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挑めるロッド

アスキスのツーハンドロッド・シリーズの立ち位置は独特だ

安田龍司=解説、編集部=文と写真
この記事はFly Fisher2023年12月号に掲載された記事を再編集しています。
協力=シマノ

石が小さく底流れの速い北海道の川

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今回の北海道の本流釣行では、どのようなタックルをセレクトしたのでしょうか?

安田 ロッドは14フィート8番と、12フィート6インチ6番を使いました。ラインはタイプX、タイプ7をメインで使って、一部、トリプルデンシティーのシンクティップも使いました。あ、シンクティップは12フィート半のロッドのときですね。

 

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よく曲がり、よく戻る、がアスキスの大きな特徴。全体的に細身で、曲がる時に潰れたロッドブランクの断面が、素早く真円に戻るスパイラルX構造により、二面性が両立されている。すなわち、オーバーヘッドもDループ系のキャストもこなすことができる

 

それらのロッドはどのように使い分けたのですか?

安田 一番わかりやすいのはポイントの大きさですよね。つまり、投げたい距離によって変えることが多いんですが、でももうひとつ、ポイントの状態によって使うラインは当然変わるんですけど、例えばおなじタイプ5であったとしても、6番と8番は、当然8番のほうが速く沈むのでたとえ遠くに投げなくてもいい状況であっても、あえて8番を使うということもします。なので、投げる距離と、どれだけ沈めるかによって、ロッドを選ぶということになりますね。

 

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ランニングラインのさばき方も重要なテクニック。ストレスなく釣りを続けるためには、キャスティングと同じくらい大切

 

安田さんのホームグラウンドである福井県の九頭竜川や、よく行かれる新潟県の魚野川に比べると北海道の本流は規模が小さいことが多いですよね。それでも8番を使うという理由はポイントの状態にあると。

安田 北海道の川は、多くの川で底の石がわりと小さいんです。そうすると表層の流れも速いけれど、底の流れも速いケースが多くて、たとえば水深が1mくらいしかなかったとしても、軽いラインだとなかなか沈んでくれないんです。ですから、結果的にやっぱり8番くらいまではよく使う事になります。使いたいラインによって使い分ける、といってもよいかもしれません。

 

30m刻みのバリエーション

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では、まず沈めるときのラインはどのようなものを用意しているのでしょうか。

安田 今回、結構流れが速いところか深いところ、それから流心の幅が狭いところを釣ることが多かったのでそうすると結果的に長いフライラインって非常に使いにくくなります。だから長さは1番長い時でタイプXを4.2mあで切ったものを使いました。長いときでも今回は5.2mまでだったかな。

 

細かく使い分けていますね。

安田 長さが6mより短くなるとちょっと慣れた人なら30cm違うだけで沈み方、流れ方の違いがわかると思います。

 

実際は何本くらいお持ちなのですか。

安田 たとえば8番でお話しをすると、もう今ちょっと発売されていないものも含みますが、タイプXは650、550 、500、450までを使っていて、それぞれ長さが2~3種類ずつは常に持っているので、だからタイプXだけでも、10~13 種類くらい。状況によって、あまり余分に持たないように調整はしますけれど、それくらいは持っています

 

ひとつのシンクレ—卜で13種類! それぞれ実際に1本ずつ調整しているのですよね。

安田 そうです。8番ロッドに650グレインのラインのセットをしようと思うと、たとえば新品の状態で仮に7mあって、そのまま投げようとすると、かなり重いですよね。でも流心の幅が広いところでは、たとえ650グレインのタイプXだとしても流しにくくなるので、そういうときはたとえば、4.5m、あるいは5mまでカットして、重さを量ってみて、で、投げられそうだなと思ったらそのまま使うし、それでも重たいと思った場合は、10cm刻みでカットしてみて、ちょっと試しに投げてみる。

 

それはもう地道に調整するしかないのですね。

安田 はい、調整するしかないです。同じロッドを使っても人によって投げ方の個性もあるので、ある人は5m がいいと言っても、4mじゃないと重すぎるという人もいらっしゃるので。

 

まずラインをカットする基準のようなものはあるのでしょうか。

安田 大ざっばに、たとえば新品の状態で6mのラインを切るとします。6mで500グレインのラインがあったとすると、lmあたりおおよそ何gかと目安をつけます。ただしこれあくまでもおおよそですよ。テーパーがあるので絶対均一ではありませんから、あくまでもおおよその目安をつけて。で、1m切ったら500グレインが400グレインになるかなと。でもロッドの適合重量でいったときに、軽すぎる可能性がある場合は、30cm、あるいは50cmカットして、必ず試し投げをします。そして実際に使ってみて、微調整が必要な場合もあります。一度カットしたら伸ばすことはできないですが、いきなりカットして失敗するよりは、少しずつ長さを調整する。これは僕の基準ですが、最終的には、投げやすさではなくて、流しやすさを選択します。

 

釣れやすさに直結しますからね。

安田 キャスティングって、まあなんとかなるんですよ、現場へ行けば。ちょっとあいまいな表現で申し訳ないのですが。でもラインが長すぎて流しにくい、あるいは短すぎて浮いてしまうということは、物理的なことなので、もうどうにもならないんですよね。なので、そこをまず合わせるというほうが結果的には釣りやすいと思います。

 

いちいちラインを接続し直して試すのは……。

安田 それは面倒くさいけど、やるしかないです(笑)。本番と同じ条件でないと流れ方も変わってくると思うので、僕は、やっぱりたとえ面倒でも、スイベルを付けて、それで長さを最終チェックしてもらうほうがいいと思います。投げるだけだったらそこまでしませんが、スイベルがあるとないとでは流れ方が違うので……。

 

 

