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弾性を生かす

訪れたのは群馬県の冬季ハコスチ釣り場。60~70cmほどのニジマスがいるフィールドで手にしたのは3番、そして1番のロッドだった

里見栄正=解説、編集部=文と写真、協力=上野村漁業協同組合

神流川冬季ハコスチ釣り場に訪れた

─今回は1番や3番で60cm クラスのニジマスを釣りましたが、そもそも大きなマスをランディングするコツはどいういうものでしょうか。

里見 ティペットの太さが非常に重要だと思っています。太いと単純に切れないという安心感がある。そうすると取り回しもすごく楽になるんです。走られるところを多少強引に押さえてもなんとかなるというか。低い番手のタックルを使うと取り込みの時間が長くなる、とよくいわれますが、そんなことはないと思います。問題はタックルではなくてティペットなんですよ。同じティペットの太さなら、1番でも5 番でも取り込み時間はほぼ変わりません。

flyfisher photo

魚がヒットしてからはとにかくロッドを立てて弾性を使った。前に倒されそうになっったら左手をグリップ上のブランクに添える。テコの支点にする感覚だ

 

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上野村漁協の試みはここで触れるまでもないだろう。驚くほどよいコンディションのニジマスが泳ぐ

 

 

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─今日のティペットはどれくらいでした

里見 5x メインで、ミッジでも6x にするか、場合によっては5X のまま、という感じでした。20番以下のフライでも5X でなんとかなるかなと。細ければそれだけフライをきれいに流しやすいのですが、上野村のような釣り場では、多少ドリフトを犠牲にしても相手が相手だけに掛けたら取り込めるという安心感は大事だと思います。

 

─それでも今日の「ハコスチ」を1 番で相手にするのはちょっと心許ないというか……。

里見 ロッドの弾性がなくなってしまわない限り大丈夫ですよ(笑)。掛けてから立てすぎる、もしくは横にしすぎるとやっぱり切れますよね。できるだけロッドを働かせるということです。スクールの生徒さんなどを見ていると、魚に引っ張られると一緒にロッドも前に倒してしまう人が結構いるんです。ロッドとラインが直線になればなるほどそれだけロッドの弾性を殺してしまうということですので、切れやすくなります。ロッドをある程度立て気味にして曲げられていれば魚が一気に走るということもあまりないですし。自分が使っているイトと結びの強度の限界をしつかり把握していれば、思い切って魚にプレッシャーをかけられるのですが、こればっかりは経験を積まないと……。あと、僕はやりとりの最中にバットを持っちゃうんですけど、実はすごく合理的だと思っています。昔からそれをやるとロッドが折れるといわれてるんですけど、アスキスなら折れないという自信があるので。

 

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─その持ち方だと、グリップすぐ上のブランクが機能しない、ということはありませんか。

里見 それは大丈夫です。うわ手もあんまりがっちり握っているわけじゃなく、「添えている」よりもちょっと強いかなというくらいです。要は前に倒れないように支えているだけですので、うわ手とした手の間のロッドも曲がっていて全部使えています。

 

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─1 番と3 番の差はどこにあるのでしょう?

里見 キャスティングですよね。やはり1番のほうが使えるフライサイズの制約は受けます。ただ1番でも、ドライだったら8 番くらいまで使いますし、ニンフだと10番くらいまでだったらショットをかませても無理なく使えると思います。僕の釣りでは1番の出番はしょっちゅうあって、実際に1番と3 番を使い比べれば、1番のほうが繊細に楽しむことができます。だから僕の場合、川の規模や状況が許せばまずは1番、というセレクトになりますね。

 

 

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大型魚とのやりとりでは、このバットの曲がりを積極的に利用する。グリップの上に左手を添えても、ここが曲がっていれば問題ない

 

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1番と3番の差はキャスティング能力くらい。条件が許せば1番のほうが断然楽しいが、1番でも3番のラインを乗せられる力がある

 

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この釣り場で使うフライは大きいものから小さいものまでなんでも、という感じ。ミッジがハッチすればシビアにライズするし、アトラクター的なフライが有効な場面もある

 

 

 

 

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