつも使っているものは、回転しないことが分かっているので、ウイングの量を多めにしたものをテスト。結果はやはり、よれは見られなかった
カーフテイルのウイングポスト→よれない
ポリヤーンよりは明らかに硬質なカーフテイルを使用。これは普段嶋崎さんが使っているフライのバランスで、回転しにくいことは分かっていたが、とりあえず試してみた。もちろんよれはみられなかった。
長いヤーンのウイングポスト→よれない
通常使わないくらいの、長いウイングをテスト。ここまでの実験で、ウイングはあまり回転には影響しないように思われたので、少しでも空気抵抗に影響するように、極端に長く、ボリュームを多くしてみた。それでも結果は回転せず。
パラシュートパターンの検証その2
ウイングポストはそのままに、ハックルのボリューム、長さによる違いを検証
ノーマルバランス→よれない
まずは基準として、嶋崎さんが普段使っているフライのハックルボリュームをトライ。基本的にコックネックの表を下にして巻いたもの。ハックルファイバーの長さはフックシャンク全体が隠れるほど。結果は回転せず
ボリューム多めのハックル→よれない
ハックルをノーマルよりも数回転多く巻いたもの。ウイングポストから伸びるハックルの角度に多少ばらつきがあるが、それでもフライの回転には影響せず。フォルスキャストのスピードを速めてみても、結果は同じ
長めのハックル→よれない
ボリュームが影響しないならば、長さも……、とは予想はしながらもトライ。やはり回転せず。結局、ストレートシャンクに巻いたパラシュートパターンは、どんなことをやっても回転しなかった
パラシュートパターンその3
テレストリアルのように、カーブドシャンク巻いて検証
テイルなし→よれない
ボディーをピーコックにして、テレストリアルをイメージしたパターンとした。このスタイルもポピュラーだが、ストレートシャンクのものに比べて、飛行時に受ける空気抵抗の形は違うと思われたので試してみた。が、回転せず
テイルあり→ややよれる
今回は便宜上、ボディーをピーコックにしてタイイングしたが、メイフライを意識したときには見られるスタイルだ。テイルの素材はハックル。いざ、テストしてみると、ティペットはややよれた。何度繰り返しても結果は同じだった
テイルをカットしてみると→よれない
回転したフライのテイルをカットして、キャストしてみると、とたんに回転は収まった。やはりテイルの空気抵抗が影響して回ってしまっているのだと考えられる。ただし、今回はハリのあるコックハックルを使用しているが、シャックに使われるような軟らかいシンセティックマテリアルならば、回転はもっと抑えられる可能性がある。
パラシュートはやはり高性能
フライの回転、ティペットのよれは、ティペットが細く、長くなればなるほど起こりやすい。現在日本の渓流で、パラシュートが最も使われているのも、このあたりに理由があるのだろう。結局、ストレートシャンクに巻いたものでは、どんなことをやってもフライを回転させることはできなかった。しかし、興味深いのはカーブドシャンクを使ったパラシュートの場合。テイルの有無で明らかに回転の有無が見られた。テイルに受ける風により、フライの飛行姿勢が崩れるものと思われる。回転するフライのテイルをカットすると、とたんに回転が収まった。
スタンダードパターンの検証
スタンダードパターンのボリュームの違いによる変化を検証
薄めのハックル→ややよれる
これらのパターンにはコックハックルを使用し、ウイングはマラードを使用した。ハックルは隙間を開けてタイイングしたもの。結果は、ティペットがややよれる程度。ティペットの太さ、長さを調節すれば、抑えられそうな程度だった
2024/10/15