さまざまなライン、投げ方に対応できるブランク性能

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安田さんのヘッドの収納袋にはグラムも書いてありますね

安田 8番用に作ったラインを8番だけで使うのだったら関係ないんです。だけど、たとえば6番ロッドで川に行く
んだけれど、実際にやってみたら、6番用のラインでは沈み方が足りないというときは、実は、多々あるんです。そうすると、6番ロッドに8番ロッド用のラインを使うという場合もでてきます。でも6番ロッドはしょせん6番なので、あまり大きな荷重はかけたくない。だから重量がわかれば、その中から、より軽いものを選べるので、重量は書くようにしています。

 

安田さんの体感ではアスキスだとそれぞれの適合グラムはどれくらいですか?アスキスには適合グレインも公表されているので計算すればいいのですが。

安田 12フィート6インチの6番だったら、20~22gまでかな。ただし、あくまでも無理をしないことが前提ですよ。力を抜いて上手に投げられる前提であれば、僕の場合は30gも使います

 

30!

安田 だいたい、適正荷重の1.5倍くらいまでは使います。ただ、オーバーヘッドは特に危険ですし、ロッドの破損リスクも非常に高くなりますので、あくまでもご自分の責任で選択してください。メーカーも絶対的に推奨していませんから。重いラインを使うときはオーバーヘッドではなくて、シューティング・ロールキャストなどでやっていただいたほうが、安全だと思います。

 

7番はいかがですか? え、すみません、ラインの話はここでストップさせてください(笑)。これ以上踏み込むと収拾つかなくなります。これは改めてしっかり取材させてくださいね。とにかく安田さんは、番手、シンクレート、長さ違いで相当数のラインを使い分けていらっしゃるわけです。つまりさまざまなライン負荷で投げるということですが、やはりアスキスは……?

やりやすいですね(笑)

 

オーバーヘッドと、水面でDループを作るキャストもされます

安田 一番はっきり出るのは、13フィート6インチ、6番なのですけれど、これはアスキスの中で一番スローアクションなんですね。だからスペイは理論上はやりやすい。だけど、オーバーヘッドで使えないのかというと、そんなことはないんです。その二面性はどこから来るかというと、やっばり曲がりやすく、直線に戻りやすい性格のブランクからきていると思います。細身で、潰れてからから真円に戻りやすいブランクはシングルハンドでもダブルハンドでも同じです。そしてダブルハンドの場合、13フィート6インチがそれを最も表していると思います。手に取っていただくと、もうそれこそ、カナダの大型のサーモンとかそういうのにはとても使えそうもないくらい軟らかいのですけれど、実際には充分使った実績があるので、大丈夫だと思うんです。

 

しかもラインが極端に短い場合もあって、シュ—ティング・ロ—ルキャストというか、そういった投げ方だと、アンカ—が抜けやすくなりそうですが。

安田 短いラインを投げるときに、アンカーが切れないアクションって、実は曲がりやすいアクションなんですね。荷重をかけたときに、曲がるぶんだけトップガイドが下がってくるので、当たり前ですけれどアンカーが抜けにくい。そういう意味では先ほどの話に戻りますが、アスキスの中では13フィート6インチが一番曲がりやすいので、アンカーが抜けにくいんですね。逆に15フィートは、一番ティップアクションなので、極端に短いラインをDループで投げるとアンカーが抜けてしまうことは、正直ありますね。

 

そういうラインを投げなくてはならない場合もありそうですが。

安田 一番簡単なのは、ロッドを倒して振ること。多くの人が、ラインをたたむというか、水面に置くところまではロッドを倒してやっているんです。ところがキャスティングに人って、最後のシュートでロッドを立てちゃいますので、そうなると……。

 

抜けてしまう。

安田でも、ヘッドが短くなると理屈としてはラインニングラインが長く出るということになりますよね。そうすると今度は短すぎても逆に沈みにくくなってしまうんです。

 

非常に興味深いですが、ラインのお話は機会を改めてお聞きします(笑)。とにかく、釣れるようにフライを流すことを優先するのであれば、ラインはそのままで、頑張って投げるということになりそうです。

安田 投げやすさを優先して、ラインを変えてしまうと本末転倒ですからね。でもアスキスならなんとかなりますから(笑)

 

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使用ロッドはアスキス、14フィート#8と12フィート6インチ#6。駐車スペースから川の規模を確認してそれぞれの番手をチョイス。季節によって水の量も違うので、現場での柔軟さは重要

 

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ポイントを移動するとき、安田さんは必ずロッドをバラしてこのようにまとめている。ロッドの破損を防ぐため、ロッドベルトは先端と後端ギリギリに留める

 

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使用ラインの一例。こちらもロッドと同じくポイントを確認してから携帯するものをセレクト。未使用分は車に置いていく

 

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ランニングラインはシマノ「BB-X ハイパーリペルα フロート」フカセ釣り用の中空ラインで6番には6号、8番には8号が基本。10号まで用意している

 

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ラインの接続はほぼスイベル。釣研のウエイトスイベルだ。メインサイズは「零々」で0.05号。-3B(0.95g)まで用意し、ウエイトとしても使用

 

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ラインの両端はコアを折り返してスイベルを接続

 

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リーダーの先端にもスイベルを使用し、そこからドロッパーティペットも結ぶ。「ドロッパーは8~10cmほどで、最初は魚の食いに影響があるかもしれないとも思いましたが、問題なく釣れます」

 

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リーダーはフロロカーボン。短く使いたい場合はテーパー部分のみを利用する

 

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安田さんのストリーマーはマラブーを使用したものが多い。今回は水が比較的クリアだったので、オリーブやクリームなど明るい色の出番が多かった。ストリーマーのフックサイズは#4~6、ウエットは#6

 

 

 

 

 

2023/11/28

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