「フライに釣れないものはない」嶋崎了インタビュー
ティムコ開発者・嶋崎了が語る渓流フライフィッシングの極意。季節ごとのおすすめパターンや釣れる時間帯、フライ選択の考え方を詳しく解説。
解説=嶋崎了 文章と写真=編集部フライパターンについて
選び方や考え方などを聞いてみました!
Q:渓流のスケジュール感を教えてください。
A:ドライフライならあまり早朝に入らなくてもよいと思います。
私は5月くらいから東北方面に行くことが多いのですが、釣れだすのは朝8~9時くらいですね。6月は渓流最盛期です。好きな時間から入ってよいでしょう。イブニングもよいです。7、8月は渇水傾向があるので、水のある場所を選びながら、朝から晩までできますが、午前10時くらいからがよいでしょう。今までの経験から、イブニングはちょっとだれる感じがあります。9月はヤマメとイワナで変わってきます、関東では9月10日くらいまでよいヤマメが釣れます。それ以降になるとサビが入ってくるので、私はねらいません。イワナは不思議なことに釣れる川とそうでない川が明確になる季節です。まったく釣れないという川に当たったら、思い切って川を変えるのがよいと思います。
Q:渓流でのフライ選択のコツはなんでしょうか。
A:自分なりのサーチングパターンを決めるとよいでしょう。
これで出なければ何か違う、とわかるような自分なりの基準を持つことをおすすめします。エルクヘア・カディスでもパラシュートでもべんじょアブでも、しばらくやって無反応の時に、「これはフライのせいかな」と感じたら、たとえばパラシュートを使っていたら、エルクヘア・カディスなどタイプの違うものにしてみます。そこから次に「魚いないのかな」「上向いていないのかな」などの判断ができます。状況をみるのには、小さいアントパターンも有効です。それで釣れない時は、「ああこれはもうニンフだ」となります。
Q:釣れるフライ、釣れないフライというのはありますか。
A:釣れないフライはありません。
釣れにくいフライはあると思いますが、釣れないフライはないと思います。壊れかけたものでもよく釣れることもありますし。
Q:渓流でのフライ選択のコツはなんでしょうか。
A:自分なりのサーチングパターンを決めるとよいでしょう。
これで出なければ何か違う、とわかるような自分なりの基準を持つことをおすすめします。エルクヘア・カディスでもパラシュートでもべんじょアブでも、しばらくやって無反応の時に、「これはフライのせいかな」と感じたら、たとえばパラシュートを使っていたら、エルクヘア・カディスなどタイプの違うものにしてみます。そこから次に「魚いないのかな」「上向いていないのかな」などの判断ができます。状況をみるのには、小さいアントパターンも有効です。それで釣れない時は、「ああこれはもうニンフだ」となります。
【べんじょアブ】ここ数年で最も実績のあるパターン。今の私にはなくてはならないフライ
【エルクヘア・カディス】万能なサーチングパターン。これだけで釣りが完結してしまうことも
【スタンダード】パラシュート全盛の今、よく釣れる気がしている
【パラスタ】渋いと感じた時に使用している。ファジー感がうまく演出されている
【パラシュートアント】渓流の定番。とても効くタイミングがあるので、12、14、16番は用意しておく
【ピーパラ】テレストリアルを意識。とりあえず渓流で結ぶパターンのひとつ
Q:季節によって結ぶフライの傾向はありますか。
A:当然ですが流れているを意識しています。
べんじょアブやエルクヘア・カディスなど自分のファーストフライというか、サーチングフライは通年持っています。クモ、スタンダード、パラシュート、パラスタ、小さなアントなどもそうです。4~5月はメイフライを意識して10~14番のパラシュートとか、最近は気分によってスタンダードフライも使いますが、ハッチしている水生昆虫の優先度、天候の状況を見て決めています。6月はハッチを意識しつつ陸生昆虫も入れています。モンカゲロウやオオマダラなどその状況に合わせて選択して持っていますし、この季節は何でも使う時期といってもよいくらいです。でも、最初に結ぶのは11~13番のべんじょアブです。でも東北の場合、6月はまだ春を引きずっている場所もあるので、15番とかもう少し小さくしたほうがよい時もあります。6月はブナムシも使いますね。7~9月になると盛期の渓流系のフライボックスだけになります。いわゆる夏のパターンですね。それでも小さなフライやアリのパターンは必携です。渓流でもライズに遭遇した場合、何を食っているのか明確にわからない場合は、とりあえずスペントを投げています。15番のグレースペントですね。まずはグレスペ、もしくはパラスタをパイロットパターンとします。色はダークタンとか黒です。パラッと巻いたフライはアリにも見えるでしょうし。そして、たとえばライズしているところに投げてスーッと流れて、魚が出ればそれでいいし、出なかったらその逃げ方とかを注視します。フライを見切ったのか、フライが来たことによって逃げたのか。そこから判断して対応していきます。
