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細部に「らしさ」も詰め込んだインスタネット

手頃なラバー・インスタネットを開発した、メジャークラフトの石塚恒さんにそのこだわりを聞いた。

石塚桓=解説
flyfisher photo

ラバーネットを持ち歩くなら折りたたみ式

ラバーネットを使用したインスタネットですが、やはり要望は多いのですか?
石塚 そうですね。特にルアーのほうでは最近、魚をすくう時に、ヒレが割れたりとか、フックが絡むといった理由でラバーネットを選ぶ方が増えているようです。フライフィッシングでもアメリカなどではネットはほとんどラバーですよね。でも、どうしても力サが高くなってしまう。アメリカではガイドが大きな不ットを肩に担いでいたり、かっこいいのですが……、特に日本の渓流でラバーネットを使うのだったら、折りたたみしかないと思ったんです。ヤブ漕ぎする時に引っかかったりとか、背中にぶら下げても重いですし。で、まず自分で使おうと思って探したのですが、値段的にちょっと手が出なところが多くて……。

それをいざ、量産するとなるとご苦労された点はどこですか?
石塚 フレームですね。フレームの硬さは最初から3 段階くらい作って試しました。フレームそのものに自重があって抵抗があるので、折りたたみやすい軟らかいものだと水流に負けてたわんでしまう。かといって、硬すぎるとたたみづらいし、ケースから出した時にパチンと開いて危険です(笑)。ですから結局、サイズ違いで硬さも変えることになりました。あと、金属が剥き出しだとネットやグリップが傷ついてしまったり、たたむ時に手が痛くなることもあるので、フレームには熱収縮チュープがかかっています。


ケースありきで企画

ケースも工夫が凝らされていますね
石塚 インスタネットを製品化する時に考えたのが、ネットとケースは絶対セットにするということでした。ネットだけ発売しても、革のケースも高価なので、とりあえず使っていただいてよさを実感していただくという段階であれば買いやすい価格で、むしろケースありきで作るというのが最初のコンセプトでした。

ケースのサイズはすべて共通ですね。最終のサイズを決めるのにもご苦労がありそうです。
石塚 ケースは小さすぎると、傷みやすくなるので、ちょっと余裕を持たせてわざと大きめにはしています。特に幅は重要で、ラバーネットそのものに厚みがあるので、それをコンパクトにかつスムーズに収納できるサイズ感ですね。これは全モデル共通のサズにしました。サイズ違いでいくつか買われた場合、ケースのスペアとして使うこともできるし、個人的にはバックパックとショダーバッグにケースをつけっばなしにして、ネットだけ入れ替えて使っています。あと機能としては、縦横上下、4 方向すべての向きに取り付けられるようにしてあります。右利き、左利きもありますけれどユーザーさんの中では、上下も結構好みが分かれている感じなので。

見た目へのこだわり

リップの素材は何ですか?
石塚 紅樟(アカグス)です。木の感じにもこだわりたくて、ストレートとカーブの2種類を作りました。サイズも、コンパクトさと握りやすさのよいバランスをねらっています。ただ、当初はフレームの付け根の強度が問題で、ここに相当負荷がかかるようなんです。ですから、この部分は直接ネジで留めているのではなく、特殊な加工をして強度を出しています。

石塚さんは使わない時はネットはたたんだままにしているのですか。なんか痛んでしまいそうで……。 石塚 僕はそうしています(笑)。それで問題は今のところありません。
ーネットの色も個性的ですね。 石塚 ネット自体は碁本的に白とグレーと黒が市販されているのですが、やっぱりネットの色ってすごく重要だと思うんです。写真を撮る時など、白とか黒だと味気ないなぁと……。そこで、弊社のオリジナルカラーとしてバーガンディのネットを作りました。

ーラバーネットで魚の写真を撮るのは難しくないですか? 石塚 ネットそのものが硬いので、クレモナとかリリースネットと同じように撮るのは難しいですよね。ですから、魚を置く前に、ネットを丸めたりまとめたりして撮影されている方が多いようです。底が砂地だったら、ネットの一部を埋めてしまうやり方もあるそうです。でも、逆にネットの硬さを利用して魚に角度がつけやすい場合があります。魚体をちょっと起こすだけで、反射が抑えられて模様が綺麗に出るじゃないですか。そういう調整はしやすいかもしれません。

2025/3/10

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最新号 2025年6月号 Early Summer

【特集】One Fly, One Soul 1本入魂のタイイング

釣れないフライはありません。しかし、より釣れやすい、より釣りやすいものは確実にあります。
「釣れやすい」とは、たとえば魚がエサと認識しやすいシルエットや姿勢をキャストごとにキープできることや、より刺激的な波動を常に発する構造のこと。 「釣りやすい」とは、たとえばキャスト中の空気抵抗が考慮され、スムーズにプレゼンテーションできることや、簡単には壊れない高い耐久性のこと。
そして、フライは最終的に美しいに越したことはありません。
これら無限の要素を取り入れて、自分で創造できるからこそフライタイイングは楽しいものです。
今号では佐々木岳大さんにドライフライの基礎を、嶋崎了さんにCDCの失敗しない扱い方を、中根淳一さんにキールフライのアイデアを、筒井裕作さんにホットグルーの使い方を教えていただきました。

また、中央アフリカ、ガボンでのターポンフィッシングの釣行レポートやポータブル魚道に関するインタビューなどもお届けします。


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