【セミ】イワイシケイダーのタイイング
岩井渓一郎さんのシケーダは、オーソドックスなディアヘアを刈り込んだパターン
解説=岩井渓一郎3番ロッドでも投げられる。
トラウトを惹き付けるシケーダフライには、何より軽さと、それにともなう軟らかい着水音が必要と考える岩井さん。?
本物のセミは、空洞のボディーを持っているため、水面に落ちると〝ポチョン〞という穏やかな波紋が広がる。これが〝ボチャ〞となってしまうと、トラウトは寄ってくるどころか、驚いて逃げてしまうというわけだ。
岩井さんがシケーダのフライを初めて巻いてみようと思ったのは、7〜8年前にニュージランドに行き、そこでシケーダフライが使われているのを見たのがきっかけだった。
シケーダならではの存在感のあるサイズはそのまま生かしながら、視認性、軽さ、浮力、渓流のシステムでもキャストしやすい空気抵抗の少なさなどを考え、初めからほぼ現在の形のシケーダフライを巻いたという。
本物のセミは思いのほかスリムなシルエットをしているので、ボディーがあまりずんぐりむっくりしないようには気を付けている。
そうして工夫されたフライは、魚にとってもやはり魅力的なようで、「今年はシケーダのシーズンは終わったよ」と現地(NZ)のガイドが言った年でも、このシケーダを水面に浮かべると、丸々と太ったニジマスやブラウンがあっさり出てくることも少なくないそうだ。 ボディーカラーは、今回巻いてもらったオリーブのほかに、バリエーションとして、やはりディアへアのナチュラルカラーとブラックの2色を用意している。オリーブのボディーで反応が薄ければ、ほかの色を試してみればよいといった程度のものだそうだ。?
また、シケーダフライは、ぽっかり浮かぶことも魚にアピールするための大きな要素。そこで、このフライを使用する際には、全体にまんべんなく、かつ軽くコーティングできるスプレータイプのフロータントを塗布して使っている。
とにかくスリムに、軽さと投げやすさを重視して巻いた岩井さんのシケーダフライ。
#3ロッド、5〜4Xティペットで全長18フィートのロングティペット・リーダーシステムでも使えることも、アドバンテージのひとつといえるだろう。
もちろん、それだけのライトタックルで快適にシケーダフライを使うには、ある程度の技術も必要だが、日本の川に棲む大型のトラウトに対して効果を発揮する、そんな可能性も充分感じさせてくれる。
タイイング
マテリアル
◎フック__ジャスティス 98r #8
◎スレッド__ダンビル6/0・オリーブ
◎ボディー__ディアへア・オリーブ
◎アイ__プラスチックのビーズ(2つ)、バッキングラインの切れ端
◎ウイング__CDCナチュラル
◎インジケーター__ディアへア・ナチュラル
スレッドをシャンクに留めるため、ベンド寄り部分に軽く下巻きをする。この後、ディアヘアをフレアさせながらアイに向かって留めていくので、必要以上の下巻きはしない
ディアへアを適量切り出し、スレッド3~4回転でフレアさせながら留める。いきなり強いテンションで留めず、広がったヘアがシャンクの回りを取り囲むように力を加減する?
フレアさせたヘアを指でベンド側になでつけたら、そのすぐ前(アイ側)に2回目のディアヘアを留め、同じようにスレッド3~4回転でフレアさせながら留める
ディアへアを取り付けてフレアさせる作業を4回行なった状態。この後、アイとインジケーターを取り付けるので、フックのアイ付近は若干スペースを開けておく
シザースでフレアさせたディアヘアをカットし、ボディーの形を整える。実際はバイスから外し、プライヤーなどで挟んで作業するとよい。上、下、両サイドの順でカットしていく?
形を整え終わったボディーのシルエット。フックの下側はフッキング性能をよくするため、大胆にカットする。全体にシャンクの形に沿って細身に仕上げるのがコツだ
適当な大きさの穴の開いたビーズを、バッキングラインでダンベル状に繋いでアイを作る。バッキングラインはピンセットで摘み、ビーズを通したら外側をライターで炙ればよい?
作り終わったアイを、スレッドでたすきがけにしながらボディーの前に取り付ける。留め終わったら瞬間接着剤を少量垂らし、ウイングを取り付ける前に一度補強しておく?
片方のウイングにつき2枚のCDCフェザーを用意し、根もと付近の余分なファイバーをあらかじめ取り除いておく。2枚のCDCを重ねたら、むきだしのストーク部分をアイの後ろに取り付ける
続いてもう片方のウイングを取り付ける。ウイングはバランサーの役割もあるので、ややスペント状に広げてV字型にしている。この後で再び瞬間接着剤で補強する?
最後に見やすい色のディアへアを、スタッカーで長さを整えてからインジケーターとしてアイの後ろに取り付ける。ただし、フライ全体はあくまで軽く仕上げたいので付け過ぎには注意
余分なディアヘアをカット。最後に、CDCウイングのエッジ(外側)部分の毛先をまっすぐに切りそろえ、空気抵抗を減らしてキャストを楽にする。瞬間接着剤で最後の補強をしたら完成
2024/10/17