Q:フライは何本くらい持ち歩けばいいですか。
A:100~300本は持っていっています。
そこまでいかなくても、1日の釣りでは、最低10本くらいは用意しておいたほうがよいと思います。たくさん持ち歩いてはいますが、私の場合、メインパターン5種類が各10本。主に使うのはだいたい50本くらいではないでしょうか。あとはテストで巻いてみたパターンとか、何かあった時に使ってみたいものとかになります。
Q:フライはどれくらい再利用しますか。
A:少しくらい壊れても使える状態なら使い続けます。
パラシュートのハックルがほどけたとか、浮くための機能を失ったら使いません。フライが壊れる一番の原因は魚の口からフォーセップで外すときだと思いますので、できるだけフックをつまむようにしています。
Q:釣行前に家で準備することはありますか。
A:服の準備くらいですね。ラインクリーニングとかは現場でやりますし、タイイングも仕事柄、会社でやりますから。
Q:忘れ物をしないコツはありますか。
A:声出し確認です(笑)。
釣り道具に関しては、あんまり……。でも私は本当に忘れ物をするんです。ですから、「財布はここ」「カギはここ」って主要なものは声を出して確認します。カギと財布、スマホと絶対なくしてはいけないものは入れるところを決めています。カギはベストのファスナーのポケット、財布はベストの背中のポケットに入れて、マルチクリップに着けて、落ちないようにします。スマホは写真を撮ることも多いので、ウエーダーのポケットに入れています。
2025/10/27
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フロータントの使い方
フロータントの使い方
FlyFisher編集部=写真と文Q:フロータントの使い方を教えてください
A:「濡れる前に乾かす」が基本です。
私は、釣り上がっている時に少しでもフライが沈んだなと思ったらすぐにスプレーします。しっかりと浮いていたほうが、こちらがねらっているドライフライの機能をしっかりと発揮できるからです。魚が釣れて、フライがベトベトになっていたら、水で洗ってからフライカチーフで水気を取り、場合によってはドライシェイクなども使いながら息をフッフッと吹きかけて、まずはフライを乾燥状態に戻します。それからフロータント処理をします。しっかりとフライを乾燥させてからフロータント、これが大切です。
まずはフライカチーフなどでフライの水分をしっかりと除去する
フライの浮かせたくない部分を指で隠しながらドライシェイクスプレーを塗布。写真では大量に吹きかけているように見えるが、実際は少量「プシュッ」くらい
塗布後、フライにパウダーを指でていねいに擦りつけてなじませる
Q:フロータントは何を使っていますか。
A:ドライシェイクスプレーと、ドライシェイクです
ドライシェイクスプレーは浮かせるため、ドライシェイクは乾かすために使っています。高く浮かせたいフライにはドライシェイクスプレーを全体に吹き付け、半沈させたい場合はベンドのところを持って、上だけに吹き付けるようにしています。
2025/10/16
最新号 2025年12月号 Early Autumn
【特集】REAL REEL LOVE リールへの愛についてご存知のとおり、フライリールの機能というのは多くの場合それほど重要ではなく「ただのイト巻き」という側面が大きく、それゆえ人がリールを気に入る背景には、極めて個人的で偏愛に満ちたストーリーが存在します。
それは、万人が認める美しく優れたものだけでなく、自分が触れて快適なものでよいはず。「美」よりも「快」。人生が滲み出る、リール愛のカタチを紹介します。
このほか、第3回を迎えた細かすぎる!タイイングのベイシックでは、パラシュートパターンを中心に解説。
天草・無人島のクロダイのサイトフィッシングや佐藤成史さんの魚の撮影法なども紹介します。
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