拝啓、ジム・グリーン様
ポジティブストップがつなぐフライキャスティング
尾花寛康=写真と文誰もが「ロッドを曲げろ」という。しかし、「ティップを跳ね返せ」という人は少ないはずだ。今回はジムが考えるポジティブ・ストップとその腕の使い方について、少しばかり巨匠の声に耳を傾けてみようではないか!
この記事は2019年Early Summer号に掲載されたものを再編集しています
フライキャスティングとは?
ジムに「振ってみろ」といわれ、脇を閉じ、前腕と上腕を90度にし、ヒジの上下を使いリストを閉じ気味でいつものように振る。いいキャスティングだと思うが、ジムの顔をみると何か違うことを考えている。
『もう少しラインを長くしてみろ!』といわれ、60cmほど伸ばして先ほどと同じように振る。
するとラインがおかしくなったらしい。当時の私のキャスティングの技量では、何がよくて何が悪いのか、そもそもループとは何かがわかっていなかったのだと思う。
ジムが近づいてきて、「ラインに張りがなくなっただろう? なぜだかわかるか?」といわれ、頭の中は、「???」状態になる。
「ラインが長くなったのにストロークが増えていないだろ。長いラインには長いストロークが必要なんだよ」といわれ、頭がさらにパニックになる。
「意味がわからない」と伝えると、ジムがロッドを持って実演してくれる。確かにラインが長くなるとヒジが前後に動き出している。
「お前のキャスティングはラインが短い時はいいが、ヒジが固定されて前後に動けないからラインが長くなるとストロークが足りなくなって、ティップがラインをしっかり引っ張ることができないんだよ。だからラインがゆるむだろ!」といわれたものの、このスタイルで釣りをしてきた自分には、理解にはほど遠い状態であった。
小指球(Heel of the hand)と親指でロッドを止めるときに必要な筋肉の使い方。ストップのとき、手、前腕、肩の筋肉を固めることが重要
2021/2/1