Local Flies54:南の島用のフライ
松岡史郎さんの7本
松岡史郎= 解説とイラスト奄美大島でチヌをねらうときは、ロッドはグラスの5番、ラインはコートランドのゴーストティップの6番です。国内の釣りであれば淡水用のラインでも問題なく使えると思っています。ラインの先端5フィートくらいがクリアで、リーダーの全長は11フィートくらいです。チヌのテイリングはくるぶしくらいの浅いところで起こるし、そこまで入ってきてからねらうほうが確率が高いと思います。ですから、フライは軽めのものが多いですね。基本的に彼らは上げ潮に乗ってフラットに入ってきますので、こっちが入口に立って釣りをしてしまうとそこで散らしてしまいます。ある程度待ち伏せすることが重要だと思いますね。トレバリーはブレイクをシンキングラインでねらうことも多いです。システムは自作で、ランニングラインを太いインターにして先端12mくらいをタイプ4にしています。あまり速く沈まないようなセッティングで、底付近のものを食うクロヒラアジとか、オニヒラアジをねらっています。ブレイクにいる彼らは、フラットに入ってくるときよりもゆっくり泳いでいる感じですが、さまざまなリトリーブを試して当たるものを探りながら釣る感じです。ある程度通り道が決まっているので、それを読みながら釣るのが楽しいですね。
ブリームスナック
もっともベーシックなパターン。いかにもカニという形状は効果的な場合もあるが、魚が見た瞬間に逃げていくことも多い。シュリンプタイプはそこまで拒否反応がないと感じている。このフライはエビを意識して作っているが、カニが逃げる姿や、底を這う小さなハゼ系の魚もイメージしている。着水音は特に気にしており、できるだけ静かにしかし、クロダイの側線に響かせる感じで、魚体の横にフォールさせることを意識している。テイリングしている魚の、頭の方向へ投げると、テイルが沈むだけでフライ追ったのかわからないので、横に向かせたいという理由もある。クラフトファーは長いものをテイルとして、短いアンダーファーのようなファイバーをループダビングでできるだけ密に巻き、背中側をカット。噛みつかせるというより吸い込んでもらうというイメージで使っている。アイは、ボールチェーンが付いていないバージョンもあるし、離島用はアイを2連にすることも多い。また、奄美などでは、テッポウエビの抜け殻が大量に落ちていることがあり、脱皮したては白っぽいカラーなので、それに合わせたものも用意している。テイルのストライプは、あったほうが違和感がないと思っている。水玉模様でもよいと思う。
・がまかつ管付き伊勢尼6~8 号、管付きチヌ3号
・テイル&ボディー………クラフトファー。テイルはマーカーでストライプを着色
・アイ……チェーンボール
・レッグ……ラバースカート・ウルトラファイン
・ウイードガード……フロロカーボン6 号の先端をあぶり、UV レジンで固めた自作アイ
バグアウトクラブ
シオマネキがハサミをなびかせて逃げるようすをイミテート。ノーウエイトなのも大きな特徴
ウエイトを入れておらず、非常にゆっくり沈ませることを意識したフライ。使う水深はふくらはぎくらいまで。逃げるカニを意識したパターンで、テイリング用。クラフトファーをループダビングして上下をカットして平べったくしてカニのシルエットにしている。ゆっくり沈めて、ゆっくりリトリーブして使う。水深のないところで使用するのでウエイトは入れていないが、水を弾くようなマテリアルだと、沈んでくれないので注意。こんな浅いところに、こんないいサイズの魚がいるの?というケースも少なくない。落ちる瞬間にガツンと来ることも多いので、やはりクロダイはカニのシルエットは効くときは効くのだと感じている。
・フック……がまかつ管付き伊勢尼6~ 8 号、管付きチヌ3号
・テイル&ボディー………クラフトファー
・レッグ……ラバースカート・ウルトラファイン
・目玉……フロロカーボンの先端をあぶりコの字型に折ったものの両端をUVレジンで固めた自作アイ
・ウイードガード……フロロカーボン6 号をU 字で取り付ける
目玉の取り付け
Step1
フロロをこのように折り曲げる。シャンクに取り付ける部分をプライヤーで潰している
※以下の本誌からもご覧いただけます
書影をクリックするとアマゾンのサイトへジャンプします。FlyFisher2023年3月号 Early Spring
【特集1】南の島のフラットフィッシング
【特集2】水生昆虫小宇宙2023(おもに)メイフライ編
ここ数年、急速に広がっている日本のフラットフィッシング。 南のフィールドが開拓され、これまでメジャーだったクロダイとトレバリーに加えて、さまざまな対象魚が注目されています。 フィッシングガイドの数が増加していることも、この釣りをさらに楽しみやすくしてくれています。 まだまだ試行錯誤が続きますが、今号では、現時点でのメソッドやフライパターンなども紹介します。 また、「水生昆虫小宇宙2023」として水生昆虫研究家/写真家の刈田敏三さんによる解禁当初に注目すべきメイフライを解説していただいています。刈田さんがこれまでずっと提言しているように、私たちが見るべきは「ハッチ」ではなく「ドリフター」です。これらの虫がどのような形態で流下してくるかのサンプル写真が並びます。 さらに、さりげな添えられた刈田さんのフライパターンは長年研究を重ねてきた年輪とすごみが感じられます。
2023/3/3