LOGIN
GOOSE FACTOR

3番ラインの汎用性

1-2番指定に3番を乗せているからといってロッドが「負ける」ということはない

里見栄正=解説、編集部=文と写真
この記事はFlyFisher 2023年 Early Summerに掲載された記事を再編集しています。
協力=シマノ

1-2番ロッドに3番を乗せる

flyfisher photo

今日のタックルを教えていただけますか?

里見 アスキスの7フィート3インチの1-2番です。それでラインは3番のDTを乗せています。ロッドの指定は1-2番なのですが、けっこう許容範囲が広いんです。ラインは、実際の渓流では3番くらいの重量がいちばん扱いやすいんですよね。たまに2番を乗せるんですけれど、だいたい3番を使っています。これで不都合を感じたことはありません。

 

flyfisher photo

里見さんが3番がよいと感じられるのはどういう理由ですか?

里見 僕にとっては、1番だとちょっと軽いというのがあって、2番でもその傾向はあるんですよね。浮力の点からも沈みやすいとかそういうこともあります。ロッドのテストではずっと1番、2番でやっていました。それでもちろんしっくりとくるのですが、実際の釣りでは3番ラインというのは何かと都合がよいんです。特に僕はまっすぐばかり投げないので、そういう時にはやはり3番くらいの重量があったほうが、正直扱いやすいですね。たとえばキャスティングしてきれいなループをつくるというのは意外と簡単なんだと思います。ところがその先のリーダーであったりティペットをコントロールするということが難しいんですよね。渓流という規模で、僕にとっては3番の重量というのは、うまいことリーダーやティペットを運んでくれるのだと思っています。風がなくてストレートラインを投るような釣りなら、1番も効果を発揮するのですが、まあほかのタックルでも3番を使うことが多いので、それに慣れちゃっているというのもあるのかもしれません。

 

ラインの着水だとか、インパクトの面から1番のほうがよい、という考え方もあると思いますが、その辺りはどうでしょう?

里見 それは力加減で調整できますので。あまりビシッとやることがないですからね。ビシッとやる時はだいたい風があるときなので。

 

flyfisher photo

素材とブランクの製法がこの「粘り」を実現している

 

ではなぜ今日は1-2番ロッドを使われたのでしょうか?

里見 いちばんの理由は、今日はまだ春先で魚が小さいものが多いだろうということですね。そういう点から引きを楽しめるロッドというのは、私が持っている中ではl-2番ということですね。3番と持ち比べた時に、微妙ですけど、l-2番のほうが繊細だと感じます。

 

それは魚のサイズもありますが、今日の渓流の規模感ということもありますか?

里見 ありますね。今日行ったところだと、そんなにべらぼうに飛ばすところではない。それでも平瀬の多い川だったので、10~15mは投げますよね。もちろん1番や2番でもできますが、私には3番がやりやすいということですね。

 

まとめると、3番ラインを使うのは、プレゼンテーションのため。1-2番のロッドを使うのは釣り味のためということでしょうか。

里見 そうですね。

 

flyfisher photo

20cmほどの魚でもしっかり曲がる

 

今日のロッドの場合、フライラインは最短でどのくらいティップから出せば釣りになるのでしょうか。

里見 リーダーだけでもなんとかなりますよ。アスキスだとラインの負荷で曲げる、というよりも、自分のしなりで飛ぶ、という感じなんです。まあ柔らかい、ということでよいのでしょうが、弱い、というのはダメなんですよ。力が抜けていってしまうような。やはり粘り、みたいなものが重要なのだとは思います。

 

だからさまざまなラインを乗せても大丈夫なのですね。それは素材に由来するものなのでしょうか。

里見 そうですね。ブランクシートもただ巻いているのではなく「スパイラルX」という製法によるところが大きいのだと思います。プランクの内側や外側にカーボンテープを逆方向に巻いたりして強度やアクションの設計をしていくのですが、それはもう従来のものとは全然違うものになりました。強度も上がるし、ねじれにも強くなりますし

 

 

初期から厚巻きハックルで

flyfisher photo

今日のリーダーシステムはどんな感じだったのですか?

里見 リーダーが6Xを12フィート、全長で16フィートくらいでしたね。それほど荒い流れではなかったので、16フィートくらいできちんとした形で落としてあげれば、ある程度の魚は何もしなくても出てくれましたね。ティペットはほぼ7Xです。#30のミッジを結ぶときは7.5Xも使いますが、だいたいは7Xです。基本的にミッジを使うときはあまりアップストリームに投げないんですよ。よく魚からティペットが見えると言いますけど、アップストリームで投げなくちゃいけない場合は完全に曲げちゃって、とにかくティペットは見せないよう上から入れるようにしています。そうすれば7Xでも不都合を感じることはありません。

 

今日のフライはパラシュートでしたが大きさはどのくらいでしょうか。

里見 #14ですね。あとは#16、18も持っていました。ただ14といってもショートシャンクのフックなので、シルエットは小さめです。

 

この時期もいつものハックル厚めのパラシュートなのですか。

里見 そうですね。下からハックルを巻き上げて、上まで巻いたらまた下まで巻き下げたやつです。でもこれはハックルの厚さで浮かせているわけではないんですよ。ハックルを密に巻くと、ファイバー同士が絡んで網状になったりするんですよね。その中に空気が溜まるので、その空気でポッカリと浮かせているのですね。ドライフライなのに沈んじゃうというストレスにイライラしちゃいますから。でも密に巻いたフライで魚に弾かれるとか、食い方に影響があるとかはそれほど感じません。釣れた魚はしつかりと口の中に掛かっていますよ。

flyfisher photo

フライフィッシングの楽しさは魚のサイズで測れない

 

flyfisher photo

大きめの魚に対してもパワー充分

 

flyfisher photo

 

 

 

 

2023/11/16

最新号 2024年6月号 Early Summer

【特集】拝見! ベストorバッグの中身

今号はエキスパートたちのベスト/バッグの中身を見させていただきました。みなさんそれぞれに工夫や思い入れが詰まっており、参考になるアイテムや収納法がきっといくつか見つかるはずです。

「タイトループ」セクションはアメリカン・フライタイイングの今をスコット・サンチェスさんに語っていただいております。ジグフックをドライに使う、小型化するフォームフライなど、最先端の情報を教えていただきました。

前号からお伝えしておりますが、今年度、小誌は創刊35周年を迎えております。読者の皆様とスポンサー企業様のおかげでここまで続けることができました。ありがとうございます!


Amazon 楽天ブックス ヨドバシ.com

 

NOW LOADING